cheeze_art's blog

The life as the diehard

斜陽産業

2011-11-07 19:05:32 | 虎落り言(Mogari-talk)


日本の自動車が国内で売れなくなって、久しい。
そこで国内大手5社のトップが集って、取得税と重量税の廃止を要望した。

しかし私はそのことの論点が違うように感じた。
確かに消費者へのアピールとして、それも一理あるが、
問題は進化が止まり、画一化した自動車に見る夢がなくなったように思う。

どれもこれも良くできて優秀であり、10万20万㎞は何の問題もない。
室内もデラックス、塗装も耐久性が格段に向上、何の不満もない。

勿論社会資本整備が整い、広く平坦で快適な道路網が充実。
みんなが割と簡単に手に入れることが出来る当たり前な所有物であり、
壊れない、よく走り、よく曲り、よく止まる、素敵な移動空間となった。

しかし数年すれば改良され、スタイルを変え、旧い車が陳腐化する。
それは売り手側の戦略でもあり、消費循環社会の悪しき慣習でもある。

ただここに来て消費する側も少し思い留まり、考えるようになった。
車を購入するためには毎月給料の一割以上をつぎ込み、
それ以外に政府に納める税金も馬鹿にならない、他に維持費も必要。

それでいて車はもうステイタスでも何でもなく、他者に追従するように
所有欲をそそられ、高い代償を支払い続ける羽目に陥っている。

そして数年もすると、また営業マンが訪れ、もっと良い車、より良い車と
人生の或る部分を車のために稼ぎ続ける宿命を背負わされる。

私達にとって車は何なのか?自分で走るよりずっと早く移動するもの、
重い鉄殻に覆われ、自分だけは助かろうという安全思想の塊であり、
過去に栄えた生命の痕跡を燃料として、環境を破壊する身勝手な物体。

日本の車が売れなくなって久しいのは、そんな考えを抱く人々の思いと
ただただもうけ主義に走った企業の成長飽和点が訪れたためでは...。


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