30年前、地下鉄サリン事件をテレビの速報で見た時の衝撃は、今も忘れられない。
都心の路上に設置された救護用の大きなテント。うずくまる多数の傷病者。見たものが信じられない、とはこの事だった。
しかし、敢えて言えば、地下鉄サリン事件の前の松本サリン事件の方が、自分にとってはより衝撃的だった。サリンが検出された、と報道で知った時は、驚いたなんてものではなかった。
サリン? 化学兵器じゃないか! なぜそんなものが日本で検出されるのか? 夢でも見ているような気持ちだった。
一連のオウム真理教事件について、この場で論じるのは難しい。言いたい事はたくさんある。個人的に、身近な人物があちらに入信したと思われる例もあった。
世界史的にも特筆すべき大規模テロ攻撃である、地下鉄サリン事件の教訓を後世に伝えることは、とても重要。ただし、マスコミが、事件の風化を憂慮するのは、白々しい。いや、はっきり言って不愉快だ。
マスコミ、特にテレビが、オウム真理教を面白おかしく伝えていたのを、自分は決して忘れない。麻原彰晃が、テレビのワイドショー番組に教団の施設から生中継で出演して「おはようございます」と挨拶したのを、自分はこの目で見てこの耳で聞いた。
地下鉄サリン事件の後、教団施設で生活していた幼い子供たちを、警察官が保護して児童相談所に引き渡した事例があった。オウム側が撮影した映像(30年前だから、おそらくホームビデオだろう)を、テレビはそのまま放送した。警察官らが教団施設に立ち入り、不安で泣き叫ぶ子供たちを連れ出す。
要するに、テレビは、オウム真理教の宣伝戦に加担したのだった。地下鉄サリン事件が発生した後ですら。
松本サリン事件の報道も酷かった。マスコミが地下鉄サリン事件を大々的に回顧するのは、松本サリン事件のマスコミ報道をなかったことにする意図があるのでは、と自分は疑っている。
この30年で、内外情勢も、世論も、大きく変わった。変わらないのは、マスコミの傲慢さと、反省の無さだ。
30年前も、今も、起きてほしくない事態を想定し備える方々のご尽力のおかげで、私たちの社会は成り立っている。今後は、なおさら。
何の落ち度もない被害者とご家族を思うと、気持ちが暗く沈む。
この日に、改めて、自分の出来る事に専念すると誓う。マスコミが面白おかしく伝えない、名も無きヒーローの方々に負けないように。


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