池上優游涵泳

「料理と散歩と仕事で海外」「ベトナム生活あらかると」改め、「池上優游涵泳」として日々を綴っています。

東京国立美術館工芸館(The 備前―土と炎から生まれる造形美―)

2019-03-13 19:31:18 | 見学・観賞

さて、東京国立美術館に続いて、工芸館の紹介です。

 

2. 東京国立美術館工芸館

 

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まず、建物が目を惹きます。

 

重要文化財(建造物)旧近衛師団司令部庁舎とのことです。

 

そして、訪れた時に開催されていたのは、

 

The 備前―土と炎から生まれる造形美―

 

です。

 

実を申せば、東京国立美術館に行ってみようと思ったのでは、工芸館の方が切欠でした。

 

直近では、

 

近代工芸の名品― [特集展示] 棗にまつわるエトセトラ

 

のポスターに惹かれていたのに、機会を逃してしまって、

 

でも、次が、備前焼で。

 

別に、茶の湯をやってもいませんし、茶道に詳しい訳でもないのですが

 

歴史好きでして、特に、平安時代と戦国時代が。

 

戦国時代については、歴史書、小説、ドラマ、映画、教育番組、なんでも好きですが

 

茶道は、文化、芸術、そして政治にまで関係してくるので、

 

直近の”棗”は興味をそそられ、今回の備前もまた興味を持って、工芸館に行ってみようとなった次第です。

 

さて、備前について、展示会の構成ですが、三つに別れていて

 

I章 源流としての備前焼 ー茶の湯のうつわを中心にー

II章 近代の陶芸家と備前焼 ー写しと創作ー

III章 現代の備前焼 ー表現と可能性ー

 

まあ、I章の桃山時代の古備前だけでもいいところなのですが

 

やはり、優游涵泳として、深く味わっていかねばなりませんから

 

タッチ&トーク”(ボランティアガイドスタッフによる説明)を利用してみることにしました。毎週水・土曜の二時から。

 

結果として、備前焼について、理解が深まり良かったです。

 

ボランティアガイドスタッフであるからなのか、小難しい説明ではなく、見て触って、印象を参加者で言い合って、ガイドさんが、解説を加えるような具合で。

 

そして、古備前と近代の備前の違いから、一層、備前焼の特徴が、シンプルにハイライトされて勉強になりました。

(ただ、現代の備前焼は、ちょっと。。。)

 

I章 源流としての備前焼 ー茶の湯のうつわを中心にー

 

こちらは撮影NGでしたので写真はありませんが

 

とても無骨な感じです。

 

全体に歪みが大きく、蓋はぴったりとしておらず(水指だから構わないのですが)

 

取手(耳)は、握った動物の手のようで、

 

しかし、どっしりとした質感と、安定感があります。

 

備前焼は釉薬を使わず、塗料で絵を描くこともないので、

 

登り窯で焼き上げてみて、どうなるのか、です。

 

意図して、歪みを加えたり、色抜きをしたりすることはあっても

 

模様、色合いは、自然のものです。

 

茶色、青茶色、緋色、そして黄色い点々が

 

波のように、雲のように、天の川のように、二つと無い模様を描き、独特の風合いを醸し出します。

 

黄色い点々は、登り窯で焼いた赤松の灰が、焼物にかかって、釉薬がわりとなって現れるとのこと。

 

緋色の帯というか襷は、藁を巻いて焼くと出る色とのことでした。

 

また、”牡丹餅”と呼ぶ、丸い皿のようなものを被せると、その部分、丸く色が抜けます。

 

藁を置いて、牡丹餅を乗せて焼けば、色抜きされた丸の中に、緋色の線が入ります。

 

意図したデザインはその程度なので、模様や絵柄が施された有田や伊万里とは異色の存在だと思い、そこがいいと感じます。

 

 

II章 近代の陶芸家と備前焼 ー写しと創作ー

 

さて、近代は、というと

 

ここの茶室の展示になっている一角以外、撮影NGでしたので、私の言葉で言い尽くせるかは不安ですが

 

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タイトルに”写しと創作”とあるように、古備前の美しさを取り込もうとして作られたようです。

 

人間国宝の金重陶陽さん、他の作品が並びますが

 

桃山時代(1500年代後期)に比べると、1900年代の備前は、似ていつつ、自然な無骨さが薄く、端正な印象を受けます(いいところを人工的に真似た”写し”だからでしょうか)

 

しかし、それはそれとして、風合いを変えずに、備前のいいところを際立たせているように思えました。

 

ただ、、、

 

 

III章 現代の備前焼 ー表現と可能性ー

 

 

になると、本館の絵画の方もそうですが、

 

前衛的?

 

なんか、違ったものになっていく気がします。まあ、”表現と可能性”ではあるのですが、、、

 

ハートマーク?

 

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メタルちっく?

 

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これは、、、

 

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いずれも有名、高名な方の作品のようですが、”好み”には合いませんね。。。

 

まあ、いずれにしても、ボランティアガイドさんの説明は、素人にはちょうどいい塩梅の解説でしたし、それを聞いた上で、古備前、近代の備前焼を、じっくり鑑賞すると、印象が違ってくると思いました。

 

The 備前―土と炎から生まれる造形美― は、5/6まで(ハイパーGWいっぱいやっています)

 

しかしまあ、工芸館は私の趣味に合いそうです。また来ようと思ったところ、、、

 

MOMATパスポート

 

というのもあったんですね。。。

 

今回、当日限り900円払いましたが、あと300円足せば、一年間いつでもだったとは。チケットカウンターの方も言ってくれればいいのに。

 

美術館に来なそうな人に思われたかな(苦)

 

次回は、本シリーズ最後の国立公文書館です。

 

ではでは。



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