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卒業後数年は新卒扱いに…日本学術会議提言へ

2010-08-15 14:25:38 | 若者・就職・未来
卒業後数年は新卒扱いに…日本学術会議提言へ
8月15日3時5分配信 読売新聞
日本学術会議の検討委員会(委員長=北原和夫・国際基督教大教授)は、深刻な大学生の就職難が大学教育にも影響を与えているとして、地方の大学生が大都市で“就活”する際の宿泊・交通費の補助制度など緊急的な対策も含んだ提言をまとめた。

 17日に文部科学省に提出する。企業側が、卒業して数年の「若年既卒者」を新卒と同様に扱うことや、早い時期からの就業体験も提唱。学業との両立のためのルール作りも提案している。文科省は、産業界の協力も得て、提言を現状改善につなげる考えだ。

 提言は大学教育の質の向上を目的としたものだが、就職活動に労力と時間を取られ、それが学業にも悪影響を与えているとして、就業問題の解決策に踏み込む異例の内容となった。

 具体的には、大学側に、卒業後3年程度は就職先の仲介や相談といった就職支援体制をとることを求め、企業側には、若年既卒者も新卒者と同枠で採用対象とするよう求めた。さらに、平日は学業に集中し、就職活動は週末や長期休暇期間に集中させるルール作りなど、大学と企業側が協力しての対策にも言及している。

 5日発表の文科省の学校基本調査では、大学を今春卒業したが就職も進学もしなかった「進路未定者」が5年ぶりに10万人を突破した。今回の提言では、「新卒優先」の日本の労働市場の構造が大学生の就職問題を一層過酷なものにしていると指摘している。


この提言は17に提出ということで、まだ公式公開は無いようです。
日本学術会議

読み取れること。

問題点
就職活動に労力と時間を取られ、それが学業にも悪影響を与えている
「新卒優先」の日本の労働市場の構造が大学生の就職問題を一層過酷なものにしている

対策
企業側
若年既卒者も新卒者と同枠で採用対象とする
就職活動は週末や長期休暇期間に集中させるルール作り

大学
卒業後3年程度は就職先の仲介や相談といった就職支援体制をとる

政策
地方の大学生が大都市で“就活”する際の宿泊・交通費の補助制度



後期の講義では、実際に就職活動で欠席をする3回生、大学院修士1年生は結構います。
前期は、就職希望の学部4回生の研究は滞りますし、修士2年生も決まるまで落ち着いたけ乳ができません。
就職活動したけど決まらない、進学に切り替えて院試勉強、で前期全く研究しなかった、そんなケースもボチボチ出てきています。

学業と就職活動を両立しようとすると、頻繁に地方と企業の会場とを往復する必要があり、金銭的負担も馬鹿になりません。
先輩や身内の住まいに居候をしてそこから就職活動をする、そのため、長期欠席、そういった例もあります。



問題点のうち「就職活動に労力と時間を取られ、それが学業にも悪影響を与えている」はまさに大学が直面している問題と言っていいでしょう。
「新卒優先の日本の労働市場の構造が大学生の就職問題を一層過酷なものにしている」というのは、卒業年度ごとに就職市場の状態が異なり、不利な年と有利な年の格差がでるということでしょうか。

ただ、最近の企業動向を見ていると、今後、日本で就職市場が明るくなる展望が持てるかというと難しい気もします。
そうすると、「若年既卒者も新卒者と同枠で採用対象とする」は問題の先送りにしかなりません。
新卒者が既卒者と同じ土俵で就職活動をすることになり、パイの大きさが変わらないまま就活者が増えるということで、新しく生まれてくる新卒はむしろ不利になることも予想されます。



以前書いたように

日本の産業構造は、多分、相当に大きく変わりつつある、企業で必要とする人材が21世紀にはいって大きく変わってきている、そんな感じがします。
それでは具体的に、どういった人材が求められているか、先が見通せない現在では企業もわからない、というのが本音なのかもしれません。


企業が人を正社員として抱えることについて、財産ではなくリスクと捉え始めている現状では、従来型の発想の「正社員」としてのポストを得るための「就職活動」は、成り立たなくなってきます。

そうした中で、既得権益者は逃げ切りをはかる、新規は既得権集団に入れれば「勝ち組」、入れなければ「負け組」の篩わけ。
「負け組」人口が増加中。
それでも、まだ、食っていくだけはなんとかなり、若者も飼いならされてるから、世代間問題に発展していない。

そんな感じにも見えてきます。


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2 コメント

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Unknown (やまだ)
2010-08-18 07:21:20
文部科学省の発表では大学卒業後、正社員就職できるのは60.8%のみです。あとの4割は大学院進学、就職浪人、フリーター、派遣労働、ニートです。
これは社会的ニーズもないのにやたら大学や学部の新設を認可しすぎてきた文部行政の失敗ですが、お気づきのとおり、そもそもAさんという人が株式会社B社の面接試験に落ちたり合格したりするのはAさんの問題、責任です。マクロの問題とミクロの問題はことなります。ダメ学生ほど自分のことを棚にあげてマクロ問題にすり替えるのです。こういう子はどうせ企業に正社員ではいっても勤めあげることはできません。それくらい企業は厳しいし、正社員とは大変なのです。
ダメ学生は無理して正社員にならず一生時給で年収150万で生きたほうがストレスも少なく身の丈にあっています。年収150万だと結婚は無理で、医療も年金も老後受けることはできませんが、今の日本で飢え死にすることはないのです。贅沢できず、早死にしますが、時間にゆとりのある生活を送れるので、生活は安定しているけど激務で自分の時間などない正社員よりむしろ幸せかもしれません。
Unknown (chem@u)
2010-08-18 18:17:58
昔は中卒・高卒でも正社員として企業で働いて、中流と言える程度には稼げていたわけで。

現在は、大卒が増えてますが「高卒でもできる仕事はやらない」といった意識で就職活動してるわけでもなく、昔は高卒がやっていた仕事に大卒が勤務するようにもなっています。
それでも職が無い。

まあ、しかし、ある意味、正社員は激務で家庭を持っても崩壊する、契約社員だと給料が低く家庭を持てない、というのは日本の労働現場を的確に示しているかも。

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