チェルノブイリ子ども基金・事務局だより

チェルノブイリ子ども基金スタッフが綴る事務局の日々。

日本産婦人科医会「福島原発事故による妊婦・授乳婦への影響について」に対する見解

2011-03-29 14:00:01 | Weblog
  日本産婦人科医会「福島原発事故による妊婦・授乳婦への影響について」
        に対するチェルノブイリ子ども基金の見解


 社団法人日本産婦人科医会が平成23年3月19日付で
「福島原発事故による妊婦・授乳婦への影響について」を発表しました。
この文章にはチェルノブイリ事故に対する言及が2点含まれています。
この2点について、チェルノブイリ子ども基金の見解を示します。

  [日本産婦人科医会の文章]
  1.チェルノブイリ原発の大事故でも、避難距離は50キロでした
   レベル7であった史上最大のチェルノブイリ原発事故の時でも、
  約50キロ離れていれば、健康を守るのに十分であったと記録されています。
  今回の、レベル5と判断された、福島原発事故では、
  50km以上離れた地域での放射線による健康被害の可能性は
  ほとんど考えなくてよいでしょう。
  また、現在、総線量 100 ミリシーベルトを超えないように、
  避難・屋内退避などの指示が出されていることから、
  30km以上離れていれば、健康被害はないと考えられます。

【子ども基金の見解】 
 「チェルノブイリ原発事故のときでも、約50キロ離れていれば、健康を守るのに十分であった」
という表記は、事実と異なります。
 チェルノブイリ事故による健康被害は、50キロにとどまりません。
原発から100キロから300キロ圏に位置するベラルーシのゴメリ州でも、
多くの子どもが甲状腺ガンを発症しました。
菅谷昭医師(現・松本市長)が、
ベラルーシの甲状腺ガン患者の手術・治療にあたるために滞在したのもこの地域です。
現在もこの地域では健康被害が続いています。
 日本でも福島原発事故による今後の放射能汚染の度合いによっては
50キロよりさらに避難範囲を広げる必要がでてくる場合も想定されます。
放射線による被害を特に受けやすい妊婦や子どもたちは、
今のうちからできるだけ遠くへ避難させることが必要であると考えます。



(放射能汚染食品測定室作成(1990))



  [日本産婦人科医会の文章]
  4.万一被ばくした場合の被害
   チェルノブイリ原発事故後20年の経時的調査による国連のレポートによると、
  この事故により、子供の時にミルクを飲んで被曝した人たちの甲状腺がんが著明に増加しましたが、
  白血病や先天異常児等は増えなかったと報告されています

   この甲状腺がん増加の原因は、放射性ヨードに汚染された空気を吸い込んだり、
  汚染された草を食べたりした牛のミルクに、放射性ヨウ素が多量に含まれていたためです。

【子ども基金の見解】 
 チェルノブイリ事故の被災地では事故から5年たった頃から小児甲状腺ガンが多発しました。
しかし被曝の影響は甲状腺ガンだけではありません。
事故から25年を経た現在も、甲状腺ガン、白血病をはじめさまざまなガンを発症する子どもがいます。
また、未熟児や先天性の病気の子どももいます。


チェルノブイリ事故の被災国は、発病のデータを公表していません。
そのため事故による健康被害の全容は今も明らかではありません。

しかし私たちチェルノブイリ子ども基金は、
現地の病院や慈善団体と協力しながら
チェルノブイリ被害児童の救援活動を20年間続ける中で、
病気の子どもたち、命を落とす子どもたちを、実際に見てきているのです。
これは紛れもない事実です。

私たちのもとには、実際に下記のような声が現地の医師から寄せられています。

●ベラルーシ ゴメリ市中央小児病院
「我々の病院は、年齢が18歳までの15,000人の患者を受け持っています。
この地区にはチェルノブイリ事故による避難民の家族が住んでいます。
ここ数年子どもの病気は増加していますが、
病院には検査や治療のための医療機器が非常に不足しています」
(2011年2月 子ども基金顧問、フォトジャーナリスト広河隆一が取材で訪問)

●ウクライナ ジトーミル州オブルチ市病院産科
「チェルノブイリ事故の影響による放射線汚染地域であるオブルチ地区やナロジチ地区では、
未熟児で生まれる子どもが増えています。未熟児の命を救う医療機器が不足しています」
(2011年3月4日メールにて受信)


チェルノブイリ事故は、広い範囲にわたり人々の健康に甚大な被害を及ぼし、
25年たった今もその被害は続いています。
チェルノブイリ事故による被害を過小評価することは、
今回の福島原発事故の被害を過小評価することにつながり、
結果として子どもたちの健康被害を拡大することになりかねません。
今ならまだその被害を予防することができます。

私たちチェルノブイリ子ども基金は、
その被害を拡大させないために、放射能被害の実態を伝え続けます。

2011年3月29日

チェルノブイリ子ども基金
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