クリエイティブ・コモンズにて、転載。
救援連絡センター発行「救援」紙の、2面の連載コラムより
「もう逃げない」と 林眞須美さん長男本
心妹の林眞須美死刑囚。もう二十年以上も獄に囚われたままだ。
過酷な取り調べにも自白しなかった。だって、やってないんだもん。だから反省もするわけがない。改悛の情があったら、おかしいよ。屑マスコミが毒婦扱いするのに腹が立つ。
ああ、夫に毒を盛ったとされてるけど当の健治さん自身が「違う、自分で飲んだ」と言っている。その彼ももう七十歳超えの車椅子生活。なかなか発言するのも困難らしい。
そこで、この四月から32歳の長男の登壇。ツイッターでは「和歌山カレー事件 長男」と名乗って発信している。説明書きに「母親との交流、記事、資料等を日々お伝えしていきます。背景画像は戸籍謄本になります。辛辣な意見、誹謗中傷含め様々なご意見をお聞かせ下さい」とある。写真は、七五三のときの可愛い晴れ姿。
七月にはビジネス社から単行本がでた。「もう逃げない」だってさ。姉妹たちは家庭を持っているだろうし、彼が伝達者の決意を持ったのだろう。
五章に分かれた本書は、家族の辿った様々な暮らしを描いている。どうしても気になるのは、いじめだ。
×学園では、暴行されて前歯が折れる。でも、コケたと嘘をつくんだ。職員に助けを求めて無視されたら、もっと絶望するからだって。悲しすぎるよ。
首を締められて気絶して、頭から道路に倒れたときも「自分でコケた」と言ったと。
姉は施設職員の恐ろしさを伝えてきたと。「先生は生徒に殴る蹴る、言うこと聞かんかったら食事抜き」、これが実態なんだろう。
母は薬の飲みすぎ。監獄はおとなしくさせるために睡眠薬は、すぐくれるんだと。頭痛薬や風邪薬はなかなか許可されないのに、おかしいよね。
高校生の時、バスケットボール部のキャプテンとなった。すると、相手チームから「死刑囚の子供」とヤジを飛ばされる。
高三の六月に父が滋賀刑務所から出所したら、大勢のマスコミが追いかけてくる。校長から「来なくてよい」と言われる。なんとも凄まじい国だ。ここは。
施設ではカースト最下位だから、保育士からの性暴力を数年間に亙って受ける。ついつい、びっくりしたとこを列記してしまったけど、気になるひとは是非、手にとってほしい。
勇気ある本。眞須美さんは、どんなに喜んでいることだろう。
「もう逃げない。~いままで黙っていた「家族」のこと」 林眞須美死刑囚長男 ビジネス社