シャーロットの涙

☆映画と音楽、その他、芸術鑑賞記録と残しておきたい日々の雑記☆

羊と鋼の森

2018-06-09 10:39:40 | 映画「は」行の作品
PIANO TECHNICIAN…




おひさしぶりです~~~w

何年も放置してた間にずいぶんとブログも機能が変わっていた;トラックバックってなくなっちゃってたのね。

久しぶりに自分の過去の記録を読んで、気恥ずかしくも自分を省みております;
書き方も忘れてしまっているのですが;ここは自分の忘備録なのであしからず;

なぜいきなり更新したのかというと、一応ピアノ調律師なもんで「羊と鋼の森」は書かなきゃと思いまして;
調律師って翻訳機で変換したら、「ピアノチューナーPIANO TUNER」って出てきたんです。これではなんかチューニングするための機械…って感じですよねw
一応人間ですし、調律師ってチューニング(調律)だけしてるわけでもないので、エンジニアとかテクニシャンとかの方がよいですね。
映画の中でも、調律学校のシーンで「調律、整調、整音」って説明するシーンがあり先生も熱く語っていました。

学校の生徒には女子生徒もたくさんいましたが、江藤楽器には女性社員?は事務の人だけっぽくて、今時女性調律師がいない楽器店なんてあまり現実的ではないような気もしますね;

そう、そもそも音楽もピアノも未経験の普通の青年が「調律師になりたい!」と思うほうが非現実的。
映画にするなら、ジブリ的にwヒロインのほうが絶対ヒットする!、とか、神木隆之介君が主人公!・・・なーんて;思ったけど、
ピアノ調律師というマイナーな職業の話なんて、男女どちらでもどなたでもこの主人公は世間一般的につかみはOK?かもしれませんね

さてこの作品の楽しみ方を書かねば…w

私はこの作品を見る前にすでに原作を読んでました。映画を見る前に絶対に原作は読まない!って決めてるんですけどw
本というのは物語を楽しむ、そして自分の中でそれを視覚化して楽しめるので、監督の世界観を見させていただく映画との間にギャップが生じるとあんまり楽しめないからなんです。

ところが私のところの社長がこの原作のモデルになってることもあって文芸春秋の連載の頃にちょっと読ませてもらってました。
そしてまさかの本屋大賞受賞、そして映画化・・・
しかし非日常を求めて読書したり映画も観たりする私にとっては、その本はまさに私の日常であり、正直に言うと淡々とした語り口調で物語に起伏もあまりない世界観は、そんなに印象的ではなかったのでした
でもそんな中で面白いと思えたのは、社長が普段使う言葉たちがいろんなキャラクタ-の口からポンポン飛び出していて、毎度読むたびにプッと笑えてしまっていて
特に秋野さん、結構私的には面白い話をたくさん出す人なんで映画でも期待していたんですけど…物語の構成では柳さんの登場がほとんどで期待外れw
なので、映画を見た後に原作を読んで秋野さんの毒舌?をお楽しみくださいw

そしてこの作品、音楽映画の様でそうではないところがいいんですよね。
BGMはかなり抑制されています。
音は自然界のもの…風の音、それに吹かれて揺れる葉の音、樹のきしむ音、雨の音など がとても印象的。
でもそんな中に挿入される音楽は、少し軽快なものであったり心情を表すような繊細な音楽であったり、、、音楽を担当した世武裕子さんらしい音達が物語を彩っていました。

世武裕子さんとは私も実はつながりが少しあって、彼女のピアノの調律はうちの社長が行ってますが、そのピアノを修理した事があります。
彼女はフランスで映画音楽を勉強してた事もあり、フランスものが好物な私はもちろん世武さんの音楽も好物
しかもヤレドについて勉強もしたことあるなんて…わたしが好きにならずにはいられないでしょ
でも、無音なシーンも数多く、世武さんのお仕事を心底堪能出来たわけじゃなかった〜〜
それにしても、見事なきらきら星の連弾の編曲!すごく曲がキラキラしてましたょ


ただこういう音楽をテーマにしたお話にしては、メジャーな音楽の登場が多く、セリフに曲名や作曲家の名前なんて出てこないし、そんなに音楽やクラシック音楽の知識があまりなくても 物語にちゃんとついていける気がします。
それにライブハウスで城田優演じるアーチスト?が弾いてたシーンや、鈴木亮平がドラマーなバンドもそうだけど、音楽はクラシックばっかりではないのもとても良い感じ。

それにこの映画って、ご本人達がちゃんと演奏してるのが良いんですよ。城田君も鈴木君も双子の姉妹ちゃん達が弾く演奏も、引きのショットで撮ってくれてるからちゃんと手が写ってるし、たとえ顔のアップでもピアノのダンパーフェルトの動きで本人達が本当に弾いてるのがわかりますよね。たとえ引きのシーンだけでも演奏してるのがいい

