ケミストの日常

大学化学系教員の日々考えること。
HNはchem@uと省略してます。

学校教員の年齢構成

2010-08-16 12:12:59 | 若者・就職・未来
「若者の搾取」というキーワードで大学卒業者の就職の状況を見ていこうというのが、今年の夏の特集。
昨年の夏は選挙一色でしたけどね。

このブログでは、大学教員の公募・異動に関連して大学教員数や構成の変遷を追ってきました。
こういった統計情報の整理は、大学教員を目指す人間の将来設計において有用なはず。

ある程度統計値をとりやすいのは学校教員。
そこで、小学、中学、高校教員についても同様に取り上げて、大学と比較しながら考察してみます。
もとの統計表は学校教員統計調査

ちなみに教員数、学生(生徒・児童)数、教員一人当たりの学生数はH19年において

種類 教員数   学生数 学生/教員
小学 389,819 7,132,874 18.3
中学 231,528 3,614,552 15.6
高校 234,278 3,406,561 14.5
大学 167,971 2,828,708 16.8

大学の方が、中高より教員一人当たりの学生数が多いというのは、統計にあたって改めて気づくこと。
大学では、私学と国立の差も大きいし、国立でも旧帝と地方大でも違うから平均値で議論する意味は余りないのだけれど。

復習。
大学教員の年齢構成の変遷


ちょうど団塊の世代のところに教員数ピークが来ていました。
H19の35歳~50歳のところで、各年齢層ごと5000人程度が教員になっています。
大学の定年は多くの大学で63~65歳位のようで、この年齢層以上で教員数は大きく減っています。

同様にして小学校。

中学校

高校


まず気付くこと。
1.団塊の世代における教員数の山がない。

2.山の位置はH19年度で小学50~51歳、中学47~48歳、高校45~46歳。
1956~57年生まれ、59~60年生まれ、1961~62年生まれ。

この山は何に相当するか。
厚生労働省の人口動態調査 から出生数の推移。

1973年が団塊ジュニア世代出生ピーク。

この世代が小学校に入るのが1980年、中学に入るのが1986年、高校に入るのが1989年。
それぞれ新卒で教員採用になる年齢層の生まれは、1957年、1963年、1966年。

ということで、小学校は児童数増加に対応して新卒教員を増やした、というのが実情のよう。
中学と高校ではピーク位置に若干のずれがありますが、新卒だけでは対応できなくて、上の年齢層からの採用も行っていたのでしょうか。
高校の場合、進学率の変化も関係しそうですが。

3.大学と違って、定年を待たずに辞めていく層が一定数いるようです。
特に中学ではその傾向が顕著に見えます。

4.また辞めていく数に比べて、新規採用が少ない。
特に中学と高校で若年層の採用の絞り込みが顕著に見えます。
これは生徒数の変遷と教員数の変遷を対応させてみないといけない部分もあります。
生徒数が減れば、教員数も応じて減らさないと余剰となりますから。

しかし、大学の化学系学科では中学・高校の理科(もしくは工業)の教員免許しかとれません。
教員の年齢構成だけを見ても、10年前に比べて教員への道は細くなっているということは言えそうです。

なお、任期採用の問題はまだここまでで明確になってきていません。
教員の臨時採用は講師として統計表に出ています。
しかし、学校教員統計調査 の数値と学校基本調査 の数値が対応せず、単純には示しにくい部分があります。

例えば高校教員の場合の講師の年齢構成は以下の通りです。

H10とH19で比較すると9年で絶対数が増加し、また高年齢化していることはわかり、ポスドク問題との類似性が伺えます。

しかし絶対数が学校教員統計調査では7357人、学校基本調査では15492人で倍違う。

また本務教員だけでなく非常勤教員の問題もあります。
高校の非常勤講師は学校基本調査では57,714人。
このうち本務教員の兼任だったり、1人が複数非常勤を持っていたり、というのも人数に入ってくるので、絶対数としての非常勤講師の数は明確になりません。
(非常勤問題は大学にもありますが)

こういったなか、文部科学省の統計数値だけで、どこまで実態が見えてくるか、少し考えてみます。

続きは
学校教員数の変遷
教員の新規採用状況
非正規採用教員の現状

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