遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

金工18 使い勝手の良い鉄香炉

2020年05月15日 | 金工

鉄製の香炉です。

      幅 7.9㎝x高 6.4㎝、重 507g

 

それほど古い品ではありませんが、よく使われています。

全体に、香の匂いがしみついています。

 

裏も、いたって簡素。

銘がありますが、読めません。

 

この香炉の最大の特徴は、煙の出る穴です。

香炉の煙出しの形式は、2つに大別されます。

一つは、今回の香炉のように、蓋があって、そこから煙が出るもの、もう一つは、先に紹介した寿老人のったり香炉のように、本体のどこかに穴をあけてあるものです。

陶磁器の香炉では、銀蓋をしつらえてある物が多いですが、これは前者の形式です。

いずれにしても、この形式では、蓋に力をいれます。

この鉄香炉の蓋も、溶岩が沸騰しているような形をしています。

不思議な造形です。

鋳造であることは間違いないのですが、この炎のような部分は、どうやって作るのでしょうか。後で、この部分だけ加熱して熔かすのでしょうか。

 

いつのまにやら香炉もあれこれと数集めてしまいましたが、実際に私が使っているのは、もっぱら今回の品です。

鉄ですから当然重いです。この安定感が、火をつかう香炉では重要です。ちなみに、寿老人香炉はすぐ倒れます(^^;

それから、手でふれた時の感触。鉄の冷たさを感じさせないまろやさです。

 

みかけはパッとしないが、安心して事を任せられる。

朴訥だけれども、そこはかとしたあたたかさが。

そんな香炉に私はなりたい(^_^)

 

 


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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
遅生さんへ (Dr.K)
2020-05-15 09:33:48
鉄製の香炉というのもあるんですね。
当然ながら、鉄でも香炉は作れるんでしょうから、存在はするはずでしょうけれど、私は見たことがないように思います?
もっとも、私が知らないだけで、結構、あるんですか、、?

確かに、この香炉の蓋の溶岩が沸騰しているような状態の形は、どのようにして作るんでしょうね?
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Dr.Kさんへ (遅生)
2020-05-15 10:41:25
香炉の定番は銅、それから陶磁器です。
鉄香炉は少ないです。水滴もまったく同じです。
やはり、鉄は武骨だからでしょう。
今回の品は、その点、よくできていると思います。

溶岩の沸騰みたいな形、どう考えても型では無理ですよね・・・・・・・・
とコメントを書きながら、もう一度、シゲシゲと眺めてみました。
すると、溶岩の周囲がぐるッと、数㎜の高さで丸くなめらかになっているではありませんか。

想像を逞しくすると、見えてきました(^.^)
まず最初に、低いドーム型のUFOみたいな蓋を鋳造し、その後、強力なバーナーでUFOのドーム部分を熔かしたのだと思います(^_^)

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遅生さんへ (Dr.K)
2020-05-15 11:08:35
なるほど、溶岩が沸騰しているような状態は、強力なバーナーで溶かして作ったわけですか!
それで納得です(^-^;
今夜は、ゆっくり眠れそうです(笑)。
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