動物園へ行こう-豊橋編

 
 連休には動物園へ行ってきた。大の大人が動物園。ちょっとヘンかな。行ったのは、豊橋総合動植物公園(のんほいパーク)。
 駅から公園まで、道々、恐竜や象やシロクマなど、動物たちの像があって面白い。

 その日は極寒。すっかり凍えた私たち、まず温室で暖まろうと植物園へと向う。でもここの温室、結構充実していて、
「バナナの花って初めて見たよ」
「パイナップルが生ってるのも初めてだよ」
「旅人の木なんてあるんだねえ」
「ミッキーマウスの木の実を見てみたいねえ」
 ……とかなんとか言いながら見て回っているうちに、すっかり時間を食ってしまった。

 ここの植物園、フランス、ジヴェルニーのモネの庭から譲り受けたという睡蓮や枝垂れ柳も植わっていて、花期にはなかなかモネっぽい風情を出すらしいのだが、何せ季節は雪のちらつく冬……
 う、自然は無慈悲だねえ。ジヴェルニーの冬もこんなに侘しいんだろうか。

 牧場では木曽馬や兎や羊を撫で撫で。寒いなか、兎たちはみんなタマゴのように丸まっている。
 羊たちは相変わらず臆病で、撫でようとするとすたこら逃げてゆく。一頭が逃げると、他のみんなも一緒になって逃げる。オーウェルが、農場で一番頭の悪い動物と評したのも、よく分かる。

 小学生たちは木曽馬の乗馬体験ができるんだって。心は子供なんですが駄目でしょうか? って主張して乗せてもらおうかと思ったけれど、大人の思慮でやめておいた。

 To be continued...

 画像は、のんほいパーク、植物園の温室。

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ヘンデクとセブランの対話 2

 
「やあ、ヘンデク。お正月はどうだった?」
「元日は家族で、恒例の麻雀だよ」
「楽しかった?」
「みんな、いわゆる普通に知的で真面目で悪意のない人々でさえ、環境問題のことを分かっていないと分かったよ」
「そうなの?」
「麻雀しながらペチャクチャ喋ったんだけど、問題の本質や解決の方向性を分かっていないし、分かっていないことを自覚してもいるんだよね」
「それで?」
「真面目だから、知る機会があれば、知ろうとするよ」
「じゃあ、教えてあげればいいじゃない」
「もちろん、教えておいたけどね」
「それで?」
「真面目だから、問題の中身を知った上では、それを理解しようとするよ」
「じゃあ、いいじゃない」
「まあね。でも、正しいことを言える人間が周囲に存在しないもんだから、普通の人々は、解答を保留して見守っているのが実情なんだよ。地球環境の問題は自然科学の知識だけではなく、社会科学の分野に属する、市場、資本、国家、世界社会、そういったものすべてを理解しなければ解けない性格の問題だからね。もちろん、人間の叡知や営為、抑圧などについての一般的な理解も、なくちゃならないしね。まさに人類の理性に課された試練だね」
「じゃあ、同じことを、世界の普通の人々みんなにレクチャーしてあげたらいいじゃない」
「そうするのが一番、世界のために資することになるのかもねえ」
「それ、ヘンデクが適任だと思うよ」
「どうして?」
「微積分の問題があったとするでしょ。微積分を知らない人間が百人集まっても、百年かかっても解くことはできないし、百人が満場一致で合意して答えを出しても、その答えに意味はないけれど、微積分を知っている人間なら、たった一人で、あっという間にそれを解いて、正しい答えを出してしまうでしょう。それに、問題を解く力を持つ同じ人間なら、賢ければ賢いほど、予め問題を解きほぐして、一番解きやすいようにしてしまってから、一気にサラサラと解くものでしょう」
「うん」
「問題を解く力があって、解き方も知っているんだから、ヘンデクがやれば済む話だよ」
「なるほどね。……でも、その理由ならセブランがやってもいいんじゃないかい? 僕一人にやらせるつもりじゃないだろうね」

 画像は、ヨナス・リー「黄金の道」。
  ヨナス・リー(Jonas Lie, 1880-1940, Norwegian)  

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謹賀新年

 
 今年の水瓶座は12年に一度の幸運期。難しい課題も難なくクリアでき、すべてで大活躍できるらしい。
 ハーマイオニーと同じく、私も占いなんて信じてないけど、こう、良いことずくめで書かれてみると、何もないよりモチベーションは上昇する。

 今年こそは世界へと旅立つつもりの相棒。年が明けたら、旅程のプランを立てろと言う。こうなってくると、実務のこなせない二人、計画以前にいきなり頓挫。
 あー。こういうとき私は、かつて女優で、今は大学の教員になって、お洒落して、A級グルメ食べて、車乗って、週末にはふと思い立って、スーツケース片手に飛行機に乗って海外飛び回っている、キャリアウーマンみたいな女性に、自分もなりたかったな、って思うんだ。

 世界は2、3年前に相棒が読んだとおり、北京五輪後に世界恐慌に突入。旧覇権大国は相変わらずだし、新興覇権大国もまた、市民社会が未成熟な分、もともと凶暴だったのが、時勢に開き直って、ますます凶暴になっている。
 自然科学者たちがしつこく警告しているとおり、地球環境の展望はすでに絶望的なのだが、相棒によれば、自然科学者たちが視野に入れていないファクター、つまり戦争というファクターは、地球環境をさらに悪化させるという。システムは相乗的、加速度的に一つのベクトルを目指す。
 地球環境というシステムは、あの6分の1の確率で不吉に存在する、破滅への限界点へと突き進んでいる。

 日本は、時流に乗ってエコを標榜するようになったけど、あの恥さらしな経済界の根強い反撥で、具体的な環境対策は何も進まないまま。こいつら、もし話が彗星なら、その軌道が科学的に割り出され、1年後に地球に衝突するのが確実な場合、人類存亡を賭けて手を打つ、なんて言ってのけるくせに。
 大量生産・大量消費の従来どおりのスタイルに、エコという言葉さえも平気で利用する偽善。モノを大事にしない国では当然、人間も大事にされない。そう言えば、ここ半年、ブラジル人から声をかけられていない。と言うか、ブラジル人の姿を見なくなった。彼らはみんな切り捨てられたのだ。 

 新年は世界は戦争の年だよ、と相棒は言う。この人は読みが早いので、すぐにはそうならないにしても、数年のうちにはそのとおりになるんだろうな。
 この先10年、世界は暗澹たる未来が開けている。そして、行き着くところまで行き着かないと、転換は訪れない。

 あー、暗い。暗くて重くて辛くて悲しい一年が始まる。
 ……そうは言っても、こういう現実を受け止めた上では、せめて健気に、明るく楽しくやっていこうとは思ってるけれど。せっかく世界に旅立てるんだし。

 画像は、豊国「新年の習慣」。
  歌川豊国(1769-1825, Japanese)

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