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不登校の息子とビョーキの母

不登校の息子との現在、統合失調症の母との過去

母の発狂

2018-12-25 10:49:15 | 日記
私の父は私が18歳の時に自殺しました。享年47歳でした。
工場の経営に行き詰まり、借金を返すために自殺したのです。

不渡りを出してからすぐの死でしたが、その1年前から生命保険をかけていたところを見ると、
とうに覚悟は決まっていたようです。

バブルのあおりで中小の工場がバタバタと倒産していた頃でした。

元々変人だった母は、この時を境に本格的におかしくなっていきました。

「近所の人が陰口を言っている」
とか、
「借金取りが家に押し掛けてくるから、おばあちゃんの家に身を寄せていなさい」
と私に言うようになったのが、今思えば妄想の始まりでした。

父が自殺した我が家のことを近所の人が噂するのも、借金取りが家に来ることも現実にありそうなことなので、
その時は母が発狂したとは思いませんでした。

私は言われるままに祖母の家に身を寄せました。
当時姉も祖母の家から東京の職場に通っていたので、自宅には母だけが残りました。
借家だったので、母も一緒に来ればよさそうなものなのに……。
私はといえば大学生活が忙しく、親のことには無関心でした。

母がふらりと祖母の家に現れたのは、それから1年ほど経ってからでした。

母は祖母の家の玄関口で、
「来ちゃった」
と照れたように笑って言いました。

なにが「来ちゃった」だ、と突っ込むのも忘れて、私は母の風体を眺めました。
着の身着のままで、髪はボサボサ、履いているのはサンダルです。
この格好で1時間も電車に乗って来たとは。神経質だった以前の母からは考えられないことでした。

その日から母は祖母の家で暮らし始めました。着替え一つ持たず、自宅もほったらかしにしたまま。

もっとも、母には着替えなど必要ありませんでした。
母はその時もう風呂にも入ろうとせず、着替えもしなかったのです。



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