トルコ料理

 
 トルコ料理というのは、世界三大料理の一つに数えられながら、日本じゃ、ずば抜けて馴染みのない料理だと思う。
 中華は今や日常的に作りもするし、食べるもする。フレンチも、レストランを見つけるのには不自由しないし、レシピ本も簡単に手に入る。対してトルコ料理への関心は、ようやくここ数年来のもののような気がする。

 私の場合、母が大のトルコ贔屓で、「海外旅行に行くなら、まずトルコによ!」と、子供の頃から耳にタコのできるほど聞かされていたので、トルコ料理というものには、久しく興味があった。と言って、母に頼んだところで、母もまたトルコ料理を食べたことがないものだから、我が家の食卓にそれが出ることもなかった。
「とにかく美味しいらしいわよ。何種類もスパイス使って調理して、なんでもかんでもヨーグルトかけて食べるのよ!」

 ……母のこんな説明じゃ、イメージなんて湧きやしない。で、私のなかでトルコ料理とは、ずっと、西洋と東洋が不思議に入り交じった神秘の料理だった。

 ところで念願叶って、ようやく、初めてトルコ料理なるものを食べることができた。

 前日、相棒が街で見つけた万博サテライト会場に、「世界の三大料理」の店があったのだった。で、後日さっそく、昼間はダンスドリル大会なるものを見物して、夕方、その会場まで足を運んだ。
 遊園地やらイベント会場やらを横目に奥に進むと、相棒の言ったとおり、トルコ料理の店があった。キッチンには、いかにもトルコ人らしいスタッフがたくさんいたから、多分、本場シェフの手料理なのだろう。

 ちょっと割高だったけど、これを逃しては食べる機会などあるものか、ということで、ピラウやらケバブやらを食べた。
 私たちの食べたケバブは、トマトやナスなどの夏野菜入りの羊肉の煮込みだった。ピラウはあっさり塩味。焼肉をはさんだケバブ・サンドも食べてみたかったのだが、生憎なかった。
 坊はおまけに、びよ~んと伸びる、例のトルコ風アイスクリームも食べていた。

 期待過剰だったのかも知れない。もしかしたら、日本人の舌に合うよう、アレンジしてあったのかも知れない。美味しかったが、別にこれと言って神秘の料理というわけではなかった。
 が、長年の謎が氷解するというのは、とにかく気分の良いものだ。私は大満足だった。

 画像は、サテライト会場近くの壁画。
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