猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

特捜部Q カルテ番号64

2020-11-24 22:54:26 | 日記
2018年のデンマーク・ドイツ合作映画「特捜部Q カルテ番号64」。

コペンハーゲン警察で未解決事件を扱う「特捜部Q」。主任のカール警部補
(ニコライ・リー・コス)の相棒アサド(ファレス・ファレス)は他の部署への
異動が決まっていたが、カールがそのことにあまり関心がなく、引き留めて
くれないことに不満を持っていた。同じ頃、あるアパートの隠された部屋か
らミイラ化した3体の遺体が発見される。現場を見たカールは、テーブルを
囲むように椅子に掛けた奇妙な3体の遺体を目にする。しかし椅子はもう1
つあり、そこには別の誰かが座る予定だったのではないかと推測する。調べ
てみると部屋の住人は家賃だけを支払い続け、ずっと不在になっていること
がわかる。やがて遺体の身元が判明し、カールとアサドは複雑な事件に巻き
込まれていく。

デンマークの作家ユッシ・エーズラ・オールスン原作のベストセラー・ミス
テリー小説「特捜部Q」シリーズの映画化第4弾。シリーズの中で1番おもし
ろかったかもしれない。物語は1961年、海岸に若い男女がいるところから
始まる。2人は深く愛し合っていたが、いとこ同士だったため怒った少女の
父親が2人を引き離す。そして少女はスプロー島の女子収容所に入れられて
しまう。ここは不良少女やふしだらな少女を更生させる施設だった。一方現
代、2人のアラブ系の少女があるクリニックを訪れ、少女の1人は望まぬ妊
娠をしたため匿名で中絶できるこの病院で手術を受ける。
スプロー島の女子収容所とは1921年から1962年まで実在した施設だそうだ。
そこでは少女たちの中絶手術だけでなく強制不妊手術まで行われていたとい
うから恐ろしい。優生学に基づき「劣った遺伝子を残さないようにする」と
いう考えである。物語は現代と過去を交錯しながら進行していくが、わかり
にくくはなく、とても見応えがある。やがてアパートで発見されたミイラ化
した遺体が、1人は海岸で父親によって恋人と引き離された少女、もう1人
は彼女と同じ収容所にいた少女、そしてもう1人は弁護士であることがわか
る。女性たちと弁護士の関係はわかっていなかった。
今回はアサドが活躍する。アサドの行きつけの食料品店の娘が、匿名で中絶
できるクリニックで親に内緒で手術を受けたことをアサドに打ち明ける。そ
してそのクリニックの院長が何者なのかが判明し、カールとアサドは危険な
事件の闇に巻き込まれていくのだ。日本でも昔優生学に基づいて身体障害者
や知的障害者の男女が強制不妊手術を受けさせられていて、現在裁判が起き
ている。そんなことがあったなんて私は知らなかった。日本やデンマークだ
けでなくいろんな国で同じようなことは起きていたのかもしれない。優生学
ってナチスの思想と同じではないか。人間とは何と罪深いのだろう。
今回はとても重たい物語だった。クリニックの院長は白人優位主義なのでア
サドは色々と思うところがあっただろう。カールが犯人に言った、「神に見
放され親に捨てられても愛が勝つのか」というセリフはとても印象に残った。
そしてラストで重傷を負ったアサドにカールが本音を口にするシーンも良か
った。無骨で無愛想なカールの正直な気持ちは感動的だった。「特捜部Q」
シリーズの映画はこれで終わりだが、小説はまだ出版されているので、もっ
と映画化して欲しいなあ。とてもおもしろい。


「特捜部Q」シリーズ
第1作「檻の中の女
第2作「キジ殺し
第3作「Pからのメッセージ




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2 コメント

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Unknown (jagataro)
2020-11-25 08:42:42
想像力を刺激されるあらすじです。悲恋の少女がどうしてそんな最期を迎えなければならなかったのか……
最後、転勤は取り消してもらえたのかも気になる。
Unknown (杏子)
2020-11-25 15:50:27
>jagataroさん
コメントありがとうございます。事件の真相は意外なものでした。犯人の憎しみや執念を感じます。
シリーズものでとてもおもしろいので(デンマークでは小説がベストセラーになっただけでなく映画も大ヒットしています)機会があれば是非観てください(^-^)

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