千島土地 アーカイブ・ブログ

1912年に設立された千島土地㈱に眠る、大阪の土地開発や船場商人にまつわる多彩な資料を整理、随時公開します。

千島土地株式会社の旧本社建物

2008-01-11 17:30:45 | 芝川家の建築
現在、千島土地株式会社は大阪市住之江区北加賀屋にあります。都心部からは少し離れていますが、地下鉄の駅に直結し、雨にも真夏の太陽にも晒されずに通勤可能なところが社員にも好評です。当社が現在の場所に移ったのは1977(昭和52)年。4度の移転を経て後のことでした。

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芝川家の土地経営を引き継ぐ形で設立された千島土地株式会社は、当初、本店を芝川新田会所(大正区三軒家東)に置いていましたが、大正年間に市電が開通し(この際、当社は大正区千島町・新千歳町の土地 計6,621坪を大阪市に寄付しました)、道路整備も進んだことから、1919(大正8)年6月に市電小林町付近の土地を購入し、本店を移しました。

ここで建てられたのが、今回ご紹介する二代目の本店です。この建物、元は北区富島町にあった日本郵船株式会社大阪支店の木造2階社屋を移築した建物でした。


(千島土地株式会社所蔵資料 P07_001)


本社屋外観(戦後)(千島土地株式会社所蔵資料 P07_004)

写真の人や車の大きさと比較してもおわかりいただけるように、もともと天井の高い大きな建物でしたが、後に板張り・ペンキ塗りの外壁や事務所カウンターの下にタイルを張り、玄関には岐阜・赤坂産の大理石を用いる工事を行い、建物は一層、重厚感を増したと言います。


タイルを張った後の事務所カウンターの様子(千島土地株式会社所蔵資料 P07_005)

この建物は、区画整理の関係で1975(昭和50)年に取り壊されました。1934(昭和9)年には室戸台風も経験した建物は随分と傷んでいたそうですが、移築後57年間、大正区の地に建ち続けた千島土地株式会社本社屋は、今でも区民の方が、「非常に立派な建物でしたよ。」と覚えて下さっている建物です。


■参考資料
「大正区史」、財団法人大阪都市協会、1983
「千島土地株式会社五十年小史」、千島土地株式会社社史編纂委員、1962(非売品)
「小さな歩み ―芝川又四郎回顧談―」、芝川又四郎、1969(非売品)


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