なんだか、やっぱり「思い出話、打ち明け話」的な展開になってしまったこのブログですが・・・(笑)
T宝時代のたのしい思い出の中に、高倉健さんの思い出があります。
なんどかこのエピソードはご紹介していますが、あらためて健さんの遺徳を偲びたいと思います。
結論から言うと、健さんははっきりいって、「神」でした。
(なので、絵文字封印して、まじめにかきますね^^)
初めてお会いしたのは、私が26歳のとき。
新婚ほやほやで、邦画の宣伝部に異動になった年の10月におめにかかりました。
※初めてお会いしたころの健さん。65歳でしたが、輝くばかりにかっこよくて渋かったです!
健さんはちょうど、市川崑監督の「四十七人の刺客」という映画に主演されていました。
私は、その完成披露試写会で、控室係、いわゆるお茶くみ係を仰せつかりました。
お茶くみ、というと、「ええっ、そんなアナログなこと、まだやってるんですか!?」と、
若い方はビックリされるかもしれませんが、
これがなかなか馬鹿にならない、というお話をしたいと思います。
健さんは、大変寡黙な印象の方ですが、それは実はまったく違いました。
実は、この写真のイメージがいちばん近いのですが、いつも笑顔でニコニコ明るく、豪快で、
現場のいちばんのムードメーカーでいらっしゃいました。
私は、健さんほどのスーパースターにどうやって接したらいいのだろう、と思いました。
が、健さんが、京都のイノダコーヒーがお好き、と人から聞いて、
イノダコーヒーを、印刷会社の営業さんにお願いして、取り寄せていただきました。(感謝です!)
こちらがイノダコーヒーのインスタントコーヒーです。健さんはこれが大好きと伺いました。
そこで、試写会当日、有楽町マリオンの控室で、このコーヒーをお出しして、もてなしました。
健さんはニコニコしながら、イノダコーヒーを召し上がっていました。
しかし、健さんは、悠長にお茶を飲む暇もありませんでした。なにしろ、1000人を超すお客様をお迎えして、
大試写会を行うので、健さんには、政・財・芸能界きっての大物のお客様たちが訪れるのです!
その秘書的に取次ぎをするのが、お茶くみ係の私の役目でもあったのでした。
入社3年目で宣伝部にきてまもない私、訳がわからないままに、ひたすら健さんに
「北大路欣也さんがお見えになりました」
「大原麗子さんがお見えになりました」
「尾上梅幸さんと富司純子さんがお見えになりました」といった具合に
伝令よろしく伝えていました。
とにかく100人を超す大スターが集結して、健さんにご挨拶されたのでした。
健さんはそのたびに「ああ、わかったよ。ありがとう!」といいながら、
よく通る野太い大きなあの声で、「おーい、〇〇!元気でやってるか!」と元気よく挨拶され、
「わっはっは!」と大きな声でよく笑い、楽しく談笑されていました。
北大路欣也さんなどは(すみません、ばらしてしまいますが)、なんと健さんに90度頭を下げて、
「健さん、ご無沙汰しております!」と挨拶されていました。
東映時代から、よく共演されているから、やっぱり体育会的に先輩・後輩ということなんでしょうね。
すぐに納得しました。
大原麗子さんは、「お兄ちゃん!」と甘えた声で、健さんにかわいらしくご挨拶。
やっぱり東映時代から共演もおおかったですものね。
健さんは、麗子さんのあだなを呼びました。「おお、ビッチか!(^_-)-☆」
ふたりはほんとの兄と妹のように、仲良くおしゃべりに興じていて、ほほえましかったですね。
テレビで見るよりすごい「ショー」に、私はもうビックリでしたが、
だんだん、「健さんってとてもいいひとなんだな~」と思えてきて、
どんどん並みいるスターさんをたのしくご案内できるようになりました。
・・・とにかく大変な試写会が終わって、T宝のスタッフたちも引き上げて、お客様も帰ったころ、
ひとり後片付けをしていた私に、健さんと私がふたりきりに一瞬なりました・・・。
すると、「おい、君さぁ、名前なんて言うんだい?」と聴いてきたので、私はビックリ!
「はい、・・・〇〇チコと申します」とようよう答えましたら、
健さんが「入社何年目なの?」というので、
「3年目です。宣伝部には、今年の4月に異動になりました」といいました。
すると、健さんが、破顔一笑して、
「〇〇さん、君すごいよな。控室係って結構大変なんだぜ。
よく僕のところに来たお客様の顔と名前、全員一致したね!」というのでした。
私は緊張のあまり、「わ、私、高校では校内きっての芸能オタクだったんです。だからです」と答えたので、
健さんが「わーはっはっは」と大爆笑しました。
「君、なかなか面白い子だな。じゃぁさ、来週の映画の初日も、控室係をたのめるかな?
僕が映画業界で生き残るすべをおしえてあげるよ」
とおっしゃったので、私は大感激!
そこで、私は、「はい!」と直立不動で、健さんにご挨拶し、お見送りしました。
健さんは笑顔で、スタッフに見送られ、帰っていきました。
で、初日舞台あいさつとなりました。
そこでなにがおきたかは、また明日以降のお楽しみに!!