シャーロットの涙

☆映画と音楽、その他、芸術鑑賞記録と残しておきたい日々の雑記☆

父親達の星条旗

2006-11-02 22:30:52 | 映画「た」行の作品
原作はジェイムズ・ブラッドリー、ロン・パワーズ著のベストセラー「硫黄島の星条旗」。
日米双方の視点から、太平洋戦争最大の激戦地といわれる硫黄島・擂鉢山に星条旗をを打ち立てた6人の兵士の死闘と、生き残った3人のその後の人生を描く。

クリント・イーストウッド監督、脚本ポール・ハギスら「ミリオンダラー・ベイビー」のスタッフが再結集。製作には、スティーブン・スピルバーグの名も。

改めて思うのは、戦争は現場の思いなどお構いなしだということ。
祖国の為に戦ったが戦友の為に死んでいった・・・という言葉がとても重く響いた。
せっかく掲げた星条旗も政治家の為に取り替えなければならないなんて。
その辺顔がはっきり写っていないが為にいろんな憶測をされてしまったり、誤解を生んだりと、どうも戦ってきた兵士たちがやっとの思いで立てた旗が、一人歩きしてしまうのがやるせない。

彼らはただ、名誉とは無縁であり、戦死した仲間たちとともに前線に留まりたかっただけだったのにもかからわず…。

映画は現場の兵士たちとそれを取り巻く周囲の温度差の違いを浮き彫りにする。
戦争はイコールお金なんていうのも皮肉なものだ。
あくまでも戦争の是非をはっきり問うものでもなく、そこに関わった兵士たちのその後の人生に及ぼしたことを描いていく。

クリント・イーストウッドの作品は何がいいかというと、音楽がいい。
殺伐とした雰囲気を、物悲しい控えめな音楽たちが言いようのない苦しさをそのまま語ってくれる。
心染み入る音楽は余計に戦争のやるせなさを助長する気がしてしまった。

幾度となく繰り返される爆音と照明弾の光の応酬には激しさこの上なく、あまりにもリアルですごすぎて、私はただ涙が流れるだけだった。
生き残った3人の脳裏にはイベントに出されるたびに、忌まわしい記憶がよみがえるのかなんとも見ていていたたまれない。

俳優陣はとても印象深い。生き残った3人以外にもジェイミー・ベルがバリー・ペッパーがポール・ウォーカーが、今までの役を払拭するような、力強く運命に翻弄されながらも必死で戦う兵士に扮する。その他エキストラも含めてもかなりリアルな戦闘シーンには圧倒される。

一方の視点だけではなく双方から描くということなら、お互いがどんな思いで領土を奪い合うのか理解する機会も得られようというもの。でもあくまでも現場は祖国の為に戦いながらも、一個人としてはあまりにも戦争というものがむなしく感じる姿や生きて帰りたかったのであろう姿を描いていくような気がする。

見てるのがあまりにも辛いし、壮絶な最期を遂げる日本兵も含めた兵士たちの姿には、今後も強烈なまでに私の記憶からは離れることはないかもしれない。



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55 コメント

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非常に深みがある仕上りでありました (たろ)
2006-11-03 00:04:54
こんばんは。
コメントとトラックバックを失礼致します。

この作品は、戦争とそこにある社会と個々の密接な繋がりを細やかに描いており、争いに対してのクリント・イーストウッド氏の静かながら強い視点を十二分に感じさせられる力作でありました。
そして、二部作の完結編である、映画『 硫黄島からの手紙 ( RED SUN,BLACK SAND/LETTERS FROM IWO JIMA ) 』 ( ‘06年 アメリカ )の方もとても観てみたいです。

また遊びに来させて頂きます。
ではまた。

charlotteさん☆ (mig)
2006-11-03 01:44:29
こんばんは

何ともイーストウッドらしいというような映画でした。
さりげなく、おしつけがましい感じがしなかったのが良かったですね。

過去の戦争映画とは違って、違った現実をみせつけられた気がしたな。。。
お久しぶりです (きらら)
2006-11-03 08:31:34
オハヨウですー♪

charlotteさんの記事読んでいると映画のことが
すごく思い出されました。
そして改めてジーンとしてしまいます。

戦争ってただ戦場で戦うだけじゃないんだってことを
改めて考えさせられました。

硫黄島からの手紙も観るの辛そうだけど待ち遠しいです。
こんにちは! (mezzotint)
2006-11-03 12:08:31
シャーロットさん
TBさせてもらいますクリント・イーストウッドの映画、初めてです。戦闘シーンのリアルさには生還した3人の生き様には複雑な思いを感じました。父親が戦争へ行っているので、色々話を聞きます。硫黄島で亡くなった日本兵の数も多いという話でした。第二弾「硫黄島からの手紙」の公開が待ち遠しいですね。
たろさん (charlotte)
2006-11-03 17:49:19
こんにちは。
イーストウッドの作品って本当、画面から何か力強いものをうけとるようなきがします。
シンプルとひとくくりには出きない濃密なものも感じます。
二部作目が非常にまた楽しみになりましたね。
たろさんはいつも試写会なので次回もかしらー。
migさん (charlotte)
2006-11-03 17:56:48
こんにちは~。
そうですね。すごくイーストウッドらしい寡黙な作品。戦争映画って両極から描かれたことがないなんて…今回はある意味賭けだったのかもしれませんね。
私、イーストウッドは大好きなんですー。
彼は寡黙な男をやらせたら私にはグ~!な、お方。
そういうところが監督業としてもものすごく演出に表れていて、はっきり語らなくても本質はぐぐぐっと魅せてくれるところがまたグッジョブ!です。笑
きららさん (charlotte)
2006-11-03 18:01:29
こんにちはー。
ごぶさたですね。
戦争って心の葛藤も意味しますね。
自分との戦いも含まれるし、世間とのことも(差別偏見等も)。
戦争が終わって、その後の彼らの一生も英雄とは程遠く、仕事にありつくのも大変だなんて。
戦いは終わらないのですね。。。
さて、日本兵はどんな感じで描かれているのかとても気になってきました。
でも見るのはきっと辛いんだろうなあ。。。
mezzotintさん (charlotte)
2006-11-03 18:07:18
こんにちは。
戦後随分と月日が流れ、戦争というものはとても遠い存在になってしまっていることは喜ばしい反面、悲劇を忘れて暴走していないか平和ボケしていないか、なんだかとても風化してきていることを実感します。
日本兵の事をどのように悪く描いているのかとちょっとドキドキしてましたけど、そんな感じでなかったことは個人的に意外でした。
悪いものは直接示唆してないですね。
漠然としていても人を傷つけあう事自体が哀しいと思いました。
一人歩き (隣の評論家)
2006-11-03 19:50:24
こちらにもー。
悲痛でしたねー。戦争には【英雄】なんて存在しないのだと心から思いました。
見応えは十分でしたが、とにかく『硫黄島からの手紙』が楽しみでなりません。予告編映像だけでもバンバン伝わる、渡辺謙さんを初めとした豪華キャストのオーラ。今から、公開が楽しみです。
ジェイミー・ベル (kazupon)
2006-11-03 20:06:57
charlotteさん、先日はお祝いコメントありがとう
ございました^^
そうそうクリントの最近の映画って自分で
作曲してるんですよね~ 演じて撮って、曲まで!
スゴイです。また曲がいいんですよね。
それより、他のブログで教えていただきましたが
あのイギーは「リトル・ダンサー」の彼なんですね
!全然気付きませんでした!^^

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