閑猫堂

hima-neko-dou ときどきのお知らせと猫の話など

「ちっこい魔女ワンナ・ビー」

2012-02-29 15:05:28 | お知らせ(新刊)

「バースデーには、すてきな魔法を!」(偕成社 マジカル★ストリート8)
という本の中に、短編ひとつ書かせていただきました。
小学生の女の子向きアンソロジーです。

昨年3月の震災のあとで最初に書いたお話がこれです。
「こんなときだからこそ、元気に、楽しい物語を・・」
という趣旨のご依頼でした。

書きたいものは、すぐに浮かびましたが、それは震災とは関係なく、
ちっこい・・いや、もうかなり大きくなった、ある女の子のこと。
なりたかったものになれなくて、どこへ行ったらいいかわからなくて、
立ち止まっていた子のこと。

だけど、この本が発売になるまでの1年のあいだに、
彼女は彼女なりに自分の道を探し、しっかり歩き出していたようで。
よかった。うん。ほんとによかったです。

ええと、こういうことを著者が言うのもナンですが、
わたしは自作に関して、「本のチカラ」というものを
ほとんど信じておりません。
自分の書いたものは、いわば自家用の処方薬なので、
基本的には自分にしか効かないと思っています。
効能はおもてに大きく書いてあったりしませんし、
むしろ有効成分がわからないよう念入りに偽装してあったりする。
「これを読んで元気出してねっ」などと言って
他人に手渡せるようなものでは全然ないわけで。

その「おっきい迷子ワンナ・ビー」ちゃんが、
道をみつけることができたのは、ひとえに彼女自身の力。
きっかけをもらってわたしが書いたのは、ただ自分のため。
そうして出来たものが、あちこちめぐりめぐって、
わたしの知らないところで、知らない子が読んでくれて、
あ、これ、なんかちょっと好きだ、と思ってくれたら・・
そんな偶然のめぐりあわせこそが、著者としては、
何より嬉しいことだな、と思うのであります。


以下、余談。

今回の原稿を書くにあたって、念のため、
「魔女の魔の字を使っていいかどうか」を
まず先に確認させていただきました。
というのは、小学生向きの出版物の場合、たまにですが、
「学校で習う漢字しか使っちゃダメ」なことがあり、
あとから言われるとすごく困るからです。
これが教科書になると「習った漢字は使わなきゃダメ」もあり、
それもまたなかなか厄介です。
魔という字は小学校の配当漢字に入っていませんので・・。
(子どもたちはアニメ等でけっこう見慣れていると思いますけどね)

「ま女」「ま法使い」とマヌケな表記をするくらいだったら、
その単語が必要な話はそもそも書かないでしょう。
いや、でも、魔の字を使わずに魔法の話を書いてみなさい、
どうだ、できるかね?って言われたら、
それはそれで、かなり面白かったかも。

 

 

バースデーには、すてきな魔法を! (マジカル★ストリート)
日本児童文学者協会・編
偕成社
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