まちづくりはFeel-Do Work!考えるより感じよう、みずから動き、汗をかこう!(旧“まちづくり”便利帳)

まちづくりの支援者から当事者へ。立ち位置の変化に応じて、実践で培った学びの記録。もう一人の自分へのメッセージ。

ソーシャル・キャピタル(Social Capital)

2005-01-05 15:27:41 | まちづくりのキーワード
コミュニティの再構築を考える上で、最も重要なキーワード。通常のインフラなどと区別するために、社会資本ではなく、社会関係資本とも訳される。

ソーシャル・キャピタル(SC)とは、人と人の関係性の中に蓄積されている規範やネットワーク、信頼関係といった、いわば知恵のようなもの。効率を追求する市場経済において、見えにくかったSCは、長いこと軽視されてきた。しかし、このSCの研究が進むにつれ、その経済効果が徐々に明らかとなり、注目を集めている。そして、短期的な成果や利益を期待せず、自分の家族や友達など、人の役に立つこと(投資)によって、長期的には自分自身に恩恵(配当)が返ってくることが、実証されつつある。これは、古くから人間が伝えてきた様々な宗教や格言が、単なる迷信ではなく持続可能な社会を構築する上での智恵であることを示している。

人間同士の関係が希薄になるにつれ、長い歴史が育んできた寄り合いなどの村社会の伝統が廃れ、言い伝えや慣習が持つ本来の長所が見えなくなっている。土地と関係の薄い工業の発展につれ、生活の場(地縁・血縁) と働く場(職縁)、趣味の場(好縁)は極端に分化してしまった。グローバリズムによる分業は、循環サイクルを大袈裟なものにし、解決すべき問題までが遠くの見えない世界へと追いやられている。臭いものに蓋をし、問題自体が存在しないように振舞うには、もう限界がある。地球規模の問題を考えるが故に、足元にある地域社会、人と人のつながりや、土地と人とのつながりを、再び見えるようにする。それこそが、お互い様という智恵を今に伝える日本人の使命であり、次世代につなぐべき日本の社会的伝統である。そしてかつて日本が追い求めてきた「全員の中位の幸福」こそ、世界に誇る新しい村社会を形成するのではないだろうか。

              ★参考★

以下、関西電力が運営するサイト「Insight」のコラムを中心に。全てソーシャル・キャピタルに絡んだ内容です。関連資料や関連書籍も貴重です。

「『ソーシャル・キャピタル』『リレーショナル・アセット』という概念」山内直人氏
「経済・産業活性化とソーシャル・キャピタル」藤沢久美氏
「コミュナルな知恵と力の再生――見えなくなった日本の伝統を見えるようにする」嘉田由紀子氏
「国際協力とソーシャル・キャピタル──活発化するNGOアプローチの中で」佐藤寛氏
「『日本らしさ』とは何か」中西輝政氏
「ご縁に応じる--竹藪に見る東洋的関係性モデル」玄侑 宗久氏
「『競争社会』のあり方──共同性の視点から」石川九楊氏
「いまなぜ『信頼』なのか?──信頼をキーワードに見た現代日本と日本人」吉田和男氏
「リスクの社会心理学――怖いと回避するよりも自分を信じてまず試行」和田秀樹氏
「人と人との信頼関係──人脈づくりを科学する」安田雪氏
「地域社会の治安を守る──安全神話崩壊後の共同体再生」河合幹雄氏
「ビジネスにおける信頼の構造--等身大からの関係づくり」小川進氏

ソーシャル・キャピタルの実際と運用(JICA)
「ソーシャル・キャピタルの形成と評価」研究会報告書:ソーシャル・キャピタルと国際協力-持続する成果を目指して-(JICA)
国際協力におけるソーシャル・キャピタルと村おこし(JICA)
ソーシャル・キャピタルと国際協力に関する本の書評 坂田正三氏(アジア経済研究所のHPより)
平成15年度「安心できる社会と人のつながり」ほか(国民生活選好度調査)
「ガバナンス、ソーシャル・キャピタルと公共政策マネジメント」秋山仁氏、中尾健良氏、野田遊氏、沼田壮人(UFJ総合研究所)
平成16年度「ソーシャル・キャピタル:豊かな人間関係と市民活動の好循環を求めて」((株)日本総合研究所)

ROBERT PUTNAM氏による「Social Capital Measurement and Consequences」(英文)
上記の論文が掲載の他、様々なSocial Capitalに関する論文が載ったCANADIAN JOURNAL OF POLICY RESEARCH発行のisuma(英文)
オーストラリアNSW州でのPaul Bullen氏による論文
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遅れましたが… (ジャスミン父)
2005-01-07 11:51:05
昨年はうちのblogにもお寄りくださりありがとうございました。

