麻婆豆腐の作り方は、覚えてしまえばどうってことのないものだった。
ひき肉を炒めながら味噌で味をつける。一般的に辛味噌と甘味噌で(豆板醤とテンメンジャン)。
そこにスープと酒を流し込む。煮立ったら豆腐を投入、また煮立ったら水溶き片栗粉を投入、最後にねぎ投入。
いい塩梅で出来上がり。
簡単だ。…って、本当にアバウトでいい加減なんですけれど。
そのくらいがちょうどいいのだ。
この作り方は料理教室で教えを乞うた訳ではない。料理の本を立ち読みして、その足でスーパー寄って作ってみたまでだ。
よって、マジうろ覚え。
たった今、書いているうちに忘れていた調味料の名前が浮かんできてしまったくらいだ。
生姜をひき肉炒めるときに使ってもいいだろうし、胡椒を振っておいても美味い。ニンニクは閉口したな。
…量がやたら多かったんだよな。。
いくらニンニクが好きな人が作ったものだったとしても、そりゃねえだろと思った量だった。食べた傍から香ったもの。
…自己愛の料理はきついです。私の自己愛溢れた文章も読みにくいかもしれません。あしからず。
さて。
麻婆豆腐の味付けである。
先制攻撃で手抜きコメントを発するのであれば、「何でもいい、美味けりゃ」である。
しかし、それでは話が進まないですね。
とは言え、麻婆豆腐で個性を発揮させるのは結構勇気がいると大半の人は思うだろう。
先入観に、〇美屋があるから。
麻婆豆腐に限らず、「なんちゃら1個ですぐできます」シリーズ(半レトルト)は簡単に本格的な味ができる。
貧乏学生の味方でもあり、家庭の食卓を救う救世主でもあったりする。実はそうとうな実力者。
しかしながら、これが案外曲者なのです。うちのおとーさんは〇美屋の味じゃないと満足しません。
…参りました。僕より長く生きているから刷り込まれた味付けに従順なのはよく判ります。
うぅん、参ったな。。
それはさておき。
先日何気なく食べた寮での夕食、言わずと知れた麻婆豆腐だったのだが…これが美味かった。
赤味噌風味の麻婆豆腐だったのだ。
よく考えなくてもテンメンジャンの風味のようにもなる赤味噌を使ったものとは、結構なサプライズ。
名古屋は何でも味噌ばっかりと馬鹿にされそうな赤味噌、赤だしは今でもうぅん…だけれども、これは美味い。
えぐみがコクに立ち代り、そこに辛味と豆腐の甘みが相まってとにかく箸が進む。
あぁっ、ビールください。紹興酒ください。お代わりもください。
陳麻婆豆腐店の婆さんが麻婆豆腐を発明してから、まだ100年ちょっとしか経っていないのだという。
しかしながら伝播の速度は太古の昔に比すれば超速であり、しかし立派な中華料理として取り入れられた。
そして、この日本のデトロイトの片隅では当地の味噌を使った料理へと立派に変遷したのである。
…ううむ、これは研究の価値はある。
果たして、街の麻婆豆腐はいかなる味をしているのだろうか…。