「渡辺」に非ず。「わたべ」に非ず。

「わたなべちぇる」が正しい読み方の人のblog

アニメ備忘録その5・爆球連発!!スーパービーダマン(後)

2006-08-16 02:30:22 | アニメ
 普通アニメの場合劇伴はかなりギリギリにならないと発注が来ない(設定等が煮詰まらないため)ため、大概主題歌の方が先に作られるのですが、今回は「超速スピナー」と番組開始を意図的にずらした事もあり、劇伴と平行して主題歌を制作する事になりました。例によっておはスタ用30秒、ビデオ&番販用90秒、フルサイズをそれぞれ作らなければならないのですが、OPの場合30秒サイズのエンディングはフルサイズで言うところの2コーラス終わりになっていまして、そこにブレイクを作ってそれを30秒サイズのエンディングにしています。90秒サイズの方はフルサイズと同じエンディングを使っています。この「2番終わりのブレイクをTVサイズのエンディングにする」という手法は結構その後も使っていまして、最近作「仮面ライダーカブト」のOPなんかもこの手法です。TVサイズのエンディングは結構サクっと終わらなければならない場合が多くフルサイズのエンディングにするにはあっさりし過ぎる場合が多いので出来れば別の物にしたい。でもTVサイズだけのエンディングを別に作るとそれはそれでフルサイズを聞いた時ちょっと寂しい・・・という二つの欲求に答えた上手い方法だと自負しております。我ながら名案(笑)
 またこの作品から積極的にオーディオソフトを使うようになり、各TVサイズの編集も自分でやりました。と言うか、当時レコーディングスタジオにおいてProToolsはオプション料金扱いだったんですね。TVサイズ編集のためだけには借りられないし、でも今時アナログマスターテープにハサミ入れたりMTRのサンプリングで編集するのも嫌なので、自分のDigital Performerで編集するようになりました。思えば「金色のガッシュベル!」(3年前)まで自分で編集してた覚えがあるので、結構最近迄オプション料金だったって事ですね。今じゃ逆に3348(一斉を風靡した48chデジタルMTR。当時録音スタジオの定番)がオプション料金の所さえあるそうですけど。ちなみに30秒サイズのイントロは拍の途中でぶった切るようなかなりキビシイ編集をしているのですが、こんな事が出来たのも自分編集ならではですね。(残念ながらビデオに収録されているのは90秒サイズなので、この30秒サイズを聞く事は現状ほぼ不可能です)

 OP/EDはドラムTスクェア長谷部徹氏、ベース角松敏生インストツアー青木智仁氏、ギター松岡直也バンド今泉洋氏というこれまた高校~大学時代に一方的にお世話になった方々。これに更にエリック宮城ブラスセクションが乗るという超豪華布陣。歌も遠藤正明氏と水木一郎氏というこれまたアツい取り合わせで、ワタシの作品としては珍しく熱血な主題歌になりました。あ、あとおなじみポケモンキッズも(笑)。
 OPはディレクターのアイデアで、「B-Fight!」という最初の歌詞の所にメロディーを無視して合いの手を入れる形にしたのですが(もともとその後の2小節と同じ譜割りだった)、これはハマって良い結果になったと思います。このコール&レスポンスに最適なパートのお陰で、遠藤氏のライブでは終盤のクライマックスの定番曲になっているようです。

 しかしアニメそのものは若干不遇な面も有りました。アニメのデジタル化の過渡期に当たってしまい、アニメ制作会社のフルデジタル初作品であったため、多くの部分が試行錯誤の連続でした。演出の部分にもそれは及び、原作のファンからは「原作の熱さが全く生きていない」とお叱りを受ける事も多々あり、いたたまれない思いを何度もした記憶があります。同じ制作会社がフィルムで制作していた「超速スピナー」を見る度に「なんでこっちだけフルデジタルなんだよ」と嫉妬した事もありました。結果的に開始1年を待たずして打ち切りとなってしまうのですが、こういった作品のチャレンジのお陰でまたたく間にデジタルアニメ制作のノウハウが蓄積され、それからわずか2、3年で全てのTVアニメがフルデジタルになってしまったのですから、まあ一応果敢な先駆者だったって事で、それはそれで今となってはいい想い出でございます、ハイ。

アニメ備忘録その5・爆球連発!!スーパービーダマン(前)

2006-08-12 18:21:28 | アニメ
爆球連発!!スーパービーダマン
(OP/ED作編曲、劇伴)

