シャーロットの涙

☆映画と音楽、その他、芸術鑑賞記録と残しておきたい日々の雑記☆

ヒアアフター

2011-02-26 01:17:06 | 映画「は」行の作品
来世

イーストウッドの監督作品で私が一番スキなところは、「音楽」…というか、音楽や音響がまず気に入らないと私はどんな作品もイマイチだ、とか言ってる輩なんです;
要は映画は演出。だと思ってるので。

それと、監督が音楽まで担当する人で私がパッと思いつく人はイーストウッドだったりする。他に誰かいます?あまり思い浮かばない。(物忘れがひどいだけかもしれませんけど;)
まあ、クレジットには「音楽」は誰だれ、と出てるだけでほとんど監督の意向が映画に反映されてると思うのですけど、一応クレジットで「音楽」と「監督」が同じ映画ってあまりないですよねえ。
私は、過剰な演出として突出しちゃってる音楽よりも、もっとデリケートに背景音楽にこだわってくれる監督が好きなんです。
だからというか、イーストウッドの映画はどうも私の心の琴線をいつも刺激してくれるらしく、今回もとってもいい余韻を残してくれたのでした。ラストシーンも個人的にすごく印象的だったし。一番盛り上がる頂点なのにしみじみとした心温まるようなフレーズのセンスがたまらなく私を虜にしてくれて嬉しくなってしまう。

イーストウッドの音楽の世界観は私にはなんだかとても刺激的。その「刺激的」というのは、「ピリピリ」としたものではなくて「じわじわ」とした、衝撃なものよりもっと緩慢なものなんだけど、彼の俳優として根づいている私のイメージと彼の音楽の世界が一致しない気がして、またそんなところが好きだったりするんだよね。ハリウッド作品で、西部劇とか、銃とか、アクションとか、私には過剰気味な演出の映画に出てるイメージがついて回っていたりする人だったんだけど、監督として観た彼の作品の演出はまた全然違った色に見えてくるんだよな。

本作だって物語だけを追っかけて見ていくとしたなら、冒頭なんてパニック映画見てる気分になって全然私の興味をひく題材ではなかったし、「シックスセンス」程に刺激的な高揚感もなく、スピリチュアルな材料がいっぱいで個人的には好物なものがあちこちにあるくせに「ファウンテン」みたいな強引な吸引力もなくてどこか中途半端さも感じてしまう作りに、イーストウッド作品に私が感じる「寡黙」な強い説得力をどうもあまり感じられなかったの。
イーストウッドなら…「寡黙」じゃないと。

だからこそ音楽が彼でよかったなあってまた思えるというかね。抑制された演出を感じられないとどうも腑に落ちない。
でも物語がどこか胡散臭く感じるような「霊能者」とか「あの世」とかそういったものから外れたシーンは、個人的には好きな方だったりしたの。セシルってとてもスポーティで中性的な魅力を感じる人だけど、買い物シーンでの女性的でキュートな表情はホント魅力的だったし、マットとブライスの料理教室の目隠しシーンはちょっとドキドキしてみたり、双子ちゃんが宿題をするシーンは微笑ましくて楽しくて。
そして「死」というものに向きあうということよりも、「自分」と向きあって、そこにある自分の力ではどうする事もできない事を受け入れたり目に見えない力を信じて「自分」を変えていく事にあえて挑戦していくそれぞれの姿に感銘を受けてしまったの。
双子ちゃんのママだって最後はとても母性溢れるステキな姿に見えてすごく嬉しかったし。それにマーカスくんの嬉しそうな顔に思わずもらい泣きしちゃったもの。

心の奥深くまで見つめるような重たさとかはないけど、なんだかやはり人物たちに共鳴をしてしまえたし後味も悪くなかったな。
寡黙であるがゆえの重さを感じ無かったのがいつになく良かったのかもしれない。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


ジャーナリストのマリーは、東南アジアで津波に飲み込まれ、呼吸が停止した時に不思議な光景を見る。サンフランシスコ―かつて霊能力者として働いていたジョージ、今では工場に勤めている。ロンドンで暮らす少年マーカスは、突然の交通事故で双児の兄を失う。兄を思うマーカスは、霊能力者を捜すうち、ジョージのWebサイトに行き着く。一方、マリーは臨死体験を扱った本を書き上げた。やがて異なる3人の人生が交錯する日が来る…。
(goo映画より)


<キャスト・スタッフ>

監督 クリント・イーストウッド
製作総指揮 スティーヴン・スピルバーグ   ピーター・モーガン   フランク・マーシャル   ティム・ムーア
製作 クリント・イーストウッド   キャスリーン・ケネディ   ロバート・ロレンツ
脚本 ピーター・モーガン
撮影 トム・スターン
美術 ジェームズ・J・ムラカミ
音楽 クリント・イーストウッド
編集 ジョエル・コックス   ゲイリー・D・ローチ
衣装(デザイン) デボラ・ホッパー

出演 マット・デイモン (George Lonegan)
  セシル・ド・フランス (Marie LeLay)
  フランキー・マクラレン (Marcus / Jason)
  ジョージ・マクラレン (Marcus / Jason)
  ジェイ・モーア (Billy)


