世界をスケッチ旅行してまわりたい絵描きの卵の備忘録と雑記
魔法の絨毯 -美術館めぐりとスケッチ旅行-
陽気なM一家(続々々)
人生初のヌーディスト・ビーチにたじろぐ相棒。
「まだシーズンじゃないから、入っても大丈夫だよね?」と躊躇する。
いいんじゃない? 寒くて、水着の人なんて誰もいないし。もし、ヌードの女性に出くわしたところで、窮地に陥るのは私じゃないしね。
でも、こんなオープンなビーチで、シーズンには実際女性がヌードになるのかしら。帰国してから調べてみたのだが、ホントにスッポンポンになるらしい。特に年配の老婦人たちが。そして、男性の行き来が許されるあの看板の下ぎりぎりには、一塊の男性群が、ヌード見たさにウロウロしているのだとか。
太陽の光に飢える北の大地、旧社会主義を生きた老婦人たちが、オールヌードで海岸に身をゆだねるのって、何気に好ましい。
さて、延々歩いてペンションに到着。着いた頃には雨になった。このペンション、鉄道の駅には近いのだが、バスのターミナルからは怖ろしく遠い。
中庭のベンチに座った、ローティーンの小柄な女の子が、物珍しそうにこちらを気にしている。部屋に案内されがかりに、「テレ(=ハロー)」と挨拶したら、「エストニア語が話せるの?」と、階段途中までついてきた。
今日は歩き疲れたし、明日も雨なら億劫だしで、予約では要らないと言ってあった翌日の朝食を、用意してもらえないか、と唐突に頼んでみる。
「でも、日本人に朝食って、どういうものを用意すればいいのかしら?」とペンションの妻君が戸惑う。
「あー、パンとコーヒーで」と答えると、妻君のホッと出した安堵の吐息はそのまま好意の失笑となった。寿司でも食べるものと思ったのかな。
翌日はタリンまで鉄道で移動するつもりだった相棒。車に乗り慣れない私たちには、鉄道のほうが利用しやすい。が、ペンションの夫君に時刻表を尋ねると、
「みんなバスを使いますよ」
怪訝な顔をしてよこす。
To be continued...
画像は、パルヌ、タリン門。
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