遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

能・井筒のエラー皿

2019年05月10日 | 能楽ー実技
能、井筒の皿を揃えてみました。


1.楽焼 謡曲・井筒四方皿
                           12x12cm  大正



井筒、ススキと謡曲の一部が描かれた、楽焼きの四方皿です。



2.粟田焼 井筒 湯呑み
          高4.3cm、径8.3cm   明治~大正







能、井筒(後場)の男装シテと井筒、ススキが描かれた湯呑みです。



3.清水焼 井筒小皿
             径10.7cm  大正~昭和



清水焼 井筒小皿です。

先回の道成寺小皿と同じ手の皿です。
絵付けは平凡で、味わい深い皿とは言えません。

で、今回、あらためてこの皿を見てみました。

能・井筒の前場。
里の女(シテ)と旅僧がやりとりをする場面です。
上部には、はっきりと、「井筒」と書かれています。
そして、作り物の ・・・・・・・・・・  ん?
何かおかしい!

荒涼とした在原寺の秋。風になびくススキが無い!
かわりに、一本の矢、これは・・・・・



               河鍋暁翠 『賀茂』 木版画、明治

上の皿に描かれていたのは、能、賀茂の作り物ではありませんか。


能の作り物を調べてみると


            『能楽具装精華』 昭和8年

この本には、「井筒」と「賀茂」の作り物が隣り合って載っています。
ひょっとして、元絵を描いた人が取り違えた?

いずれにしろ、この品、エラー皿です。

好んで買ってくれる人がいるわけではないし、
エラーコインのようにプレアがつくわけでもない。
いわば、できそこないの品です。

でも、この皿、憎めません。

じっと見ていると・・・・・・
なぜかほほがゆるんで、ホットするのです。



コメント (2)
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