 「学級王ヤマザキ」終了直後に次のおはスタ内アニメの企画が上がって来ました。当時コロコロコミックで連載していた2作品「超速スピナー(ハイパーヨーヨーを扱った漫画)」と「爆球連発!!スーパービーダマン」を週代わりで放送という事になりまして、まあどちらも当時小学生の間ではかなり人気のあった玩具であり、おはスタ内でも争うようにプッシュしまくりだったのですが(ハイパーヨーヨーはバンダイ、スーパービーダマンはタカラ)、今度はアニメで勝負という事に相成ったわけです。あ、勝負ってのは私の勝手な想像でして、ホントはもっと「皆で盛り上げていこう!」みたいな雰囲気だったのかもしれませんが(笑)。

 とりあえず原作漫画を読破してみると、何とも凄い展開です。とても「『ビーダマン』と呼ばれるロボット型のおもちゃからビー玉打ち出して遊ぶ玩具」の漫画じゃないですよこりゃ。打ち出したビー玉が垂直方向に何十mも飛んでくわ、見た目4~5kgはありそうな円盤状の物体をビー玉ではじき飛ばすわ、水中から打ったビー球が空中へ飛び出して他人のショットを邪魔するわ・・・しかも大会になるとプレイヤーに「ビーダマン」を製造できるラボが貸し出され、鋳型から起こしたオリジナルのビーダマンを小学生が作ってしまうという超展開!「ゲームセンターあらし」(たとえが古いなあ)を思わせるまさに「トンデモ」的展開です。もっとゆるーいゲーム感覚の物を想像していたワタシは完全に路線変更を余儀なくされてしまったのですが、さらにキャラクター紹介編みたいな序章が終わると2クール手前から最終回迄もうずっとビーダマンバトルしっ放しというアツーい展開のため、劇伴はヤマザキとは打って変わってバトル系の曲が多くなるとのこと。以前「餓狼伝説」というバトル系ゲーム音楽のライブバンドをやっていたりしたワタシは、その楽曲が大ロックフュージョン大会だったのを思い出し、打合せの時から「餓狼伝説みたいな感じにしましょうよ」と判ったような判らないような解説の後で具体的にフュージョン系のアーチスト名をバシバシ揚げてスタッフを煙に巻き(笑)すっかり水を得た魚的展開に持ち込んでしまいました。同意を得ればしめたもの、ほとんど単なる自分のオリジナルのような曲を書きまくっているだけで仕事になるというとてもオイシイ展開で、しかもギターを羅麗若古川氏に弾いてもらえたりするというんで「じゃあこんなんもアリだよね」とばかりの変拍子曲とか(スタジオのアシスタントがパンチインする時すごく困ってたっけ・・・)イントロの後は延々ギターソロの曲とか、すっかり趣味の世界に突入してしまいました。今聞くと、あまりに趣味の世界に行き過ぎてアニメのBGMとしてはすごい扱いにくい感じになっていますねぇ。A-B-Aみたいな構成の曲でBのメロやオブリがAにこぼれてたり、2回目のAが半音上に転調してたり、とても編集しにくい感じになっていた楽曲がとても多かったのは多いに反省しております。アニメのスタッフの皆さん、ゴメンナサイ・・・でもホントに楽しかったです。燃えました(笑)

 それと大トピックだったのは、劇伴担当作品で初めて「サウンドトラック盤」を出して貰えた作品になった事です。ひと仕事終えると自分のインスト曲ばかりのアルバムが自動的に出来てしまうという、あたりまえと言えばあたりまえだけど凄い事実ですね、これ。まだAmazonに新品在庫があるみたいです。今ならまだ間に合いますよ!(何が?)

 いやあ、楽しいですね、劇伴制作。お仕事お待ちしておりま~す!

 続く・・・

 P.S. 今回、表現に若干の誇張が入っております(笑)

ちょっと一休みして劇場版仮面ライダーカブトの話

2006-08-04 21:46:15 | Weblog
・・・を書こうと思ったのですが、何処をどう褒めてもネタバレになってしまうので(笑)
とりあえず、
見て損はないです!TV見てる人は必ず見るように!
自分の中では今んとこ平成ライダー1番の良作(響鬼は見てないですが)。不満があるとしたら、自分の曲が流れなかった事ぐらいですか(笑)。

試写会を見た人がネットでいろいろ言ってますが、あんまり信じないでいいと思いますよ・・・