青磁の尊式花瓶です。
かなり大型です。
高30.0㎝、外径17.2㎝、底径12.5㎝
上下に蓮弁紋が大きく浮き彫りになっています。
中央には、片切彫りで細かな模様(花びら?)が刻んであります。
薄くて見難いですが、蓮弁形の中にも、非常に細かな幾何学模様が施されています。
内と外、両側から削られた高台には、鉄釉を塗った跡があります。
ご安心ください(^^)
御覧の通りの大疵物なのです(^|^;)
見事に割れています。
この青磁花瓶の産地と時代は?
伊万里でこの形はあり得ないし、江戸時代の三田だろうと考え、ずっとほおってありました(^^;)
例によって、今回はじめてじっくりと観察しました。
そして、三田では、これだけ細かな浮彫模様を施すことはないだろうという結論にいたりました。
ならば、中国か?
天龍寺青磁? 七官青磁?
青磁釉は、畳付けを除いて、花瓶の内外に全面施釉され、大変分厚くかかっています。
ループで見ると、小さな気泡が多く見られます。
そこで、表面の顕微写真を撮ってみました。
実に見事な気泡が、これでもかというくらい入っています。あまりにも気泡が多すぎて、生地の模様がかすんでいるのですね。
これは、ひょっとするとひょっとするかも知れません・・・・・・が、
ここから先は、私の乏しい経験と知識では・・・
この品も、ずいぶん昔、田舎の道具屋で購入した物です。
今からすれば、法外に高かった(;><;)
大きなクッキリとした連弁文の浮き彫りといい、細やかで鋭い片切彫りといい、なかなかのものですね。
伊万里や三田では出来ないでしょうね。
鍋島かとも思いましたが、鍋島青磁にこのような形の物はないような気が、、、。
やはり、中国の、天龍寺青磁か七官青磁というところでしょうか。
青磁は紫口鉄足と言われますが、本来は、高台に鉄釉を塗るのではなく、生地に含まれる少量の鉄分が焼成の際に滲み出て黒っぽくなるんでしょうよね。
この尊式花瓶は、正しく、鉄釉を塗ったのではなく、自然と黒っぽくなったように見えますが、、、。
典型的な紫口鉄足なら話は早いのですが、どうにも高台があいまいです。
日本でこれだけの物を作ってもワリがあわないし、中国後世の写しとしておくのが無難だと思います(^|^;)
ウチにも東京の有名店で買った時代不明の鍋島青磁の五寸皿があるんですが、正直なところ全く時代は不明です。
とはいえ、尊式という格調高い形は大いに魅力的ですし、このように直してあることを思えば、由緒正しい品であることは想像できるように思います。
一つの品をめぐって一喜一憂するのは、はたから見れば滑稽でしょうね。
この品も、嫌になってその辺にコロガシてあったのですが、今回、真剣に眺めてみて、少し位が上がりました(^.^)
またまた、自分の品に甘い遅生であります(^+^;)
やはり花入れでしょうか。
時代と窯は難しいですがこの形はそれなりの物のようですね。
大きさもあって床の飾tりだったのでしょうね。
ただ、中国は摸倣を連綿として繰り返してきた国ですから、時代の特定は難しいです。
確かに、形はなかなかのものだと思います。
一度、床の間に置いて、花など入れてみます。