『大志んぱん どん字づくし』も、最終回です。
最後の気力を振り絞って、謎解きを考えてみます。
【次】という字です。
読みは、「男ぜたひ」。
そのココロは、「女の姿が見へん」。
男が一人で台所仕事をしています。竈(かまど)でご飯を炊きながら、桶の中の物を「ぐわし/\(ゴシゴシ)」と洗っています。男世帯のさびしい様子が伝わってきます。
【火】の文字。
読みは、「大文字山」(誰でも読めます(^^;)
では、なぜ【火】が「大文字山」と読めるのか?
そのココロは、「そバへ〇つて ☐」。
うーん、〇と☐が全く見当がつきません。
これはー・・・・・初のギブアップか
あと少しなのに!
気を取り直して、絵をじっと観察。
男たちが、薪を抱え、松明をもって歩いています。
これは、明らかに、大文字焼の準備のため、山にのぼっていくところです・・・・・・ん・・・のぼる!・・・・登!!
そうだ、火と登をくっつければ、【燈】。
〇は燈、☐は登!!
そのココロは、「そバへ登つて 燈(ともす)」
大文字焼では、あらかじめ、薪を井口形に組んだ物を用意しておき、それに一斉に火をつけて、大の字形の燈をつくりだします。
崩し辞典を参照してみると、かろうじてですが、〇は燈、☐は登と読めます。
【止】のトを除いた字。
読みは、「かぜふき(風吹き)」。
そのココロは、「ト(戸)をた(立)てると止(やむ)」。
絵では、女性が雨戸を立てています。隙間から吹き込んでくる風に、ロウソクの炎が消えそうなほどなびいています。芸がこまかい(^^;)
【荷】の亻を欠いた字。
読みは、「おもとふて どふもならぬ」。
そのココロは、「荷(になふ)に人がたらん」。
絵では、大きな荷物の向こうに、人が二人、バンザイをしています。
軽い気持ちで始めたどん字の解読ですが、なかなか難物ぞろいでした。
『大志んぱん どん字づくし』32文字の解読、完全制覇とまでは行きませんでしたが、自分では満足です。何よりも、江戸時代後期の風俗を知ることができましたし、人々のフィーリングもそれなりに感じることができました。マンガチックな絵も、どん字の謎解きにピッタリとはまっています。
江戸の人たちは、この瓦版を手にして、家族や近所の人たちとワイワイやっていたのでしょうか、それとも一人ニンマリしながら謎解きをしていたのでしょうか。
遊びごころあふれた浪速の町人文化は、当時の人々の豊かさと逞しさをよく表していると思いました。