日々茫然

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夕凪の街 桜の国

2007-07-11 | 映画の話

試写会が当たったので、見に行ってきました。
広島人として、また原作のファンとして、お金払っても見に行くつもりだったんですが。

最近の試写会は、うちから近い街中の映画館ではなく、車でないと不便な所にできたショッピングモール(フジグラン)の中にあるシネコンでばかりだったので、街中の映画館でもやってくれたのはありがたいです。
やっぱり、舞台が広島だからかな。(広島では1週間ほど先行上映されるみたいですし)

 公式サイト

上映15分前くらいに行ったのですが、もう席はほとんど埋まっていて、残った空席は前2列がいくつかと、3列目が1つだけでした。前から3列目に座りました。
上映前に、主催の地元テレビ局アナウンサーが登場し、解説。
そして、なんとっ!
田中麗奈(と監督)が登場

カワイー 顔ちっちぇー
前の席でラッキー(でもこんなことなら一番前に座っとくんだった)
広島ならともかく、まさか福山に来てくれるなんて
10分ほどの挨拶とインタビューをすませ、帰って行かれました。


さて、本題。
映画は、原作と同じ2部構成になってます。

 夕凪の街
 昭和33年広島。皆実(麻生久美子)は母親・フジミ(藤村志保)と貧しくも平穏に暮らしている。弟・旭(伊崎充則)は戦時中に水戸へと疎開し、そのままおば夫婦の養子になっていた。
 ある日、皆実は同僚の打越(吉沢悠)から愛の告白を受ける。しかし、原爆で自分が生き残ったことに罪悪感を感じる皆実は、幸せに飛び込んでいけない。そんな皆実の想いを打越は優しく包み込む。しかし―
 桜の国
 平成19年、夏の東京。定年退職した旭(堺正章)と一緒に暮らす娘の七波(田中麗奈)は、最近の父の不審な行動を心配していた。今夜も一人、家族に内緒で出かけて行く旭の後をつけてみると、父は広島行きの夜行バスに乗り込んだ。駅で偶然会った同級生・東子と共に後を追う。
 広島で旭が立ち寄る先や会う人々を遠目に見ていくうちに、亡くなった祖母・フジミや伯母・皆実へと思いをめぐらせる七波。家族や自分のルーツを見つめ、広島でかけがえのない瞬間を過ごしていく―


人前で泣くのは恥ずかしいので、極力我慢はしたんですが…
原作読んでも泣いてたので、覚悟はしてましたが…
要所要所で、度々泣いてしまいました。

この物語は、主要な登場人物である皆実、フジミ、旭、打越、七波、凪生(七波の弟)、京花(旭の妻)、東子、それぞれ、原爆との関わり方が違います。

これだけみんな違うのに、よく上手にすっきりまとめたなぁ、というくらい。
例えば、皆実は、その瞬間・惨状を目撃し、妹(翠)の死を見取り、生き残った。
フジミは、その時一時的に視力を失い、直後の惨状を見ていない。
旭は、疎開していて被爆していないが、父と姉(翠)を失った。
打越は、当時広島に住んでいなかった。

被爆者、被爆2世、被爆者を愛した人、被爆者を家族に持つ人、被爆者差別を受ける人、被爆者が被爆者を差別する気持ち、など、様々な立場での心情を共有することで、原爆というものをより深く、身近に捉えることができるようになっていると思います。


正確な言葉はうろ覚えなんですが、
皆実の、「(私はあの時、)『死ねばいい』と誰かに思われたということ」という言葉が、胸に刺さりました。
それは、深く傷つく。

もう一つ、
「13年も経ったけど、原爆を落とした人は、“やった、また一人殺せた”とちゃんと思うてくれとる?」
13年後の彼女の死に、意味はあるのか?
13年も経って、原爆の影響で苦しんで死んでいく人の事を、落とした人は、知っているのか、どう思っているのか…
そして今でも、同じように苦しんでいる人はいるのだ、“終ってはいないのだ”、と痛切に感じました。

もう1回、この映画を応援する意味でも、ちゃんとお金を払って見に行こうかな、と思いました。
もし興味を持ってくださったら、どうぞ見てみてくださいね


原作漫画の一部立ち読みもできますよこちら

コメント (6)
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