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村上宏之のブログです

スランプはある日突然やって来る

2005-06-01 15:11:08 | ドラム談義
 
 先日、アンセム/アニメタルの坂本英三さん企画による、セッション&練馬マッチョマンでの久々ライブがあったんだけど、リハ~本番を通して充分楽しめたし、大きな問題も無く終わることが出来ました。詳しいことはまたそのうち、と思ってるんだけど、去年の春に初台ドアーズでやった「新生・練馬マッチョマン」でのライブの頃は大変だった。

 その頃、何故か超・スランプに落ち込んでしまい、ビート的には頭の中で鳴ってる音とは程遠く、何やらベタベタと重くて安定感も欠如したひどいものだったし、曲を通してのテンポ感も悪くなってた。更に手も足も思い通りに動かず、それまで何の気負いも無くスラっと叩けたフレーズが引っ掛かったり、そうなるとフレーズを叩く瞬間、一瞬躊躇するようになる、という悪循環に陥り、悪くなる一方だった。

 他の人はどうなのか知らないけど、俺の場合、スランプはある日・ある瞬間、突然やってくるし原因がよく分からない。身体的なものなのか、メンタル的なものなのか…、ひどい時はライブ中、突然ペースが乱れてそこから後はメロメロになって立ち直るのに結構日数が掛かったりすることもある。そうなると、とにかく叩いてても違和感があって爽快感とかが無くなってしまうし、余計なことが気になったりしてしまう。

 その大スランプの真最中に「新生・練馬マッチョマン」のリハと新ユニット「スリム・スラム」のリハが始まってしまい非常にきつかった。どちらも初顔合わせのメンバー(練馬はこの時、ベースがビジランテの海野君)との音出しで「よりによってこんなに時期に」と思ったしプレッシャーを感じてしまった。ただ、スリム・スラムはやり慣れたイノセント・アークなんかの曲のセッションから始まったのでまだ誤魔化しがきいたけど、練馬マッチョマンは「ライブまで」という締め切りもあり、本当にきつかった。練馬マッチョマンの最近の音源はドラムを打ち込みで作っているので勝手に変えてやってしまって、リクエストがあれば直すだけなのでそれ程問題は無かったんだけど、昔のアルバムに入っている、生ドラムでレコーディングしている曲のドラム・アレンジは大変だった。覚える曲数が多かったし、どれも決めや曲構成が結構凝っててむずかしいのと同時に、大前提として他人のコピーはなるべくせず、可能な限り自分らしくしたい、というのがあるので。…実は何をやってるのかよく分からないところとかもあったりしたんだけど…。

 あと、曲によってはアプローチ自体が古く感じるパターンや、叩いててしっくりこない、ノリが悪くなるパターンは変えたいとか、そういう風に思うところがたくさんあったので暗中模索しつつ固めて行った。あとは時代的に2バス・フレーズが多いんだけど、基本的にライブはワンバスでやるつもりだったので、それをどうするかも考え所だった。

 実は練馬マッチョマンの曲はもの凄くむずかしい。単なる80年代ロックのくくりではとても出来ないものが多い。基本的にはロックなので「パワー感」「線の太さ」は最低限必要だし、同時に「ポップなセンス」「ジャズっぽい感じ」「ファンキーな感じ」「昭和歌謡の味」「なんだか妖しい雰囲気」「同時に明るい雰囲気」とか、ほんとに色んな要素がある。しかもダンサーがいてステップもあったりするので、テンポとかノリの良さも考えなきゃいけないし…こう書いてくると、今なら「そりゃあ苦労するよ」と思うんだけど、その頃は「とにかくやらなければ」とひたすら思ってましたね。

 ドラムの問題点は、他人はどうだか知らないけど、俺の場合は頭で考えたフレーズと実際叩いた時とのギャップがある、っていう事で、どれだけ仕込みをやっても実際に音を出してみたらどうにもならない場合がある。この時も何曲かそういうものがあって、テンポ感が掴めなかったり、仕込んで来たフレーズに詰まったり、とにかく最初のリハはズタボロで、終わった後はすっきりしなくてストレス溜まりまくった。メンバーに特別何かを言われたわけじゃなくても、そういう時はほんとに落ち込みます。リハの帰りに何回も音源聞きなおしたりするし、帰って速攻練習したり。

 ただし俺の場合、仕込みの段階ではレベルをある程度高いところに設定しておくし、なるたけ新しいことも取り入れよう、と考えていて色んな事を試しながらやってるせいもあるんだけど。それで、ストレスが溜まってくると急に開き直ってしまって「どうこう言われてもいいや」「叩くのは自分で、自分が楽しめなきゃ仕方ないんだし」「見栄張って難しいことやるのは止めよう」と思って自分なりに納得できるラインでまとめに入る。まとめたら微調整して終わり、というか、今回のライブはここまで、と決めて後はリハで精度を上げて曲慣れするまで繰り返す、という感じかな。

 でも、その過程で寝かせといたアイデアが復活してくることもあったりするんだけど。だから俺にとってリハは結構重要で、セッションっぽい、リハの少ないライブは実はあんまり得意じゃない。それでも「曲を覚えてざっと様子を見て」という段階でやるしかない時は、それなりに対応するけどね。でもどっちかというと細部まできちんと見えてて準備出来てる方が好きです。

 あと、この時は英三君が超・忙しい頃で、結局ライブ寸前のリハまで来れなくて、最後の最後に「こことあそことあの部分はこうならないかなー?」と言われたんだけど、面白いなーと思ったのは、そういう部分って大抵ドラマー的に違和感があって変えたところとか「なんでわざわざこんな風になってるんだろう?普通はこういうドラムは付けないんだけど」と思ったところとかで、やっぱり他のパートの人は違う感性があるんだな、と思った。殆どが「CDのままで」というリクエストで、ちょっとしたフックとして英三君が考えたところでしたね。どっちにしても、元々まんまコピーしてからアレンジしてるので問題無く対応できました。でも基本的に英三君は、あんまり細かくどうこう言わなくて、ドラムは殆どやりたいようにやらせて任せてくれるので助かるし、やりがいがありますね。

 そんなわけで不安もありつつの新生・練馬マッチョマンのライブに望んだんだけど、緊張したのが返って良かったのか、本番は結構うまく行きました。そうしてライブを一本こなしたら春先のスランプからなんとか脱する事が出来たんだけど、今度はいつ、どんな形でやって来るのかな?まあ、このところは好調なんですけどね。