千恵子@詠む...................

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新年を

2012年01月01日 | 詠む

新年を地震で迎え薄曇り さあこれからが反転攻勢

救援連絡センター機関紙「救援」1月号2面の連載コラム、執筆者の快諾を得て転載。

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2 0 1 2 年 反 転 攻 勢 を

ホモ・サピエンス、つまり人類が登場したのは約十五万年前といわれている。ところが原子力発電所が生み出す放射能は人類史に匹敵するほどの期間、残り続ける。特に、人類にとって極めて危険な高レベル放射性廃棄物をどう保管し、管理し続けるか。この問題を解決する方法を、人類はまだ見つけていない。

この問題を解決する一つの試みがフィンランドで行われている。世界で初めて高レベル放射性廃棄物「永久地層処分場」建設をフィンランド国会が承認、そのプロジェクトに着手している。このプロジェクトの進行を記録したマイケル・マドセン監督によるドキュメンタリー映画『100,000年後の安全』が昨年公開され、各地で話題になった。
 
永久処分場とはいえ耐用年数は十万年に設定されたのでこのタイトルとなっている。しかし果して人類は十万年という「永遠とほぼ同じ時間」を管理できるのか。十万年後に人類は存在しているのだろうか、というのが映画の一つのテーマとなっている。
 
来日中のマドセン監督に対するインタビューが昨年の東京新聞に掲載された(12月23日特報面)。福島第一原発事故について言及した監督はこう言う、
 
「福島事故で浮き彫りになったのは、日本人の“心のメルトダウン”だ」
 
「これだけの大事故なのに、政府も企業も事故対応が間違っていたことを認めない。国民全体でも、原発をどうするのかという議論が盛り上がらない。それが一番深刻な問題です」と結論。
 
全く同感だ。過去のいざこざを、すべてなかったことにする「水に流す」日本独自の発想がその基盤になっているのか。自然界の物質は水に流せば環境中で循環するが、いったん生まれた人工放射能は十万年単位で残り続け、地球環境や人類に被害を及ぼし続けるから始末が悪い。
 
「日本には、事実を国民に教えない文化があるのか。あるとすればなぜ、それで日本人は納得してしまうのか」(マドセン監督)。
 
そう、原発だけではない。沖縄の米軍基地問題や、TPP、あるいは警察・検察・裁判所の問題、消費税増税など、この間とりあげられているあらゆる問題はどれ一つとっても他国では暴動につながりかねない重大事だ。けれどもいずれも解決の糸口すら見いだせないでいる。
 
「日本人の“心のメルトダウン”」は、何年も続いてきたということなんだろう。
 
今年はこのメルトダウンを修復すべく、数多くの問題に着手できるよう、私も、そして読者諸姉諸兄も奮闘する年であってほしい。
 
☆関連記事
処理先送り 倫理の問題/高レベル放射性廃棄物/日本人“心のメルトダウン”深刻。東京新聞 2011.12.23 「こちら特報部」(ブログ『どこへ行く、日本。(政治に無関心な国民は愚かな政治家に支配される)』2011年12月23日)
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