千葉県博物館協会の博物館資料救済活動

千葉県博物館協会では、加盟館園の資料が、津波などの災害で被災した場合、協会全体でそれを救済するシステムを構築しました。

H29年度ブロック代表者会議が開催されました。

2018-03-11 16:28:07 | 日記

 千葉県博物館協会博物館資料救済事業に関わる平成29年度ブロック代表者会議を、平成29年2月23日(金)10:30から、千葉県立中央博物館で開催しました。県内9ブロックの中核館、サブ中核館の方、センター館職員、地域振興委員、さらにオブザーバーとして県教育庁文化財課職員の方、総勢18名にご参加いただき、以下のような内容について活発な議論が交わされました。

 冒頭、県博協で本事業を担当する地域振興委員理事の開会あいさつ、その後、出席者の自己紹介ののち、下記の議題について協議しました。

【主な議題】

1. ブロックの近況について
 各地域で開催したブロック会議の議論の中からとくに以下のような意見が出たことが、各中核館から紹介された。

①  千葉地域ブロック会議

・空調の不具合で資料の温湿度管理がしっかりできる収蔵庫が不足している館があること。

・資料は常設のものだけの館でも、借用資料については温湿度管理ができるスペースが必要であること。

・収蔵スペースが不足していること。

②  東葛飾地域ブロック会議

・博物館資料と市史資料の棲み分けが不十分であり、混在しているとの問題指摘があった。

・新規資料が未整理のままで放置されてしまっている現状も紹介された。一方、資料のデータベース化については、各館とも着実に進んでいることも確認された

・各市町村の地域防災計画の中での文化財等の取り扱いについて、すでに明記されている市、改定時に明記を要望中である市があることが紹介された。

・防災訓練時の非常持ち出しリストの策定を進める必要が確認された。

・情報伝達訓練について、災害がいつ起こるかわからないことを想定した訓練も必要であるとの意見があった。

③  葛南地域ブロック会議

・資料のデータ化の作業については、進んでいない館がある一方、新システムを導入する予定の館も存在する。

・情報伝達訓練については、県博協を退会した館も訓練には参加することが紹介された。また訓練時に、担当職員以外の館内職員への周知が各館共通の課題であることが確認された。

④  印旛地域ブロック会議

・今年度の情報伝達訓練予定日の3月11日は、日曜日となることから、手薄な出勤体制が予想されることから、担当職員以外の館内職員への周知が重要であることが確認された。

・県博協の会費について、負担金審議会で承認されていないと、予算化が難しい状況が紹介された。(このことについては、代表者会議で協議し、協会事務局が状況を再調査することとなった。)

⑤  香取・海匝地域ブロック会議

・これまで別々であった香取ブロックと海匝ブロックが、今年度から正式に合同で活動していることが確認された。

・資料の温湿度管理について、各館が苦労している状況が紹介された。

⑥  安房地域ブロック会議

・前回の情報伝達訓練では、電子メールを使用した館が3館、電話を利用した館が1館、ファックスを利用した館が1館であった。次回については、中核館での確認漏れを防ぐため、各館の使用する伝達手段をあらかじめ事前に把握しておいたほうがよい、との意見があった。

・資料データのバックアップについては、今後も進めていくが、他館でのデータ共有化は、個人情報や財産台帳とも関係するのでなかなか難しい館も存在する。

・地域防災計画の中に文化財や博物館資料の文言を盛り込まれているか否か、その盛り込み方については市町ごとにまちまちである。

・地震以外の災害リスクにも備えるべきとの意見も出された。

⑦  君津地域ブロック会議

・各館の災害・防災訓練の実施状況について報告があり、3館は最低年一回の訓練を実施していることが確認された。

・夜間の警備体制については、ブロック内で警備員が常駐するのは一館のみであり、他は夜間無人であることが報告され、災害が夜間に発生した場合の初動態勢に大きな問題があることが確認された。

・資料データについては各館様々な状況で、現在デジタル化を進めている、寄託資料を除き紙台帳による管理のみ、PC上のエクセルデータとして管理している、すべての資料についてデジタル化を完了し、古い資料については紙台帳も保管している、ことなどが報告された。

・資料データの他館との共有化については、個人情報管理の問題が未解決であり、今後も継続的に検討するにとどめた。

⑧  山武地域ブロック会議

・ブロック内には、公立館、大学美術館、寺社経営館など、多様性が高く、資料データの共有化は、各館の事情が異なるためなかなか進まない。

・近くには存在しても、各館の忙しい状況では、このブロック会議のような機会でもなければ、他館の職員と知り合いになる機会を得ることは難しい。

⑨  長生・夷隅地域ブロック会議

・資料消滅は自然災害のみではなく、所有する方の個人的都合による場合があることから、廃棄される個人所有の資料は、各館が連携して助ける必要がある、という意見があった。

 