“まちづくり”というキーワードは自分の頭になかったもので、いろいろ考えさせられました。

今年来た年賀状にも丹波篠山でまちづくりに取り組む友人の旦那さんを発見したり、自分の活動にも幅を持たせていくものではないかと思っています。



佐々木先生の情報ありがとうございました。

学会でも良くお見かけします。

いつも心に残る言葉を一つくださるような気がします。

カイパパさんは実は僕がblogを始めるキッカケを暮れた人です。

活動的な人はドンドンつながっていきますね。

今年も宜しくお願いします。
自分の蒔いた種は自分で刈りとらなければならない」 (MIWA)
2005-01-12 10:06:38
ちょっと、調べて見ましたー(恥)

聖書が、「自分の蒔いた種は自分で刈りとらなければならない」と説いていたのは、

知ってたんですけど、お釈迦様も説いてたんですねー。



「自因自果」:自分のまいた種は、自分が刈り取らなければならない。

「善因善果」:善い原因は善い結果、「悪因悪果」とは、悪い原因は悪い結果を引き起こす。

「身口意の三業」:行いには、身、口、意の三業があって、

 体でやる行いが身業。口で話す行いを口業、心でいろいろ思うことを意業といってるそうです。

 でも、仏教では一番心が大切と説いているそうです。

 なぜなら、心で思ったことを、私たちは、日々体で行い、口で言ってます。

 心があらゆる行為のもとだからです。
昔のムラに戻るのか?社会主義経済と何が違うのか? (管理人)
2005-02-03 12:44:42
私が別のところで、日本のこれからの社会像について「全員の中位の幸福」を取り上げたところ、掲題のようなご指摘をいただきました。



誤解を招きやすいと反省し、補足説明を少し書かせて下さい。



「昔のムラに戻るのか?社会主義経済と何が違う?」



今は「一生懸命働けば報われる」ということが困難な時代になりました。幸福になるための手段が不明瞭な状態です。答えのない混沌とした時代。過去の価値観が崩壊し、手探りの状態が今もなお続いています。



では、私達はその現状を「変わるはずのないもの」として、ただただ眺めていればいいのでしょうか?自殺者が毎年3万人以上?所詮他人事かもしれません。子供がいない私にとっては、適当に働いて自分の命が終わってしまえば、次世代のことは環境がどうなろうと、仕事がどんなにつらかろうと、関係ないのかもしれません。

でもしかし。。。それでもなお、だまって見過ごすには、あまりにつらい現状が周囲で起こっています。



海外旅行に留学、UターンやIターン、転職も珍しくなくなりました。これに伴い、自身の領域(国、地域、職場など)を客観的に眺めることが可能になってきました。もちろん全員ではありませんが、圧倒的にこの機会は増えています。これは過去のムラ社会とは、大きく環境が変わってきたことを表しています。

引きこもりやNEETが増える一方で、徐々にではありますが、過去の価値観の崩壊から、若い世代で素直な感性が育ってきています。土と完全に切れてしまっていた人々が農に関心を持ち出しました。外国人と接する機会が増えてから、日本文化に関心を持つ人も増えています。長屋的生活のコレクティブハウジングを求める若者が増加。ボランティア活動の経験機会も格段に増しています。単なる利益追求から、社会的な課題をビジネスとして取り組もうという社会起業家や、表面的なCSRとは異なる社会的事業をする企業も増加傾向にあります。



「ムラ」という言葉が、様々な先入観による解釈のズレを引き起こすのであれば、『つながりの密な新しいコミュニティ』と呼んだ方が良いのかもしれません。もちろん上記のような事象が、全国的に増えたというには未だ至らないと思いますので、変わってきた地域(例えば大震災を受けた神戸など)から、『つながりの密な新しいコミュニティ』が生まれると思います。そのコミュニティには、身障者も、外国人も、赤ちゃんも、求職中の人も、様々な社会的弱者がいますが、



『多様な差異を受け容れつつ、お互いの長所を活かして支え合う社会』



になると思います。



あるマイノリティが極端に苦痛を感じることがない社会。それこそが、「全員の中位の幸福」である社会です。環境が変化した中(これからの日本)で「全員の中位の幸福」を求めることが、均質化・画一化を引き起こすとは、私は考えていません。全国一律一斉に進めることは不可能ですが、賛同する人々がコミュニティ単位で始めたら、そしてそれが広まったら、日本は結構素敵な国になるのではないかな、と私は思います。



私が意図したものは、人のつながりや信頼という「social capital(社会的資本)」を重視した倫理・道徳を伴った資本主義経済です。かつて渋沢栄一氏やアマルティア・セン氏などが言っているものと同じです。

お金を介さない経済のことを、「インフォーマル経済」「無償経済」「ボランタリー経済」などと呼ばれていますが、それが豊かな社会です。 最初からそのように言えば良かったのかもしれません。 私が引用した「全員の中位の幸福」は、必要ではあるけれども、十分ではないということかもしれません。



宗教チックなセリフになりますが、

お金や物質ではない、目に見えないモノ(social capitalや想像力・創造力など)の豊かさが人々を苦しみから救い、幸せにするのだと思います。

目に見えないモノ。それを一言で表現すると『文化』なんです。

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