毎朝くる鳥の中で、足が一本だけの鳥がいる。
猫にでも襲われたか、人間の罠で足をなくしたのかはわからないが、
他の鳥と同じように元気で虫をとっている。
私など、少し足が痛いだけでブツブツ文句を言うのだけれど、
野性の生き物は我慢強く、たくましい。
足の不自由な鳥をみていて、父のことを考えてしまった。
最近、ゆっくり話していないなあと。
朝、洗濯を済ませて久しぶりに父のところへ出かけた。
骨折後の足の調子が悪く、4年前より車椅子の生活である。
母は介護施設に入っているため、今はひとりで高齢者の有料住宅に住んでいる。
足は悪いけれど口ばかり達者で困ったものだと思っていたが、
今日話してみて、ずいぶん年をとったなあとしみじみ思った。
忙しくてなかなかゆっくり過ごすことができないが、
ふたりで外出し、昼はおうどんを一緒に食べて買い物もした。
たいてい日中は書道をしたり、新聞や本を読んだり、テレビを見て過ごしているとのこと。
今日は私が一緒にいたので気晴らしになったと喜んでいた。
私の仕事が忙しいことを知っているので、
骨折箇所の金具を取り除く手術の説明は自分ひとりで聞くから!
と、執刀医に詰め寄った父。
「娘は四国で一番忙しい薬剤師だから・・・。」と言ったとか、言わなかったとか(汗)
いやいや、そんなことはないと思うよ(苦笑)
でも、高齢の患者さんのお世話はさせてもらっているのに、
自分の両親は介護の方にお任せして・・・因果な仕事だなあとつくづく思う。
現在84歳の父。
「90歳まで生きたら、自分としての終わり方が完成するんだよ。」
と、わけのわからないことを言って、やはり口だけは達者。
どうぞ、どうぞ、90歳でも100歳でも長生きしてください。
その頃になると、私ももう少し親孝行ができると思うよ。
昼食も作らず出かけっぱなしで夕方帰宅すると、
夫が芝を刈り、テラスのタイルを磨いてくれていた。
見違えるほどきれいになっている。
「お父さん、喜んでた? よかったね。」 と汗まみれで笑う。
今日はとても暑かったからね。
いつもいろんなことを夫に支えてもらっている。
本当にありがとう・・・
と心から思ってるんだけど素直に言えないんだなあ、私