2. 協会加盟博物館基礎データの更新について

・今年度の更新が未完であるので、後日、地域振興委員会から各中核館に再度ファイルを送付する。

・中核館は、ブロック内加盟館に更新を依頼し、更新後委員会に返信する。

・委員会は、情報伝達訓練までにセンター館事務局に送付する。

 

3. 情報伝達訓練について

・今年度の訓練も3月11日に実施する。

・伝達手段は、昨年同様、ファックス、電子メール、電話のどれかを用いる。

 

4. 関東圏のネットワークについて

・国が実施している文化財防災ネットワーク推進事業の関東圏担当が東京国立博物館で、そこの呼びかけで関東圏の文化財救済関係者が年数回会合を開催している。

・千葉県からは当救済事業の地域振興委員会とセンター館事務局(中央博物館)が出席しているほか、文化財課、県立中央図書館、文書館および千葉歴史・自然資料救済ネットワークも出席している。

・今後は関東圏関係者の連絡網を共有し、各県が実施する研修会などに、他県の関係者もオープン参加できるようにしたい。

 

5. 日本博物館協会の研修会について

・日本博物館協会の研究協議会「博物館と防災」が、2月8日(木)、9日(金)に静岡県立美術館で開催された。

・当協会から地域振興委員が出席し、千葉県博物館協会の災害時の対応、平時の対応などについて紹介した。

・他に、愛知県、岩手県、神奈川県、静岡県の現状について、報告があった。

・国の文化財防災ネットワーク推進事業に関する報告もあった。

 

6. その他

・地域振興委員から、当協会の博物館資料救済事業が開始されてから丸4年、システム作りから6年が立とうとしている現在、センター館のリーダーシップの下、再度本事業の意義と継続の必要性を確認する必要がある、との意見が出された。


山武地区のブロック会議が開催されました。

2018-03-06 15:06:13 | 日記

 今年度の山武ブロック会議は、平成30年1月30日午後1時30分から航空科学博物館にて開催されました。

 山武ブロックは芝山町立古墳・はにわ博物館が中核館で、山武市立歴史民俗資料館がサブ中核館です。構成する館は他に、芝山はにわ博物館、城西国際大学附属水田美術館、航空科学博物館です。

 当日の出席館は芝山町立古墳・はにわ博物館、山武市立歴史民俗資料館、航空科学博物館の3館で、ほかに千葉県博物館協会地域振興委員会山武地区担当が出席で、芝山はにわ博物館、城西国際大学附属水田美術館は欠席でした。

 芝山町立古墳・はにわ博物館の奥住氏の司会で開会され、最初に県博協地域振興委員会から久野がこの会議の趣旨を説明し、最近一年間に自然災害で被災した博物館資料の報告はないが実際に災害が発生して資料の救済活動を実施するには各館の担当者は普段から顔見知りになり他館の事情を知る必要があることを説明しました。続いて各館の現状を報告で、直近の企画展、所管の文化財の修復事業、別館建設や新収蔵品の情報交換などをしました。次に、3月11日に実施される県博物館協による連絡訓練の手順を説明しました。次に、資料消滅の原因は災害ばかりでなく所蔵者の諸事情によるものがあるので、2016年に千葉資料ネット関係各館が某家資料を助けた例のように、救済すべき資料は各館が連携して助ける必要があることを確認しました。最後に、航空科学博物館を見学しました。

 


長生夷隅ブロック会議が開催されました

2018-03-06 14:52:03 | 日記

 今年度の長生夷隅ブロック会議は、平成30年1月12日午後1時30分から県立中央博物館大多喜城分館にて開催されました。

 長生夷隅ブロックは県立中央博物館大多喜城分館が中核館で、睦沢町立歴史民俗資料館がサブ中核館です。構成する館は他に、いすみ市郷土資料館、御宿町歴史民俗資料館、県立中央博物館海の博物館、長南町郷土資料館、房総浮世絵美術館、風の資料館「航風館」、茂原市市郷土資料館・美術館です。

 

 当日の出席館は長南町郷土資料館、睦沢町立歴史民俗資料館(県博協地域振興委員会長生夷隅地区担当兼任)、いすみ市郷土資料館、県立中央博物館分館海の博物館、県立中央博物館大多喜城分館の5館でした。

 大多喜城分館の高橋氏の司会で開会され、最初に県博協地域振興委員会から久野がこの会議の趣旨を説明し、最近一年間に自然災害で被災した博物館資料の報告はないが実際に災害が発生して資料の救済活動を実施するには各館の担当者は普段から顔見知りになり他館の事情を知る必要があることを説明しました。続いて各館の現状を報告しました。次に、資料消滅の原因は災害ばかりでなく所蔵者の諸事情によるものがあるので、2016年に千葉資料ネット関係各館が某家資料を助けた例のように、廃棄される危機のある資料は各館が連携して助ける必要があることを確認しました。次に、3月11日に実施される県博物館協による連絡訓練の手順を説明しました。最後に、大多喜城分館で展示中の重文指定の大薙刀を高橋氏の解説で見学しました。