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強姦されたジェニファーと 無実の終身囚の実話なり

2014年10月03日 | 

強姦されたジェニファーと 無実の終身囚の実話なり

臨場感あふれるドラマ。これは真実の物語。

米国の白人大学生ジェニファー。ある夜、自宅で見知らぬ黒人に強姦される。体と心、ずたぼろになりながらも勇気を揺り絞って不正義を糾そうと決心。面通しで男たちから強姦されたときと同じ言葉を、何人もから浴びせられる。セカンドレイプだ。そんななかで、必死に犯人を指し示す。二度と、こんなことがあってはならない。犯人は報いを受けなければならないと。
 
恋人との関係も事件を切っ掛けに、ぎくしゃくする。強姦されたときに「感じたのか」という、とんでもない言葉を受け、別離。
 
 「無意識の転移」。面通しで見て、さらに法廷で見ることは、つまり、次第に相手の顔が犯人の元々の像にとって代わっていくことなんだ。記憶が歪められていく。自分を襲った人を30分も見たし、数インチしか離れていなかった。それなのに、完璧に間違ってしまった。
 
いっぽう、やってもいないのに目撃証言によって終身刑囚になったロナルド。未来のない監獄暮らし。
 
刑務所では、弱虫に見られないようにするのが大切だ。そうすれば利用されずにすむ。たとえ喧嘩で負けたとしても、やり返したことで一目置かれる。多くの者が身を守るために、嘘でも殺人犯だと名乗る世界だ。
 
そこに真犯人が別の強姦により獄入りしてきた。そう、あざ笑う真犯人が同じ獄にいるんだ。彼と彼の家族を傷つけた真犯人。奴を殺すしかないと、密かに凶器を作る。父の顔を思い出し、かろうじて踏みとどまる。
 
ながいあいだ、ずっと雪冤を訴え続ける。O・J・シンプソン事件でDNA鑑定を知り、十年後にDNA鑑定で無実が証明される。
 
彼女にとっても、彼にとっても悲劇。白人の中産階級のジェニファー。黒人の貧困層のロナルド。二人は次第に友情を育んでいく。二人が各々の人生を再構築してゆくさま。強姦されたジェニファーなのに、犯人の気持ちにも配慮するようになる。なぜ犯罪が起こるのか。どうすればよいのか。犯人識別において、捜査官の誘導にならない方法。そうだ、警察の在り方も変えていくさまも描かれている。ノースカロライナ州では、取り調べの可視化や検察官の証拠の全面開示、目撃証言の採取手続きの制定など画期的な改革が行われた。
 
信じられないほどの衝撃の、実話。
 
とらわれた二人 無実の囚人と誤った目撃証人の物語」 ジェニファー・トンプソン-カニーノ,ロナルド・コットン,エリン・トーニオ 指宿信,岩川直子 訳 岩波書店

クリエイティブ・コモンズにて、転載。救援連絡センター発行「救援」紙の、2面の連載コラムより

----------- 関連リンク -------------------------------------
 
 取り調べの録音録画や検察官の手持ち証拠の全面開示、目撃証言の採取手続きの制定など画期的な改革
 
 
 
 
NHK 解説委員室: 視点・論点 「取り調べ可視化はどこへ向かうのか」C(指宿教授)
 
YouTube: Picking Cotton
 
 
桜井昌司『獄外記』: 「とらわれた二人」を読んで
 
弁護士会の読書(福岡県弁護士会): とらわれた二人
 
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