閑猫堂

hima-neko-dou ときどきのお知らせと猫の話など

ハナ

2016-06-24 18:58:59 | サンゴロウ&テール

中国語版「黑猫三五郎」を見ていたら、三五郎という表記が
だんだん目になじんできました。いいんじゃないかな、これ。

それはさておき。
ぱらぱらめくっているうちに、「あああ!」と叫んだところがあります。
『キララの海へ』の、原本でいうとp.45ですね。
マリン号がキララの海に入り、潮の流れが速くなるところ。
 

(ボウズ岩を右にみて、ハナをまわれ。
ひろい道をとおるな。おとし穴に気をつけろ。)

というサバ黒じいさんの言葉が回想で入るのですが、
ボウズ岩が「和尚礁石」はわかるとして、そのあとに「花」の字が見える。
「在开花的地方」って、ひょっとしたら、「花が咲いている場所」じゃないかな?

「岬のハナをまわる」みたいな言い回し、船乗り用語というか、
海から見て、突き出た陸地の最先端をハナっていうわけで、
漢字で書けば「端」か「鼻」(これも顔の先っぽだからね)になるでしょう。
そもそも、サバ黒じいさんみたいな老練の船乗りが、
いつ咲くかわからない花のようなものを航海の目印にするはずはない。

そもそもカタカナで書いてあるのがまぎらわしい。
(たぶん漁師のスラングっぽい雰囲気を出したかったんだと思う)
日本語は同音異義語がすごく多いですからね。
おまけに、数ページあとには本物の「花」が出てくるので、
偶然にもつじつまが合ってしまう。
翻訳者さんがハナ=花と思ったとしても、これはしかたありません。

わたしが「あああ!」と叫んだのは、もしかしたら、日本国内にも、
読み違えている方がいらっしゃるのでは…と急に不安になったからです。
読む人が読み違えないように書くのは基本中の基本。
「花」だと思ってた人、ごめんなさい。
って、20年以上もたって今さら気づいてもなあ。

絵を描いた人に聞いてみたら、「だからボウズ岩に“鼻”を描いた」
と言っており、この人はいちおう正しく理解していたので、ややほっとしました。 

 

 

コメント
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