医療と薬の日記

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新型コロナの自宅・ホテル療養者、服薬フォローの杜撰さを防げ

2021-01-29 14:30:54 | 日記
新型コロナ感染症の拡大に伴って、PCR検査陽性者が自宅・ホテルなどでの待機を余儀なくされる状況が増えています。


待機中、体温計やパルスオキシメーター(血中の酸素濃度を測る)が貸し出され、通常1日1~2回体調について電話などでのフォローがある。フォロー体制(健康確認)は地域医師会などの協力を仰ぎ、自治体が構築する。


基本的には、こういった状況のようです。
自治体にとっては、宿泊施設の手配や医師会への依頼、医療機器の手配、感染者数の増減の把握など、行うべき業務が膨大です。従事できる職員や保健師・協力してくれる医師や看護師それぞれのマンパワーや人数によって、実施可能な健康観察の内容も変わってくるだろうと思います。

前提として、待機者は年齢・基礎疾患・新型コロナ感染症の重症度において低リスク・軽症ということになり、健康確認(電話等でのフォロー)では、その中で重症化する待機者を確実に拾い上げることが主眼となります。
一方で、待機者はすべて新型コロナ感染の検査陽性者ですから、多くの方が発熱(軽いものから高熱まで)や咳をはじめとして、多彩な症状を呈することになります。

上で述べたように、この健康確認のスキーム自体は「診察」の条件を満たすものとして構築されている・できている訳ではなく(少なくともスタート時は難しそうです)、また業務に従事できる人員・待機者数も地域によって様々であることから、体制に混乱が生じているようです。

「ネット診療などで症状を医師に相談でき、重症化の有無も確認されたうえで、発熱などの症状に対し医薬品が処方される」自治体もあれば、待機者が自ら購入(あるいは家族からの差し入れ)した市販薬を自己判断/看護師の助言/医師の助言で服用しているといった状況もあるようです。マンパワー不足のため、1日2回の健康観察を行いたいができていないといった地域もあるとのことでした。


健康確認に従事する医師の「市販薬は使いづらい」といった声を見ました。
実際、症状に対応する医薬品供給を考えるとき、市販薬では不要な成分が配合されていたり用量が不十分であったりと、使いづらいだろうと感じます。
待機中の状況について綴っているSNSでは、残念ながら不適切あるいは危険な服薬状況も散見します。「病状や体調の状況によっては、この薬は使うべきではない…」といったことも少なくないのです。


各自治体の担当者におかれましては、当該地域の薬剤師会などに対し、医薬品供給・服薬のフォローアップ体制構築への協力を依頼して頂ければと思います。
市販薬のほか、「処方箋医薬品以外の医薬品」カテゴリー(医療用医薬品のうち、医師の処方箋を必須としない医薬品)もあり、医薬品の使用に関連する待機者への助言やフォローアップにも参画できるはずです。

医薬品利用に不安のある待機者の方は、
〇かかりつけにしている薬剤師がいればその薬剤師
〇継続フォローしてくれそうな薬剤師
〇医師や自治体担当者が紹介してくれるならその薬剤師
へ連絡してください。