猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ

2020-03-12 22:37:36 | 日記
2019年のドイツ・フランス合作映画「屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ」を観に
いった。

第2次世界大戦前に生まれ、敗戦後のドイツで幼少期を過ごしたフリッツ・ホンカ
(ヨナス・ダスラー)。彼はハンブルクにある安アパートの屋根裏部屋に暮らし、夜
になると淋しい男と女が集まるバー「ゴールデン・グローブ」に足繁く通い、カウ
ンターで酒をあおっていた。フリッツが女に声をかけても、鼻が曲がり、歯がボロ
ボロな容姿のフリッツを相手にする女はいなかった。フリッツは誰の目から見ても
無害そうに見える男だった。そんなフリッツだったが、彼が店で出会った娼婦を次
々と家に招き入れ、ある行為に及んでいたことに、常連客の誰1人も気づいていな
かった。

1970年代のドイツに実在した連続殺人犯フリッツ・ホンカについて描いたサスペ
ンス映画。狭い屋根裏部屋に暮らし、孤独な生活を送っていたホンカは毎晩のよう
にバーに通っていたが、客の女性に酒を奢ろうとしても、その醜い容姿から「あん
な不細工は無理」といつも断られていた。そんなホンカを相手にしてくれるのは年
を取った娼婦たちだけであり、また彼女たちの方でもそれは同様だった。ホンカは
娼婦を家に招き入れ、一緒に酒を飲み、気に入らないことがあると暴力を振るった。
それは老娼婦たちにしか強気になれないアル中のホンカの姿だった。
まずホンカの醜さに驚く。あんな男に酒を奢られても、そりゃ断るだろうなと思う。
ホンカの相手をしてくれるのはアル中の老娼婦たちだけだが、彼女たちも醜く太っ
ていて、あれで仕事ができるのだろうかと思うくらいだ。バーで孤独な者同士が結
びついていたのだろう。
ホンカの生い立ちは不幸で、親の愛情を知らずに孤独に育ったようだが、映画では
そういったことには触れずに、中年になったホンカの日常が淡々と描かれている。
ホンカの殺人はとてもずさんである。計画性も何もなく、突発的に殺害し、死体を
バラバラにする。いくつかはゴミとして捨てるが、残りは面倒くさくなって家の壁
に放り込んでしまう。
そして、ホンカを演じたヨナス・ダスラーの変貌にも驚かされる。彼はまだ23歳
で、とても美青年なのだ。特殊メイクってすごいなあと思う。顔だけでなく体つき
や体の動かし方など、中年にしか見えない。まさに熱演である。老娼婦を演じたお
ばちゃん女優たちも頑張った。エンディングでホンカの裁判のシーンや実物の屋根
裏部屋が出てくるが、本物そっくりに再現されている。壁いっぱいに貼られたポル
ノ写真はホンカの人格を表しているのだと思った。おもしろい映画だった。

スウェーデン出身の名優マックス・フォン・シドーが亡くなった。「エクソシスト
」「ペレ」「偉大な生涯の物語」など良かったなあ。他にもこの人の出演映画はい
くつか観たことがある。素敵な俳優さんだった。ゆっくりお休みください。




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2 コメント

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Unknown (jagataro)
2020-03-15 18:53:03
メイキング映像付きの予告編を見ました。彫刻のような美男子が溶けかけたオッさんになっちゃった😨💧
日本も中堅どころの俳優に、こうしたオファーに燃えそうな人材がいると思うのですが……とんがったプロデューサーの登場に期待します。
Unknown (杏子)
2020-03-16 03:02:58
>jagataroさん
コメントありがとうございます。すごいですよね特殊メイク。彼は毎日3時間かけてメイクをして、撮影に挑んでいたそうです。
「ジョニー・ハンサム」でもミッキー・ロークがすごい醜悪な顔になって、整形手術でハンサムに(というか元のミッキー・ロークの顔に)なるという役をしていましたが、
海外の俳優さんは何10kgも太ったり痩せたりとか、変貌ぶりに気合が入ってますよね。

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