馳走いなせや奮闘中!

京都柳馬場三条上ルの町屋料理屋「馳走いなせや」
オーナー(通称大将)の酒と食の奮戦記。

土壌とお酒の関係

2014年12月06日 | Weblog
先日、綾部の契約農家の河北さんがFBに
「今から京都植物園で、土壌の勉強会に参加します」とコメント。

何やろ❓❓❓

おまけに、兵庫県産の山田錦のレクチャーもあるらしい。
すぐにコメントを返し
「一緒に参加できるの?」みたいなやりとりの末

午後から、少し時間あるので参加させてもらいました。
講師は、ご存知・龍力(本田商店)の本田会長。

御歳82歳。

とても、そのような年齢を感じさせない軽やかな喋りっぷりだ。

龍力と言うと
高精白の山田錦を35%迄磨き、洗練された酒造りで有名な酒蔵。
(自慢じゃないが、それぐらいの知識はある)

しかし、参加してびっくりの
山田錦の35%精白でも、土壌別に5銘柄も造っておられる❗️

ご存知ない方な為に

酒蔵の規模にもよるけど、通常の酒造りで大吟醸や純米大吟醸は50%以下の磨きでも
頑張って3~4銘柄(それも、何種類かの酒米に分けての話)

それを、全て35%磨きで
全て山田錦
兵庫県の特A地区限定
5種類の別仕込み

❗️❗️❗️

おそらく龍力だけのこだわり(と、世間一般で言う)

あ…。そうそう「こだわり」と言えば、先日とある農家さんがTVで
「わたくしは、こだわりと言われるのが大嫌いで
何故なら大した値打ちのない事や物に執着心を持つのが本来のこだわりって意味だから」
と、言っておられましたが
同感です❗️

こだわるって言葉を履き違えてる人が、ほんま多いですわ。
こんな分布図(半面)も頂き
(ええんか…。こんなん出して)
こういう専用のシート(これ、かなり考えてます。きき猪口の代わりにガラスの猪口でもお酒の色や艶が判別出来ます)で、お酒の利き❗️

なるほど、全く同じ山田錦35%でも香りや味が微妙に違う。
因みに、販売価格は産地によりかなり違うのは
やはり、特上山田錦を専門に扱って来られた本田商店さんならでわ。

特に注目は「秋津」
下世話な感じですが、なんと一升瓶32000円オーバー❗️

これは、やり過ぎやろ~
と思いきや
通常、一俵15000~16000円で取引きされる山田錦を秋津の農家さんから50000円で仕入れてるって❗️

いわば、3倍以上の価格に納得。

秋津を最後にきき酒。
他の山田錦35%には、何のケチもつけられないのは当たり前。

秋津は、これを越えるのか~~。

ん?
ん?
ん?

極々繊細ながら、うわ立ち香と含み香が優しい。
いわゆる、自己主張がない感じ。
気品と滑らかな感じが素晴らしい。

バカバカ飲んでりゃ、分かるはずもない(そんな奴おらんやろけど)

現在1500軒ほどの「造り酒屋」さんがあり
その半分以上が、赤字経営だとおっしゃる。

酒造り以外で、成り立ってる造り酒屋には未来はない。
(もちろん、酒造りを支える為に頑張っておられる訳ですが)

酒造りだけで、経営が成り立つ蔵でありたい。
その為に、龍力は経営努力を惜しまない
と、本田会長が仰ってました。

32000円のお酒は、毎年完売。
しっかりしたファンの方に支えて頂いていると。

飲食店含め全ての業種に相通じる事。

土壌と酒米の勉強に行ったのに、違う勉強もさせて頂きました❗️
本田会長
どうぞ、お元気で長生きして下さいませ。