西園寺由利の長唄って何だ!

長唄を知識として楽しんでもらいたい。
軽いエッセイを綴ります。

正札付

2010-06-30 | 長唄の歌詞を遊ぶ (c) y.saionji
110-「正札付」(1817・文化11年・森田座)


「菊寿草摺」(6/22ブログ)で書いた草摺物の違うバージョンで、
ここでは道化役の小林朝比奈が留める。


『留めてとまらぬナ 無理酒に
 気強い朝のひぞり言
 エゝ 何じゃいな おかしゃんせ
 肩に手拭い 
 染めもかまわぬ江戸自慢
 かまいます 妙でんす
 派手な所がわしゃ嬉し
 これ留まらんせ』

●止めても止まらぬ酒の無理強いで、朝になって本気で、怒ること怒ること。
 ああ、おかしい。
 肩にかけた手拭いは、団十郎好みの江戸自慢。
 男女蔵好みの模様も、すてきに派手なところが、たまらない!
 ちょっと、お止まりよ。
  
“かまわぬ”とは、物事にこだわりませんという、
団十郎の身上を、鎌、輪、ぬ、の判じ物に表した模様。   
 


”かまいます”は、その反対を洒落た、市川男女蔵の模様。



何とも遊び心に溢れた、とんちじゃないか。
こいうことが江戸人のゆとりなのだ。
今の日本人にもこのような遊びを楽しむ余裕があるといいのですが…
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