数学的思考

 
 学生の頃、現役の中学生たちと中学校教員たちとのディスカッション番組を見た。
 中学生たちは、「数学を勉強する理由が分からない」と主張し、それに対して中学校教員たちは、「社会に出る上で最低限の知識を身につけるため」、「問題を解く面白さを実感するため」などと、なんとも説得力のない返答をしていた。
 当然、中坊たちは、「将来、八百屋になりたい奴が、方程式や面積を解けたって、役には立たない。計算なら、計算機がやってくれる」と言い返した。

 結局、教員たちは最後まで、生徒たちに、その意味を問い直すだけの回答ができずじまいだった。

 それを観ていた弟が、うんざりしたように言った。
「これやから中学の先生はアカンにゃ。数学は、正答を出すん自体が目的なんとちゃうねんぞ。プロセス踏んで正答を導く、論理的思考を養うためにやるんや。思考力なかったら、善悪の判断もつかんやろーが。八百屋も糞もあるか」
 それから、ジロッと私を見た。
「お前、俺が言わんでも、それくらい分かってたやろーな」
 
 なははー、ちゃんと分かってましたとも、弟よ。君の言うとおり、子供たちは数学を、論理的思考力を養うために勉強するのダ。

 To be continued...

 画像は、ボス「愚者の船」。
  ヒエロニムス・ボス(Hieronymus Bosch, ca.1450-1516, Netherlandish)

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