<中国ブログ>中国サイコウ 元/上海駐在日本人が綴る日中経済の状況など

中国駐在時代の経験・知識をもとに、
最高(サイコウ)の日中関係の再構築を目指し、
日本と中国を再考(サイコウ)する

オープンスカイ(航空自由化)で日中航空事情は変わるか

2012-08-09 | 中国ビジネス

今回は予定を変更して、日中航空業界の話。
急な報道発表がありましたので。

その報道とは、日中両国政府がオープンスカイ(航空自由化)協定を締結したというもの。
この協定が締結されると、両国の航空会社は政府間交渉を経ずに、路線や便数を自由に設定できるようになるため、両国間の往来が活発化することが期待される。

もっとも、今回の協定では、発着枠に余裕がない成田、羽田、北京、上海という大都市4空港は対象外となっており、今すぐに大きな効果が期待できるというものではない。
しかし、中長期的に考えると、この協定の意義は非常に大きいということが分かってくる。

まず、今回の協定でも、羽田と中国を結ぶ定期便を2013年3月から1日16便に倍増することが盛り込まれた。
上述のとおり、羽田は自由化対象外にもかかわらず、このような措置が下されたのは非常に珍しいと言っていいだろう。
現状、上海と羽田を結ぶ路線は、上海虹橋空港発着となっている。
羽田は、成田との整合性の問題もあって、大都市間輸送(シャトル便)の拠点と位置づけられているが、実は上海も似たような構図を抱えている。
2010年の上海万博にあわせて、新しい虹橋空港が整備されたため、能力的には浦東空港と遜色ないレベルにあるが、現時点では虹橋=国内拠点、浦東=国際拠点というすみ分けを堅持している。
よって、当面は「羽田⇔虹橋」という路線も堅持されることになる。

もっとも、これは日本のビジネスマンにとっては朗報と言えるだろう。
日系企業の本拠地は虹橋地区に集中しており、ビジネス目的で上海を訪れる日本人にとっては、浦東空港は不便以外の何ものでもない。
しかし、現状は発着便が少ないわりに人気があるため、航空券の代金は成田便よりもだいぶ割高。
したがって、コスト面の問題で、仕方なく成田便を利用しているという人も多いことが予想されるからだ。


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羽田空港は国際線ターミナルを新設したので、徐々に国際線を増やしていくでしょうね。やはり、あの都心からの近さは最大の武器になりますので。
対する成田空港は、LCC(格安航空会社)との関係強化などに活路を見出していくしかないでしょう。
以前に比べると、かなり時間距離が短縮されたのですが、やはり国際的な基準から考えると「不便さ」を払拭することができませんから。
ちなみに、不便だと言われる上海浦東空港でさえ、リニアモーターカーと地下鉄の乗り継ぎもしくはタクシー利用で、概ね1時間という移動時間です。
この羽田vs成田の構図、しばらく目が離せないですね。

ここで、上海側の事情も紹介したい。
上海浦東空港は現在、3本の滑走路、2つのターミナルで供用されているが、いまなお拡張工事を進めている。
2015年を目処に、4本目の滑走路と、更に2つのターミナルビルが開業する予定というから驚きだ。この計画、以前から耳にしていたが、先日たまたま空港内の通路に表示されているのを発見したので、ほぼ間違いないかと。。。
よって、現時点でも第1ターミナルは第2ターミナルほど盛況ではないため、積極的に路線増に動くことは間違いなさそうな感じ。
文字どおり、アジアの航空需要を総なめしようと企んでいる感も・・・。

話を日本側に戻すと、今回の協定締結で期待が大きく膨らんでいるのは、関西国際空港や中部国際空港のほうだろう。
どちらも羽田、成田ほどの航空需要を抱えていないため、新しい話題が欲しかった状況でしょうし、実際のところ、羽田と成田は対象外なので、うまくアピールできれば路線増に繋がる可能性はあるかも・・・(そんなに簡単ではないでしょうが)。
折りしも福岡-上海便は、10月下旬から増便されると聞いている。
春秋航空も、地方空港-上海路線の拡充に意欲を示しているので、中国航空会社による攻勢には注目していく必要がありそうだ。


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ちなみに、日中間では現在、旅客便で週計668便が運航されている。
輸送実績のほうでは、東日本大震災の影響を受けた2011年でさえ約730万人と前年比微減の状況。国別では韓国、米国に次ぐ3位で、全体の約15%を占めており、中国の経済成長に伴って、路線の拡充や利用者増への期待は膨らむ一方だ。

こうした中、課題となってきそうなのは、現在の旅行商品の質。
日本は、狭い国土でありながら、多様な風土・文化・美食を有する珍しい国。
欧米からの観光客には馴染みの深い日本観光の優位点であるが、これが中国人観光客に浸透しているかと言えば、残念ながらその状況にはない。
これは、「安さ」を売りにした旅行商品が先に根付いてしまったということもあって、コスト面で日本らしさを旅行商品に盛り込むことが出来ないというジレンマに陥っている。
これも時間が解決してくれるのかも知れませんが・・・。

しかも、現状、まだまだ買い物ツアーの色合いも濃く、中国が真の消費市場に変貌した際に、現在ほど中国人観光客が日本を訪れるのかという懸念も内在している。
オープンスカイ協定のメリットを最大限に生かしていくには、航空業界のみならず、経済界全体で両国の交流を促進するための知恵出しをしていく必要があると言えるだろう。
地方都市の一員として・・・、微力ながら頑張りたいと思います。

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