閑猫堂

hima-neko-dou ときどきのお知らせと猫の話など

「スターズ」について

2010-12-17 09:57:33 | Q&A

◆大学院生さんからのご質問。
(…このお名前でいいのかな? やみ○○研究家さんじゃなく?)

>『スターズ』のメンバーにはモデルはいますか?
>またモデルとなった「街」はありますか?

それぞれ複数のモデルはいたかもしれないですが、
(おもに風貌や服装の描写の参考として)
具体的に誰ということは思い出せないので、
ほとんどは「作った」のではないかと。
ショーは『シナモン・トリー』のバジルの別バージョンですね。
こういうヒトは、ときどき勝手に出現するので、作る手間がいらない…(笑)

大学の4年間、東京の端から端まで地下鉄とJRで通学していたので、
東西線、丸の内線、銀座線あたりのイメージが強くあります。
当時の銀座線はとても古くって、駅に入る直前にガチャガチャと揺れて、
電流?か何かの切り替えのため一瞬車内灯が消えるんですよ。
丸ノ内線も、カーブで傾くのと音がうるさいのとで有名だったな。
いまは地下鉄もずいぶん静かで明るくなりました。

ある日、地下鉄に、お母さんと4歳くらいの男の子が乗ってきました。
座席につくと、男の子はすぐに靴を脱いで窓の外を見ようとしました。
「外なんか真っ暗で、なんにも見えないでしょ」
お母さんがたしなめると、男の子はふりむいてキッパリと答えました。
「『ちか』が見えるよ!」って。

そうか。何も見えないんじゃない。
地下鉄に乗ると、地下が見えるんだ。
見ようと思う人にだけは。

そのことが、当時のわたしにはものすごく貴重な発見に思え、
以来ずっと頭の片隅にしまってありました。
『スターズ』を書いたのは、それから20年くらいあとのこと。

1章の魔女の家は、かつて神戸市内に実在したもの。
2章冒頭の地下鉄の階段は、丸ノ内線の新宿御苑前駅。
階段をあがったところはたぶんJR総武線の本八幡駅。
スターズのビルはJR山手線の五反田駅前の雑居ビル。
でも実際にあったのは進学教室じゃなくて音楽教室!
…というふうに、いろいろつぎはぎで出来ています。

(ほら、ねー、聞かれると、聞かれてないことまでしゃべる人…)

スターズ
竹下文子/作 小林敏也/画
パロル舎 1998年

 

ご質問リクエスト受付中→こちら

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目の色について

2010-12-17 09:48:31 | Q&A

ご質問リクエスト、別名「舞台裏見学ツアー」(笑)
つづきます。

◆浮草さんから。

>絵を描いた方に質問です。
>サンゴロウの目は「みどり」と本文ではなっていますが、
>表紙のカラーではいつも片目ずつ青と黄色(コハク色)ですよね。

  

(このご質問は、このあとサンゴロウ最終巻のネタバレありなので
未読の方はご注意くださいませ)

 


 

>サンゴロウがうみねこ族とやまねこ族の混血だったという事実は
>最終巻で出てきますが、最初からそういう設定で絵を描いていらしたのでしょうか?
>それとも絵からそういう設定が生まれたのでしょうか?

はい、描いた人、どうぞっ。


 絵というのは、どこかにピントを合わせて見ているので、
 一つの画面で、同じ色というものはありません。
 それと関係あるかわかりませんが、
 なぜか、サンゴロウの目は、このように描きたくなってしまうのです。

 

…ということで、つまり、描いた人にもわからんと(笑)

目の色についてのご質問はよくいただきます。
片目ずつ違う、いわゆるオッドアイについては、
以前サンゴロウのカテゴリーでも書いたとおりです。(→こちら

猫の飼い主さんはよくご存じと思いますが、
もともと猫の目は、光や環境で色が違ってみえます。
うちの黒猫ズは、珊瑚がイエロー系、真鈴がグリーン系ですが、
(うーん、こうしてみると、名前と色が全然合ってないぞ)
なに色と一口に表現できない微妙な深みのある色で、
天候とか、時刻とか、どこで何を見ているかによっても違います。

絵の具のセットに「ビリジアン」というグリーンがあります。
わたしはその色がキライで、青と黄を混ぜて緑をつくるほうが
ずっと複雑できれいだということを、小学生のときに発見しました。
均一でなく、混ぜるたびに色が変わるのが好きだったのね。
いつかそれを使ってやろうと、ずーっと思っていた…のかどうか。

3巻で、やまねこ族を「コハク色の目」にした時点で、
最終巻の「ガラス玉ゲーム」がぼんやり見えていたわけですが、
1巻を書いたときには3巻のことはぜんぜん考えてなかったからなあ。
(わりと「いきあたりばったり」な作者)

 

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