小中高と同窓生で、ブラバン仲間だった某大学教授がいる。
中学ではトロンボーンだったが、その後フルート、中年になってバイオリンもこなしている。
彼はノーベル賞に手が届きそうなところまで物理学を極めてきているけど・・・
一方でロシアのソプラノ歌手アンナ・ネトレプコの「追っかけ」でもある。
彼が自慢げに話すのは、学術世界よりも 彼女の話ばかりだ。
嬉しそうに見せられるのは、ネトレプコとの楽屋でのツーショットや、
マネージャーら少人数でレストランで食事をしている姿など
本当に親密でなければありえないような写真ばかり。
場所だって、アメリカ、イギリス、ドイツ、日本とさまざまなのだ。
僕はといえば、自慢じゃないが、ガイジンが近づくだけで逃げ出しそうなくらいなのに
彼ときたら 今をときめく、超美人のソプラノ歌手一家とこんなに親しくしている。
世界中探しても、彼ほどネトレプコと親しいのは旦那と家族を除けば、彼一人なのだと思う。
それが不思議でならない。
彼はそんなにハンサムでもなければ、音楽的に優れているというほどでもない。
無論大学教授の給与、資産はタカが知れている。
そんな彼が 家族にあきれられながらも、追っかけを続けて、
結局これ以上親しい人はいないというまで行き着いている。
彼は国際人を通り越して、なにやら別世界に住む人みたいだ。
でもまーそんな彼も 僕と同じ歳だし、海外から戻って大学教授をやっているわけだし、
そろそろ くたびれて 息切れしているかもしれないな~・・・などと思って、
mediti.TVが特集してるネトレプコの映像のURLを送ってやった。
http://www.medici.tv/#!/2003-st-petersburg-gala
そしたら、返信メールが戻ってきた
すると・・・ななんと・・・・
彼は現在ザルツブルグにいるという。えっザルツブルグ?
別に国際物理学会があるからではなく、
某音楽大学のフルートコースでレッスンを受けているというのだ。
しかも、その合間にネトレプコのステージもしっかり見にいっているではないか。
これから1週間は、ドイツ旅行をしながらザルツブルク音楽祭を堪能する予定だけど、
フルート教室の合間に教授に断って、声楽家志望者のコンサートを見にゆき、
そこで第二のネトレプコ間違いない女性を見つけた、などと書いてよこしている。
ん~、今度はその娘の「追っかけ」か~、おいおい・・・
同じような学生時代を歩んだのに、なんでこんなにも違った人生なんだろう。
やはり早い段階から勤めていた会社から留学生として選ばれ、
その後海外ビッグビジネスに身を転じ、さらに国際学会で鍛えられることで、
国内人→国際人へと一大変身を遂げたのだろうか・・・
それとも、彼のアグレッシブさはガキのころから図抜けていたけど、それが開花しただけなのか・・・
それに引き換え自分はドメスティックの代表みたいなものだ。
会社だけは今すこし変化しつつあるけど、自分は国内でしか通用しない世界にいる。
海外の人との交流はゼロだし、仕事以外ではあまり外部の人とも交わらないという、超ドメ人間だ。
大学教授って、いいな~なんて思ってみても、大学教授になったからといっても全員が
国際人になれるわけでもなく、中でも寸暇を惜しんで音楽に打ち込むだけの情熱を持てる人は稀だ。
いまさら自分の人生をやり直せるわけでもないし、
他人と比べて悲嘆にくれるほどナイーブでも、柔い(やわい)年齢でもなくなってはいる。
でも、いまどきの国際人が知っている世界を少しは見てみたかったなーなどと思わなくもない。
ちょっとだけ癪なので、僕としては今年も生中継される、バイロイト音楽祭の「ローエングリン」でも見て、
擬似国際感覚でも味わってみるかな~。
ふらんすへ行きたしと思へども
ふらんすはあまりに遠し
せめては新しき背広をきて
きままなる旅にいでてみん
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます