遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

陶胎七宝波千鳥紋小皿(5枚)

2024年07月26日 | 陶磁胎七宝

陶胎七宝の小皿、5枚です。

模様にわずかの違いがありますが、すべて波千鳥紋です。

 

口径 10.7㎝、高台径 5.5㎝、高 2.3㎝。重 111g。明治初期。

胎土は、これまで紹介してきた薩摩系の土とはことなり、くすんだクリーム色の半陶半磁の陶土です。

裏面には、非常に細かいジカンがびっしり見られます。

高台は付け高台、内側には所々に細かい砂が付着しています。

外縁に2本、高台付近に2本の圏線が、くすんだ色の呉須で描かれています。このように染付けを併用した陶胎七宝は、初見です。

どこで生産された品か、全く見当がつきません。

七宝部を見てみます。

やはり、これまでの京薩摩、錦光山系の陶胎七宝とは異なるようです。

外周を、幾何学模様でぐるりと囲み、中央に波千鳥紋を描いています。白で千鳥、岩、波しぶき(白〇)を、青で海、波しぶき(青〇)を表しています。

中央右下には、ぐるっと囲んだ黄〇が途切れて、波が押し寄せている様子が表されています。芸が細かいですね(^.^)

七宝釉の入ったヒビと金属植線の模様が呼応しあって、面白い効果を出しています。

顕微拡大してみます。

岩(白)に丸いしぶき(青)。

千鳥の下の部分。

植線は、青の海にまで伸びています。

氷裂模様のようです。海は、このような模様で埋まっています。何でもないようにみえる模様ですが、植線で、きちんとした形ではなく、不定形模様を表すのは非常に難しいです。

大変毛色の変わった陶胎七宝です。

小さなわりに手が込んでいる・・・・輸出品ではなく、国内向けの品でしょう。

コメント (4)
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