猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

存在のない子供たち

2019-09-07 22:47:51 | 日記
2018年のレバノン・フランス合作映画「存在のない子供たち」を観にいった。

「両親を訴えたい。僕を産んだ罪で」裁判長の質問に堂々と答えた少年の名は、
ゼイン(ゼイン・アル=ラフィーア)。両親が出生届を出していないため誕生日
も不明だが、おそらく12歳くらいの年齢だ。彼の言うところの"クソ野郎"を
刺した罪で少年刑務所に収監中だが、弁護士を代理人に自らこの裁判を起こし
たのだ。中東の貧民窟で両親と兄弟姉妹と暮らしていたゼインは学校へも行か
ず、路上で物を売るなど、朝から晩まで両親に働かされていた。唯一の支えだ
った仲良しの妹が11歳で強制結婚させられ、怒りと悲しみから家を出る。

重たい映画だった。中東の貧民窟に生まれたゼインは、両親が出生届を出さな
かったために、自分の誕生日も知らないし、法的には社会に存在すらしていな
い。両親は存在しない子供たちを何人も産んでいるのだ。そして学校へも行か
せずに働かせている。何とひどいことだろうか。更に両親はまだ11歳の娘を、
アパートの大家と無理矢理結婚させてしまう。それを阻止できなかったゼイン
はそのまま家を出る。わずかなお金しかなく、食べ物も買えないゼインを見か
ねて、レストランで働くエチオピア移民の女性が自分のバラックへ連れて帰る。
赤ん坊と2人暮らしの女性は、子守りをする代わりにゼインを置いてやること
にする。
ゼインのたくましさ、生活力の強さには驚かされる。女性が不法就労の疑いで
警察に拘束されてからは、赤ん坊の面倒を見ながらお金を稼いで生きていくの
だ。このような子供はおそらく世界中にたくさんいるのだろう。映画の出演者
たちも、役と同様に大変な思いをしてきた素人の人たちばかりだと言う。ゼイ
ンの、「大人たちに聞いて欲しい。世話できないなら産むな」という言葉が胸
に突き刺さる。映画の終盤、ゼインの母親が妊娠していることがわかり、ゼイ
ン同様私も怒りを覚えた。あんなに貧困にあえいでいるのに、まだ子供を産む
というのか。ゼインは母親に「心がないのか」と言い捨てる。
この映画は、貧困、児童婚、移民、不法就労など色々な問題を含んでいる。特
に児童婚は世界的に問題になっているだけに、胸が痛んだ。ゼインは映画の中
で全く笑わないのだが、ラストシーンで子供らしい笑顔を見せる。それが救い
だった。




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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (dalichoko)
2019-10-08 07:28:06
つらいお話でしたね。現実はもっともっと厳しいと思います。親も子もないほど荒んでいて、その根底に貧困がある。貧困の行く先を見せますね。
最後の小さな笑顔だけが救いでした。
(=^・^=)
Unknown (杏子)
2019-10-08 16:22:04
>dalichokoさん
コメントありがとうございます。本当に辛い物語でした。こういう国はきっと世界中にたくさんあるのでしょうね。
11歳で結婚させられ、死んでしまった妹が1番かわいそうでした。
最後の子供らしい笑顔が救いでしたね。

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