そして本人達の音もリアルに拾って流れてきます。
映画館の音響システムにもよって聴こえ方が違うかもしれないけど、ヤマハピアノの音でも 弾いてる双子ちゃんそれぞれの音が違うのに気がつけるとより面白い。
彼女達はピアノ歴が浅かったり なかったりしてるそうだけど、よく短期間であそこまて弾けるようになったと感心します。たとえ ある一部分だけでもね きっと手の吹き替えいるでしょもしくはアフレコ
そういえばエンディングで流れる辻井伸行君のピアノの音はまさにピアニストの音って感じでしたよね
もちろん辻井君の弾くピアノも調律師も 劇中のと違うだろうから比べようがないですけど。
それより調律師は板鳥さんをご指名のガイジンのピアニストさん、表情がとっても豊かでしたよねというか顔も弾き方もオーバーアクションで楽しかった


ところでピアノの話ですが。
弦の向こうから俳優さんの顔を撮ったり アクション内部を撮ってたり、かなり小さいカメラで普段見る事のあまりないピアノの心臓部にフォーカスしてるのにも注目。
グランドピアノのアクションを何度も引き出して見せてくれるのもいいですよね。
調律師が普段行う作業も結構細かく描写、「調律師あるある」が随所にありました。
ネジケンセンダハンウィカラキャケンケン…この暗号、調律師ならわかりますが、そんな整調工程がいたるところで見られます。感謝感激w

また音を飛ばすとか運ぶとか、もっと音を明るくとか そんな台詞が出てくるシーンでもピアノをどういじるのか、調律師のセンスもそこに垣間見れますよね。
ピアノのダブルキャスターを動かす三浦さん、あまりのピアノの重さに顔が辛そうで
でも彼はピアノの蓋をちゃんと一人で持ち上げて突き上げ棒をセット出来てました
コンサートグランドの蓋は重いから、五十肩の私は今は一人じゃ出来ない
由仁ちゃん、調律師になりたいと言っていたが、蓋をまず持ち上げる練習からしてください バイクの免許取るときにバイクを起こす練習するのと同じw
外村君、板鳥さんがピアノを下から背中で持ち上げてキャスターの向きを変えるのを思い出し、自分もやってみよ!ってやってみたのはよいけど、内側に変えてたのは残念だたね

この作品を観て、自宅に来る調律師さんに音に対しての注文をしたくなる人が多くなりそうと思ったり…
もっと明るい感じにできますか?て言われても…それは弾く人が 明るく弾く…と私は思いますが
調律師が音色を決めるわけではないと私は思うので、そこら辺は誤解して欲しくないなあど思いましたです
音色云々より まずそのピアノをちゃんと弾けて反応が速い状態にするのが先で。そうなったところから初めて注文するならわかりますが、でもそれをどう響かせるかは弾き手次第かと。
作業が終わった状態がそのピアノにとって一番良いタッチを持ってどんな音でも出せる最高の状態に本当になってるのかどうか…新米であっても一生懸命に作業してるだろうけど音色云々注文されてもタジタジかもですね昔を思い出したゎw

この物語はピアノと音楽の事が一応前面に押し出してはされてるけど、人間の心のあり方の変化を丁寧に拾って紡がれています。まさにそこに日常がある。誰でも自分に置き換えて観られる…そこに共感できる描き方がいいですよね。

両親を亡くし 唯一そばにいた犬をも亡くし、家族が誰もいなくなったと思った南君は、ふと家の中心にあったピアノの存在を思い出し、再生させてみようと思った・・・そして見事に復活したピアノを弾くことで自分もまた前へ一歩を踏み出します。子犬のワルツも軽快に
そうピアノも家族であったと思い出したかのよう・・・に。

調律師になりたいと言った時に、家族に はぐらかされ否定されたと思って家の外に出て行った外村君を、森の入り口の様な場所で待つお婆ちゃん・・・ちゃんと彼は道もココロも迷わずに戻るのを確信して待っていたんだよね。おばあちゃんは台詞一切ないけど。
双子姉妹にかけて、兄弟間の葛藤も連動させてる描き方もなかなかでした。
お婆ちゃんは亡くなったけれど悲しい涙のような雨ではなく、まるで2人の間の汚れた何かを綺麗に流してくれてたかのような、あの雨の静かなシーンは、私のこの映画で一番の涙ポイントでした。

どちらのシーンも本で読んだ時よりも映像と音楽のおかけでしょうか、感動的な場面に昇華されてる気がしました。

調律師はピアノの音をただ合わせるだけでなく、楽器に宿る想いを呼びおこし、またそのピアノが本来持っているはずのチカラを発揮させ、弾き手の体と同化させ その人の音や想いを表現できるようにするのが仕事だと思います。
だからボロいピアノを修理するシーンはなんか人一倍嬉しくなりましたよ。

ただひたすらに30年、色んな種類のピアノ達と向き合いながら たくさん自分とも向き合ってこれたのも、ピアノも人も たとえどんな状態になっても必ず美しく本来の姿に再生できるという喜びに気づけたからこそと思えました…

