ちいちゃんのひとりごと

ちいちゃんのひとりごとを勝手気ままに書いています。

「菊乃の気持ち」4

2016年02月02日 | 介護
菊乃はおとなしい性格である。祖母に育てられたか、祖母の性格を受け継いでいた。
 母が菊乃を身ごもった時、祖母はお腹の子どもをおろすことを母に勧めた。が、時はすでに遅かった。母は菊乃を産む決心をしていた。母は男の家に乗り込んで行くことも考えたが、ある時ふと街角で見かけた男の幸せそうな家族を見てあきらめてしまった。
 半年後菊乃は元気な産声をあげて生まれた。母は祖母の名前から一字を取って菊乃と名付けた。
祖母は母が不倫の末に産んだ子どもでも子どもに罪は無いので、菊乃をことのほか可愛がった。
菊乃も祖母には良くなついた。しかし菊乃が物心付くと自分に父親がいないことを母や祖母に責めた。
菊乃が後にも先にも母や祖母に父親のことを言ったのはそれっきりだった。
 母は生活のために一生懸命働いた。菊乃は母に文句も言わなかった。菊乃は祖母の愛情を独り占め出来ることが嬉しかった。
高校を卒業しトリマーの専門学校に行くことも祖母が一番喜んでくれた。
 菊乃の母はお金は出すが余計な口出しはしない人だった。犬を飼う時も「責任を持って飼うこと!犬も家族と思うこと!」しか言わなかった。菊乃はコンを弟のように可愛がった。コンも菊乃に良くなついた。
 菊乃は自分が思春期になると自分の母が不倫の末に菊乃を産んだことを薄々感じていた。しかし菊乃は母にそんなことは一言も言わなかった。

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