遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

江戸のことば遊び 『どん字づくし』(8)

2020年01月24日 | 面白古文書

『大志んぱん どん字づくし』も、最終回です。

最後の気力を振り絞って、謎解きを考えてみます。

 

【次】という字です。

読みは、「男ぜたひ」。

そのココロは、「女の姿が見へん」。

男が一人で台所仕事をしています。竈(かまど)でご飯を炊きながら、桶の中の物を「ぐわし/\(ゴシゴシ)」と洗っています。男世帯のさびしい様子が伝わってきます。

 

【火】の文字。

読みは、「大文字山」(誰でも読めます(^^;)

では、なぜ【火】が「大文字山」と読めるのか?

そのココロは、「そバへ〇つて ☐」。

うーん、〇と☐が全く見当がつきません。

これはー・・・・・初のギブアップか

  あと少しなのに!

 

気を取り直して、絵をじっと観察。

男たちが、薪を抱え、松明をもって歩いています。

これは、明らかに、大文字焼の準備のため、山にのぼっていくところです・・・・・・ん・・・のぼる!・・・・登!!

そうだ、火と登をくっつければ、【燈】。

〇は燈、☐は登!!

そのココロは、「そバへ登つて 燈(ともす)」

大文字焼では、あらかじめ、薪を井口形に組んだ物を用意しておき、それに一斉に火をつけて、大の字形の燈をつくりだします。

崩し辞典を参照してみると、かろうじてですが、〇は燈、☐は登と読めます。

 

【止】のトを除いた字。

 

読みは、「かぜふき(風吹き)」。

そのココロは、「ト(戸)をた(立)てると止(やむ)」。

絵では、女性が雨戸を立てています。隙間から吹き込んでくる風に、ロウソクの炎が消えそうなほどなびいています。芸がこまかい(^^;)

 

【荷】の亻を欠いた字。

読みは、「おもとふて どふもならぬ」。

そのココロは、「荷(になふ)に人がたらん」。

絵では、大きな荷物の向こうに、人が二人、バンザイをしています。

 

軽い気持ちで始めたどん字の解読ですが、なかなか難物ぞろいでした。

『大志んぱん どん字づくし』32文字の解読、完全制覇とまでは行きませんでしたが、自分では満足です。何よりも、江戸時代後期の風俗を知ることができましたし、人々のフィーリングもそれなりに感じることができました。マンガチックな絵も、どん字の謎解きにピッタリとはまっています。

江戸の人たちは、この瓦版を手にして、家族や近所の人たちとワイワイやっていたのでしょうか、それとも一人ニンマリしながら謎解きをしていたのでしょうか。

遊びごころあふれた浪速の町人文化は、当時の人々の豊かさと逞しさをよく表していると思いました。

 

コメント (8)
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