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アニメ備忘録その6・グランダー武蔵RV

2006-09-15 11:25:58 | アニメ
グランダー武蔵RV
(OP共同編曲)

 ・・・話が前後してしまいましたが、ビーダマンの1年程前、98年春の作品です・・・

 この曲は「COA」というユニットが作詞作曲歌演奏(ギター)、編曲も彼らと共同という形になっているのですが、このユニットは何をかくそうその後「忍風戦隊ハリケンジャー」の主題歌で一世を風靡することになる高取ヒデアキ氏と実弟NOBU氏のユニットだったのです。

 高取氏との出逢いは更に数年前にさかのぼるのですが、元々ポケモンの主題歌を一緒に演奏したTHE JADOESのギタリスト、ジャック・伝ヨール氏の近所に住んでいたという大変ローカルな関係だったのです。何度か交流があるうちに一度THE JADOESの企画ライブに出て貰ったところ、その歌がコロムビアのディレクターの琴線に触れて、このユニットデビューに繋がって行ったワケです。
 実は当時から彼は「Z旗」というバンドを率いており(当時は違う名前でしたが)、そのチームでオケを作る事も出来たのでしょうが(実際セカンドシングル以降のカップリング曲はこのユニットで作られている)、アニメスタッフやメーカーに名前の通りがいい私が参加した方が事がスムーズに運ぶだろう、という判断があったのでしょう、共同アレンジという形になりました。
 が、ヒデアキ氏としては折角巡って来たチャンスですから、自分のイメージ通りに楽曲を仕上げたいという思いが大きかったのでしょう。大まかなサウンドの方向性から細かいフレーズにいたるまで、様々な部分でかなりの指示がありました。私も一応この1年間で培った自分のサウンドを守らねばなりませんから、そこで多大な衝突が起こったのは言う迄もありません。勿論お互いそこそこ大人(笑)なので数年前の竹野内豊が作曲家役で出てたドラマであったような掴み合いのケンカみたいな事にはさすがにならなかったのですが、なかなかお互い着地点を決められないままフラストレーションだけが溜まって行くというなかなかに辛い作業でした。カップリング曲(これも同じ体勢で制作)の最後のピアノソロ部分では遂にヒデアキ氏が「申し訳ないがここだけは譲れないんでどうしてもこういうイメージで弾いて欲しい」と私をねじ伏せるに至りました。今思うと私の方がつまらない意地を張っていただけのような・・・(苦笑)
(数年後飲み会でその頃の話になり、ヒデアキ氏の方も「あの頃は俺もピリピリしてたよねー」と思っていた事が発覚(笑))。

 そんな中でもNOBUはなかなかにどこ吹く風といった感じで、好きな洋楽のCDを持って来ては「このリズムの感じかっちょいーですよね」とだけ言って後はおまかせ、ヒデアキ氏と私が意見をぶつからせている時も「この結果はどんな音になるんだろう?ワクワク」とむしろ結果を楽しみに待っている感じでした(私にそう見えただけかも知れませんが・・・)。
 彼の奔放振りはギターの録音にも現れました。まずアンプのスピーカーが事務所の外階段に置きっぱなし。大丈夫かな~と思っていたらホントに横っ腹に大穴が(!)「なんとか録ってみんべえ」と音を出すと・・・まあもの凄い轟音!穴から突風が吹いてくる程の轟音を鳴り響かせながら録音するのですが、ソロの録りになると今度はなかなかフレーズが降りてこない。よくは覚えてませんが十数小節のソロだけでバッキングトラックの録音の3倍くらいの時間をかけた記憶があります。無邪気な少年のような面と豪快にアーティスティックな面を持ち合わせた不思議な青年でした。この活動の後一時期音楽から遠ざかっていたようですが、最近Z旗のギタリストとして再始動しています。

 ・・・話は脱線しますが、文中の竹野内豊主演のドラマ「with love」。主人公の作曲家がCMのコンペ用楽曲をメールに添付して送ったら間違ってヒロイン(フツーのOL)の元に届くという話だったのですが、当時は「そんなデカいのメールでほいほい送れるかっ!間違えて受け取る方もそんなデカいメールが来たら怪しめよ!」(音声を送ろうと思ったらWAVかAIFFの時代。プロバイダのメールボックスも通常3Mぐらいが関の山。登場人物の回線はISDN!)と思ったものですが、その後すぐmp3が普及し、デモのメール添付はごく当たり前になってしまいました。番組のプロデューサーに先見の明があったという事でしょうかね。