南君家で10年以上も未調律のピアノを一人で直すのは大変だったよね
暗かった部屋が終わったら明るくなってたから、外村君の作業終わったのは次の日の朝かと思っちゃったよ。徹夜かい?お疲れ様〜〜


さて。
私が勤務する工房には山羊がいます
社長の家には猫も犬もいるけど、山羊とか鶏もいますw
すぐ脇には緑の森博物館という名の森もあります。
私は まさにヤギとニワトリの森でピアノの修理してます。鋼もたくさん取り替えながら…

調律師の事をこんなに丁寧に描いてくれた作品はこれ以外に知りません。こんなに素敵に作ってくれてありがとうございます

そして…
森の中で今も私は さまよいながら音と戯れています




羊と鋼の森 (文春文庫)
宮下 奈都
文藝春秋




羊と鋼の森 オリジナル・サウンドトラック SPECIAL(AL2枚組)
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羊と鋼の森 ピアノ・コレクション(AL)
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解説

ピアノ調律師の青年の成長を描き、2016年・第13回本屋大賞を受賞した宮下奈都の小説を、山崎賢人の主演で映画化。
将来の夢もなく生きていた外村は、高校でピアノ調律師の板鳥と出会い、板鳥の調律したピアノの音色に魅せられ、その日から自身も調律の世界を目指すことを決意。
専門学校を出て新米調律師として働くようになった外村は、調律師の先輩・柳やピアニストの高校生姉妹・和音と由仁ら、調律を通して知り合う人々とのかかわりによって、調律師として、そしてひとりの人間として成長していく。

山崎が主人公・外村に扮し、外村が調律の世界に足を踏み入れるきっかけとなった板鳥を名優・三浦友和が演じる。
また、実の姉妹である上白石萌音と上白石萌歌が姉妹の和音と由仁をそれぞれ演じ、初共演した。
監督は「orange オレンジ」でも山崎とタッグを組んだ橋本光二郎。


スタッフ

監督 橋本光二郎   原作 宮下奈都  脚本 金子ありさ  製作 市川南  
共同製作 今村司 山本浩 宮崎伸夫 広田勝己 高橋誠 松田誠司 松井清人 渡辺勝也 田中祐介 東実森夫 井戸義郎 伊藤公保
エグゼクティブプロデューサー 山内章弘  プロデューサー石黒裕亮 川田尚広
プロダクション統括 佐藤毅  撮影 山田康介  美術 矢内京子  録音 豊田真一  照明 加藤桂史  編集 瀧田隆一
音楽 世武裕子
エンディングテーマ(作曲・編曲)久石譲  エンディングテーマ(演奏)辻井伸行 
助監督 清水勇気  製作担当 牧野内知行  音楽プロデューサー 北原京子


キャスト

山崎賢人・・・外村直樹
鈴木亮平・・・柳伸二
上白石萌音・・・佐倉和音
上白石萌歌・・・佐倉由仁
堀内敬子・・・北川みずき
仲里依紗・・・濱野絵里
城田優・・・上条真人
森永悠希・・・南隆志
佐野勇斗・・・外村雅樹
光石研・・・秋野匡史
吉行和子・・・外村キヨ
三浦友和・・・板鳥宗一郎

製作年 2018年 製作国 日本 配給 東宝   上映時間 134分


(映画.comより)
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2 コメント

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えええ! (み・あもーれ)
2018-09-13 01:20:38
知らなかった…調律師さんだったなんて。
その上、社長さんがモデルなんて、びっくり仰天です。
私は本が先でした。読みながら和音のピアノの音を聴いてみたいなと思っていました。
1年ちょっと前になりますか、『蜜蜂と遠雷』と前後して読み、音楽小説て楽しいなと思いました。
み・あもーれさん (charlotte26)
2018-09-13 07:15:12
こんにちは〜〜!
ものすごくご無沙汰してしまいました
ここのブログも忘れないでいて下さり、本当にありがとうございます

そうなんですよ〜〜これでも一応 調律師デス。
まだやってます笑
調律師というより、ドカタのヲバちゃん?笑笑
きっとご想像してるカッコいい調律師さんな人ではありません
昨日は塗装修理して汚れてました笑

この原作は、宮下さんが社長を取材されて書かれた本です。
映画の方には関わってないんですけど、この物語のおかげで調律やピアノ業界では、ちょっとした変化があったかもしれないなぁと思うところです。
うちに関しては本を読んでの調律や修理依頼がすごく増えちゃってホントに大変なんですけど、活気づいてきてちょっと嬉しいですょ。

音楽がある日常はとても良いものですよね。
そしてこの物語がそれに気がつくきっかけになってくれてるのを感じて、私も心は踊ってしまう笑

本を読むと1ページ読むのにいったいどれだけ時間がかかるんだ?!と思うほど、眠くていつの間にか寝てしまってる自分なんですが、オススメの本も読んでみますね。
映画も映画館に入った途端に目が閉じてしまったりしてるんですが笑

また たまに更新してたりしますので、ぜひまたお話しできたら嬉しいです

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