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『毒婦。』

2012年07月28日 | 芸術

毒婦。』の彼女 どこからどこへ?

09年秋、「婚活サギ女」「練炭女」「平成の毒婦」「なりきりセレブ」「蜘蛛女」。そんな言葉が飛び交っていたのは知らなかった。とくに殺人事件の警察発表など信用できるか。

木嶋佳苗の裁判傍聴記を、北原みのりが週刊朝日に今年一月から連載を開始した。快挙。みのりちゃんはバイブ屋の店長を自称する女性向けアダルトグッズ・バイブ販売の「ラブピースクラブ」を主宰。期待していた傍聴記が一冊の本に。

渋谷センター街で露出する黒肌の女の子たちが闊歩した時代。処女性とか従順とか女の子らしさではなく、剥き出しの攻撃性でセックスを売り始めた時代。

十六年間、佳苗の生業は売春。婚カツ詐欺も売春の変形パターンだ。その手口は「素朴で明るくて料理が好き、体の相性を確かめたい、避妊しなくてもいい」。婚期を過ぎた男にとって、こんな都合のいい女は滅多にない。佳苗が陸続とメールを送り、経済的援助を切り出して甘え、自己チュウ男の自尊心をくすぐって次々と大金を巻上げる。

三件の殺人、三件の詐欺、三件の詐欺未遂、一件の窃盗で起訴。殺人については無罪を主張し、詐欺については一部認め、窃盗は否認。

北原が見たナマ佳苗は、二年半もの勾留生活を経てなお、生き生きとキレイだった。また声が優しく上品。果ては百円ボールペンのノックの仕方まで優雅。謎は深まる。裁判のたび、新たな発見がある佳苗。計り知れない不思議っぷり。「名器」自慢に法廷内パニック、なんていう章もある。多くの男性関係で培ってきた自身の性的テクニックと肉体の能力を、誇らしげ供述。月に百五十万円を稼いで、貯金はしたことがない。んー、上野千鶴子の言葉、「援交世代から思想が生まれると思っていた。生んだのは木嶋佳苗だったのね」。

三人が死んだため、裁判員裁判。それも事件毎に裁判員を入れ替えるのではなくすべての事件をまとめて審理する「一括審理」。百日という過去最大の裁判員裁判となった。

六人の裁判員のうち、記者会見で二十代の若者は、「達成感があった」「自分の持つ以上の力を出し切れた」「裁判員と裁判官の結束力が強まった」と、にこやかにスポーツ選手会見のように爽やかで明るい。北原みのりは色んな疑問を投げかける。わたしも疑問。

男目線で正義を振りかざして被告を糾弾する検事。劇場型裁判の典型だ。

裁判が終わったあと佳苗は便せん二十枚もの手記を、朝日新聞に送る。韜晦、慇懃無礼な自己弁護。わたしは読んでいて、佳苗の傲慢さに呆れるばかりだった。

 参考文献: 「毒婦。 木嶋佳苗100日裁判傍聴記」 北原みのり 朝日新聞出版
 参考リンク: 手記 http://60643220.at.webry.info/201204/article_4.html

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もとの原稿。字数を減らすために、半分以上を割愛。

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09年秋、「婚活サギ女」「練炭女」「平成の毒婦」「なりきりセレブ」「蜘蛛女」...そんな言葉が飛び交っていたんだ。ほとんど知らなかった。なにしろ、殺人事件の警察発表なんて信用できないし、検察リークは怪しいもの。彼女の事件は、でまわる写真が醜女あつかい扇情的なので、嫌あな気分。だから、バイアス掛かっているものは知りたくない、知っても騙されるだけだもの。
 
今年一月からの裁判の傍聴記を、北原みのりが週刊朝日に連載し始めた。これは、快挙。大きな御世話マスコミに指導されコラムニストと名乗ることもあるが、みのりちゃん本人はバイブ屋の店長と自称している。なにしろ女性向けアダルトグッズ・バイブ販売という革命的な「ラブピースクラブ」を主宰しているのだ。女の目からみた、この死この愛この報道この性行為。どう見えるのだろう。期待してしまう裁判記録、これが一冊の本になって上梓。
 
