猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

評決の行方

2020-05-14 22:11:46 | 日記
2006年のアメリカ映画「評決の行方」。

1930年代、有能で成功しているニューヨークの弁護士サミュエル・レイボヴィッツ
(ティモシー・ハットン)に、弁護士団体から弁護の依頼が来る。2年前の貨物列車の
中で若い2人の白人女性を強姦したとして9人の黒人青年たちに集団レイプの容疑が
かけられていたのだった。証拠不十分な状況にも関わらず、白人のみの陪審員による
審議が行われ、最年少の被告人以外に死刑宣告が下されていた。サミュエルは事件を
追っていくうちに被害者の白人女性と接触し、ある疑問点が湧く。

実際に起きた事件を基にした映画。白人の弁護士サミュエルは、2人の白人女性を集
団レイプしたとして9人の黒人青年が逮捕され、最年少の被告以外に死刑宣告が下さ
れている事件の弁護を担当することになった。サミュエルの妻は反対するが、彼は事
件の起きたアメリカ南部へ出向いていく。アメリカ南部は現代でも人種差別が色濃く
残る場所である。当時の南部での黒人差別はもっとひどかっただろう。実際裁判では
陪審員は白人のみだった。サミュエルは被告人たちに面会するが、彼らはやっていな
いと言う。被害者女性たちにも会うが、サミュエルは彼女たちの言い分に疑問点を感
じる。
この事件がもし白人による黒人女性の強姦だったり、白人同士の強姦だったりしたら
裁判の結果は違ったものになっていたのではないかと思う。それに確かに強姦は許し
難い犯罪だが死刑は重すぎるのではないか。当時のアメリカでは黒人男性が白人女性
を強姦したら死刑だという決まりがあったのだろうか。陪審員が白人だけというのも
ひどい。あるシーンで黒人少女があからさまに白人から差別を受けていて、イラっと
したのだが、サミュエルもその光景に我慢ならなくなって怒りをぶつけていた。
ティモシー・ハットンはこういう誠実な人の役がよく似合う。映画は淡々と進み、そ
れほどおもしろいという訳ではないが、当時の人種差別の状況がよくわかって興味深
かった。裁判でサミュエルが被害者とされる女性たちを追い込んでいくシーンは良か
った。サミュエルは頑張ったが、結果は満足のいくものではなかった。だから物語と
してはすっきりしない。それでもサミュエルはその後も人権派弁護士として奔走し活
躍したようだ。アメリカの良心のような人だったのだなあ。私にとっての法廷もの映
画ベスト3は「評決」「ジャスティス」「レインメーカー」である。特に「評決」は
とても良かった。




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2 コメント

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Unknown (1)
2020-05-17 11:16:11
他人の差別にはイラッとします。
Unknown (杏子)
2020-05-17 15:24:22
>1さん
コメントありがとうございます。
差別って人種差別だけでなく色々ありますよね…イラッとしますよね。

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