夢かよふ

古典文学大好きな国語教師が、日々の悪戦苦闘ぶりと雑感を紹介しています。

つひにゆく道

2012-12-18 23:05:13 | 日記
今日は、職場の上司のご尊父が亡くなられたため、通夜の儀に参列。

上司やご親族の方々が、悲しみをこらえつつ振る舞っている中で、3、4歳の女の子が、祖父が亡くなったことも知らぬげに、広いところに連れて来られたのが嬉しいらしく、ぱたぱたと走り回っているのが、見ていてせつない。

焼香をすませ、僧がお経をあげる声を聞いていると、人間の死についていろいろと考えてしまう。

世俗的・物質的な成功や、争いやもめごと、愛憎、歓楽などにふだん自分がどれだけとらわれているかがわかる。しかし、そうしたものは死という基準の前ではとたんに色あせて見え、それらにあくせくするのはむなしく思われる。

  人みなに死ぬるならひを知りながら知らず顔にて世を過ぐすかな

しかし、自分もいずれはと思い、その日までに何ができるかを考えてみるが、結局、自分のなすべきことを日々誠実につとめて、そのさ中に死んでいけるのが一番よいという当たり前の答えにたどりついただけだった。

  死出の道そなへよとてもいかがせむ日々のつとめのほかのものかは

葬儀場からの帰り、明日の補習授業で生徒に返却すべき答案の採点がまだ済んでいないことに気づき、家に帰ったらもうやらないだろうなと思ったので、珈琲館でコーヒーを飲みながらすることにした。喪服姿で(黒ネクタイは外したが)喫茶店で採点をする中年男って…という気はしたが、ままよ、と取りかかり、1時間ほどで片付けた。授業の予習がまだ残っているが、明日の朝、すこし早めに出勤してやることにしよう。