魔法世界の魔力

 
 ここ数日は、「ハリー・ポッター」シリーズの最新刊を一気に読んで、寝不足。全7巻シリーズで、ようやく第6巻まで終わったところ。
 このシリーズの日本語訳者の思い入れが嫌いな上に、訳書の出るのも遅いので、私は毎回、相棒にねだって原書のペーパーバック版を買ってもらい、日本語訳に先んじて読んでいた。なのに今回、一年も待ったあげくに、ペーパーバックより訳のほうが先に出てしまった。ショック。

 子供の頃、上の弟から教えてもらった「ソーサリー」シリーズにハマってからは、SFと並んでファンタジーも読んでいた。もともとイギリスの雰囲気が好きで、世界文学のなかではイギリスのものを一番読んでいるし、なんだかんだで、「ハリー・ポッター」シリーズも結構面白く読んだ。
 魔法使いや魔女、妖精、ネッシーのような怪物、ゴーストなどなど、伝説の宝庫イギリスのファンタジーは、どれもみんなイメージ豊か。イギリスには、是非々々行ってみたいなー。

 シリーズは、ある日突然、魔法学校で学ぶことになった少年ハリーの、冒険の物語。不思議な魔法世界で、様々なものに触れ、様々な人に出会うなか、自分の過去の秘密や闇の魔法使いに立ち向かい、成長していく。
 
 相棒はこれを、一種の「教養小説」だという。実際には現実世界の諸問題を描いてるんだけれど、それをファンタジーという舞台に置くことで、よりシンプルに、クリアに設定できるのだという。
 そう言えば、訳では「闇の帝王」とか「ご主人さま」とかという表現になっているが、この「ダーク・ロード(Dark Lord)」、「マスター(Master)」って、「スター・ウォーズ」にも出てくる。ヴォルデモートはさしずめダース・ベイダー。
 短気で軟弱なうちの坊は、よく、ダーク・サイドには陥りたくない、と煩悶し、自分の良心と葛藤している。つまり、スポイルされた人間にはなりたくない、という葛藤。こういうファンタジーに借りた設定って、確かに分かりやすいのかも。

 ところでファンタジーには本当に、人を虜にする魔力があるらしい。うちの坊ですら、挿絵のない、活字だらけの分厚な本を、時間を忘れ、それこそ貪るように読む。
 坊の場合、呪文をすべて書き出して呪文集を作り、箸で作った杖を腰に差したり、タオルケットのマントを肩に巻きつけたりして、魔法使いなんて幼稚な真似までするんだけれど。

 画像は、バーン=ジョーンズ「魔法使い」。
  エドワード・バーン=ジョーンズ(Edward Burne-Jones, 1833-1898, British)
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