イメージを払しょくすることができた年始

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お正月は、私の勤めているレストランは元旦のみお休みで２日、３日は夜の営業はお休みでしたがランチは営業しました。
そして４日は月曜日でしたので、通常月でも日曜日を営業した場合は次の日の月曜日のランチのみはお休みになるので、そのとおりにお休みでした。
で、私はちょうどその４日の日、レストランの所在地である柳が瀬のあたりを家族で通りかかりました。



想像はしていましたが、お正月って皆さん、行くところがないのか、けっこうぶらぶらはされているんですよね。
昔、ショッピングセンターに勤めていた頃もお正月というと人出だけはあるんですが、それが売り上げにはなかなか結びつきませんでした。
けれど、人は外出すればお買い物は控えようとしても何か食べないわけにはいきません。
だからレストランなど食べる場所だけは人出に比例してはやるんじゃないかなぁと思っていたんですよね。
そうしたら想像どおり、柳が瀬のなかのお店もレストランはどこも大賑わいでした。
え！　ここにこんなに人が入っているの、見たことな～い、という店まで満席。
ふと見ると、私の勤めているレストランの前にも人がうかがうようにやってきては、「あぁ、お休みなんだ・・　残念だね。」と立ち去っていく様子が見えました。
うわぁ・・　通常のルールにとらわれずに私の勤めているレストランも今日営業すればきっとすごくはやったのに、となんだか悔しさが沸き起こりました。
そして、あれ？　とそんな自分に驚きました。



私はこのレストランに勤めていること自体は今や私の人生にとっては何の意味ももたない位置づけだと思っています。
勤め始めた当初こそ、ひょっとすると親が廃業をきめた店を継ぐかもしれない、ということがあったものですから、この年になって水商売で５，６時間立ち仕事をしても疲れずにやれるものかどうかの試金石のようなつもりがありました。
けれどもうその可能性はほぼ０になりましたので、このレストランで学んだことを持ち帰って自分で何かに役立てようとかいうものは何もなくなったんですね。
けれど約半年勤めてますと、もう１週間に２，３日はシフトに入ることが生活のなかのリズムになってしまって、辞める理由もみつからないので勤めてますけど。
しかし、そんな程度の位置づけにしか過ぎないと思っていたレストランに対して、「あぁ、今日営業していればかなりの客数が見込めたはずなのに。」という光景を目の当たりにすると歯噛みをするような、まるで私自身がこの店のオーナーか店長かのような気持ちになるってことはこれいかに。
ある程度、勤めてきたことによって愛着のようなものが沸き起こっているんだろうか・・？
それともどこかに勤めるとどうしても以前の経験から管理職のような立場でものを見てしまうんだろうか？
わかりませんが、少なくともただ時間を切り売りするだけのようにしてぼーっと勤めているよりはそういう意識で勤めていた方がハリがあって良いでしょう。
自分にそんな気持ちがあったんだ、ということに気付き、驚くとともになぜかわかりませんが、ヤル気がみなぎってくる自分を発見したのでした。



さて、そんなことがあった次の日の５日。
おとといのことですけれど、朝、レストランの同じパート勤めの同僚から電話がかかってきました。
「わたし、今日シフトに入っていたんだけれど、急きょ入院していた親が退院するのを迎えに行かなくちゃならなくなって早退しなくちゃいけなくなったの。
坪内さんて今日、空いてない？」
と言います。
「へ？　っていうか、どっちみちわたし、今日シフト入っているよ。」
と言うと、
「うそぉ。私がもらったシフト表には今日私１人だけしか書いてないよぉ。でも、いいや。坪内さんがいてくれるなら安心だわ。じゃ、予定どおり出勤ってことでお願いします。」
と言って電話は切れました。
別にただ人数が欲しかっただけの話かもしれませんが、「坪内さんがいてくれるなら安心だわ。」という言葉を聞いて、お、私でも頼りにされてるのかしらとこれまたヤル気がみなぎってくるのでした。



実は年末のシフトの最後の日、私は洗い終わったグラス類を元の位置に戻そうとお盆に乗せたとき、１つワイングラスを割ってしまいました。
それが昨日も明日も連綿とつづく日のなかで起きたことではなく、年末最後の日だったことで自分の中にイヤなイメージを残してしまっていました。
「あ～ぁ、今日で最後だっていうのにイヤな締めくくりしちゃったわ。」
「それに他の人たちにもまた坪内さんが割ったよ、って思われてるかもな～　あの人には大事なもの任せられないわ、って。」とか思い、落ち込んでいたのです。
私は、この半年くらいの間に３回、グラスを割りました。
それが２か月に１度グラスを１つ割る、という頻度が多いのかどうかよくわかりません。
ただ、もしそれを「多い」と指摘されるのであれば、私にも言い分はあったのです。
フロアには“今”のことじゃなく、“先”のことを考えなければならないリーダー的立場の人がいます。
その人たちはしょっちゅう、伝票やノートとにらめっこして、レジの中に入っている時間が多いです。
それをいけないというつもりはありません。
全員お客さまに集中しなくちゃいけないほど込み合っているときはやめてもらいたいですけど。
でもそうでないなら、私は「フロアの“今”のお客さまを全部まわす役は私がやるから、どうぞ、あなたは“先”の計画を立てて下さい。」というつもりで、自分の本分をわきまえているつもりなんです。
必然的に私が誰よりもお皿を出したり、下げたりする運ぶ回数が多くなる。
お皿やグラスに触れる回数が多くなればなるほど、割る可能性だって触れている回数が少ない人よりも多くなって当たり前でしょう、というのが私の言い分です。
だからもし店長やフロアリーダーに、
「坪内さん、ちょっと不注意だよ。割る回数多いよ。」
と注意されたとしたら、
「不注意なのももちろんあるでしょう。けれど、私が１番多くお皿やグラスを運んでいるんだから割るリスクも高くなる立場なんだ、ということもわかっていただきたいと思います。」
と一言言い返したい、と思っていました。
けれど、そんなことは言われませんでしたので、かえって私はイヤな気分を残したまま、年末のシフトを終えることになってしまったのでした。
言ってくれれば、言い返すこともできる。
でも何も叱られないのだから、こちらから言い訳のようなことを言うのもおかしい。
言わないけれど、腹のなかじゃ思ってんだろうな～なんて思うと悶々としてしまっていました。



けれど、そんなイヤなイメージを残した年末も、年始に自分自身が「４日に営業すればきっとはやったのに」とヤル気を出していることに軽く驚き、同僚に「坪内さんがいてくれるなら安心だわ。」と言われたことで単純にヤル気をだし、払拭することができました。
人間てほんとに単純なもんだね。






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