ギリシャ神話あれこれ:ペルセウスの冒険(続々々々々)

 
 その頃、傲慢なポリュデクテス王は、ペルセウスがいないのをよいことに、ますます乱暴にダナエに言い寄るようになっていた。ダナエはとうとう聖廟に駆け込み、王のほうは聖廟を取り囲んで、何も餓死することはあるまい、おとなしく出てきて妻になれ、と、ダナエの出方を待っていた。
 そこへ、ペルセウスが島に戻ってくる。

 で、事情を知ったペルセウスは怒り心頭、ちょっとワンパターンな感は否めないが、またもやメドゥサの首を取り出し、王たちを石にしてしまった。

 その後、恩人ディクテュスを島の王とし、ペルセウスは、アンドロメダとダナエを伴い、ダナエの故郷アルゴスへと向かう。
 が、ダナエの子が帰ってくるという噂を聞きつけたアクシリオス王は、パニックになって、こっそりとアルゴスを逃れた。一安心かと思いきや……
 
 ペルセウスがアルゴスに行く途中、テッサリアのラリッサを訪れた際、五種競技会が催されていた。元気あふれる若者ペルセウスは、腕試しに参加することに。
 円盤競技に出場し、さあ、円盤を投げたところが、手が滑ったらしく、円盤は見物人のあいだへと落ちてしまう。円盤は一人の老人の頭を直撃し、老人は死んでしまった。
 この老人こそ、ダナエの父王アクリシオスだった。王が娘の子に殺される、という神託は、ちゃんと成就したわけ。

 図らずも祖父王を殺してしまったペルセウスは、王の跡を継ぐことを拒み、従弟と領土を交換、ティリュンス王となる。以降、英雄にありがちな浮気もせず、後にはミュケナイ(ミケーネ)を建国、幸せに暮らしたという。

 ところで、メドゥサの首はアテナに献上され、以来、アテナの楯アイギスの真ん中に、紋章として飾られている。
 ……アテナもこれで気が済んだだろうか?
 
 画像は、S.リッチ「メドゥサの首をピネウスに突きつけるペルセウス」。
  セバスティアーノ・リッチ(Sebastiano Ricci, 1659-1734, Italian)

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