九三年。バブル景気の余韻を残した東京に、はるか別海・北海道から十八歳で上京して以降、その一年後には高級デートクラブに登録し売春を始めた木嶋佳苗。一回のセックスが十万円だという。パンツから唾液まで、女の子たちが持つものは、全て売り物になった時代。
 
渋谷のセンター街では黒肌の女の子たちが闊歩し始めた時代。処女性とか、従順とか、女の子らしさではなく、露出した強い黒肌をまとい、これまでにない剥き出しの攻撃性で、セックスを売り始めた時代。今までに誰も見たことのなかった女の子たちが、大量発生した時代だ。女の子ならば誰でも売れた。むしろ、プロにならないほうが、オジサンは喜んで金を出したのだ。
 
その後、十六年の間、佳苗の生業は売春だ。婚活詐欺も、売春の変形パターンだものね。 「素朴で明るくて料理が好き、体の相性を確かめたい、避妊しなくてもいい」婚期を過ぎた結婚願望男にとって、こんな都合のいい女は滅多にないぞ。佳苗が次々とメールを送り、経済的援助を切り出して甘えるのも、自己チュウ男の自尊心をくすぐるところ。恋愛に不利となる容貌と肥満は、逆に「まさかこんな女性が?」と、相手を油断させるために有利に働いたのだろうか。

三件の殺人、三件の詐欺、三件の詐欺未遂、

一件の窃盗で起訴された。殺人については無罪を主張し、詐欺については一部認め、窃盗は否認している。
 
北原が見たナマ佳苗は、生き生きとキレイだった。二年半もの勾留生活を経てなお、だ。また、声が優しく上品。果ては百円ボールペンのノックの仕方まで優雅とは、なんということだろう。謎は深まる。裁判のたび、そう、逢うたびに、新たな発見がある佳苗。計り知れない不思議っぷり。
 
検事の問い詰め、証人の発言。だまされた男たち。セックス観。「名器」自慢に法廷内パニック、なんていう章もあるものね。多くの男性関係で培ってきた自身の性的なテクニックと肉体を、誇らしげに高らかに堂々と自慢。月に百五十万円を稼ぐようになっても、貯金はしたことがない。んー、上野千鶴子の言葉、「援交世代から思想が生まれると思っていた。生んだのは木嶋佳苗だったのね」が、胸に痛い。
 
三人が死んだということで裁判員裁判。それも事件毎に裁判員を入れ替える「区分整理」でなく、すべての事件をまとめて審理する「一括審理」。百日という過去最大の裁判員裁判となった。えー、百日も付き合うなんて、尋常じゃないよお。体育会系というか根性もりもりの人たちが裁判員を遣り抜いたのではないかと、勘ぐってしまいたいほどだ。
 
六人の裁判員のうち、二十代の記者会見での発言。「達成感があった」「自分の持つ以上の力を出し切れた」「裁判員と裁判官の結束力が強まった」と、にこやかに答えていた。それはまるでスポーツ選手の会見のように爽やかで明るかった。また、「死刑の判断は揺らぎませんでしたか? 昨晩は眠れましたか」の質問に、その裁判員は「揺らぎませんでした。眠れました」と答えていた。その他、北原みのりから色んな疑問がわいてくるぞ。わたしも、そうだ。男目線で正義を振りかざして被告を糾弾する検事。劇場型裁判の典型だ。みんなで「お白州」の義務だ。そ、国民の義務とやら。
 
話題に満ちた裁判が終わったあと、佳苗は便せん二十枚もの手記を、初めて朝日新聞に送ってきた。北原への当て付けのような流麗な筆致。これまた韜晦、慇懃無礼な自己弁護。わたしは読んでいて、佳苗の傲慢さに呆れるばかりだった。
 



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