製作年 2010年
製作国 アメリカ
配給 ワーナー・ブラザース映画
上映時間 129分

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10 コメント

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 (とらねこ)
2011-03-01 16:30:01
シャーさん、こんにちは。
この作品は半分以上の人がケナしていて、
驚いてしまいました。
いつもより少しノレない人はいるだろうとは
思ったんですけど、やっぱりどこか触れてはいけない
世界について描いているからなのでしょうか。

黒沢清のインタビューを読んだんですけど、
これがすごく面白くて。
私の場合、人の評価が割れるような作品に
挑戦していく姿勢が見えるからいよいよ
前のめりになって、これは面白いぞ、と
気に入ってしまった感じがあります。
シャーさんには同じ匂いを感じる?ふひひ・・
(黒沢清のインタビューは、↑に入れておきました。)
とらねこさん (シャーロット)
2011-03-02 22:22:14
こにちはー。
へえ、映画ブロガーにはイマイチなんでせうか?
最近ネットで人様の感想を伺うこともなく;
まあ、でも私、これってイーストウッドらしからぬ作品だよなあって思ってました。いつものようになんの前知識もいれずに見てしまいまして。
なので、スピルバーグの映画ならと思えば納得です。
それならそうと知った上で見ていたら、私はもっととらねこさんのように感激したかもしれませんー。
とはいっても、私も本作はキライじゃないですよ。だって音楽がよかったものー。
それに人を見つめる「画」が好きです。
特に子役ちゃんと女性への目線が今回はスキです。まあ、彼もおじいちゃんになったとはいえ、男目線健在!ってところがいいっすねえw

ちなみに私、人の評価を読んでしまうとどこか天邪鬼なので;多数派の意見とは逆な方へと思考が向かうらしく。
そういう点では同じオイニーがするのかひら??爆
ラフマニノフ (Campanula)
2011-03-03 20:14:16
結構、気に入りました。
迷える魂の再生の物語。
「イタコ」さんのようなジョージの言葉に背を押されて・・・・
キリスト教的には、肉体は滅びても霊魂は不滅なのですから・・・・

ずっと、ラフマニノフのピアノコンチェルトが頭の中を流れています。

あと、ディケンズが好きなわけではありませんが、デレク・ジャコビの朗読は素敵でした。
Campanulaさん (シャーロット)
2011-03-03 22:46:01
こんばんは☆

ほー、ラフマニノフ・・・全然覚えてない;爆
どのシーンでかかってました??
私は映画に関してはあまりクラシックって耳が反応しないのかも;汗
ところでイーストウッドもプライベートではクラシック聴くのでしょうかね?
音楽担当するくらいだから聴くのでしょうが。

>デレク・ジャコビの朗読は素敵でした。

そうですね、朗読って結構いいものです。
わが子へ絵本の読み聞かせしてる私は、毎度口から泡をふきながらw奮闘してるので、情感たっぷりに読める人には一目置いてしまいますわ~。

わりと私も気に入りましたよ。
でもハリウッドだよなあ~って味わいなので、大満足した感じではありませんけど;イーストウッドの演出は大変好みです~♪
監督&音楽 (メビウス)
2011-03-04 00:38:14
シャーロットさんこんばんわ♪すんごいご無沙汰しておりました^^;(やっと観た映画被ったのでw)

自分も観る前は『死者の声を聞く』とか『臨死体験』といった超常的な要素が、イーストウッド作品にしては異質めいたものを感じずに入られなかったのですけど、フタを開けてみたらやっぱりちゃんと感動できた内容だったんですよねぇ。
自然の驚異にしても不慮の事故にしてもどんな形にせよ、『死』というのは悲しいものがありますが、そういった死の悲しみや喪失感と向き合って生きる希望や喜びを見出していく3人の姿が結構感動できましたし、終盤のブックフェアでも3人がばったりと巡り合うシーンは、出来過ぎというよりはドラマチックで微笑ましくなってしまったほどです。

そいえばイーストウッドは今回も音楽も担当してますね。自分はエンドクレジットに流れてたピアノの静かな旋律が印象的でした。
メビウスさん (シャーロット)
2011-03-04 19:38:17
わーい、ご訪問ありがとうございますー。
そうですねえ、やはりこういったテーマは先入観があって、胡散臭さをまず感じるかもしれませんよね。
劇中にも変な霊媒師?がたくさん出てきたし。
日本にもいそうよね;

でもやはりイーストウッドな感動作で嬉しかったです。どこか彼の作品には「死」というものが重く響くようなもののイメージもありましたが、今回は前向きにとらえた今世での「再生」というオチが晴れ晴れしいものがありました。

そうそうドラマチックな展開ではありましたが、、、人生って実は自分が思ってる以上にドラマチックなものだったりしますよね。
ここに生きてるのも奇跡だし。
そう思えたら私もなんだか元気になってきちゃったわー。
イーストウッドの音楽、いいよねえ。乾いたピアノの音でもなんだか心癒されちゃいます♪
ピアノ (Campanula)
2011-03-04 23:31:02
双子ちゃんのエピソードのほとんどにかぶっていたピアノのアルペジオがラフマニノフのピアノコンチェルト2番の一部のようです。
オケの音が無いので、のど元まで出ているのに思い出せなくて、うなっていました。(エンドロールを見て、ああ!あれあれ!って)
凄い使い方です。上手です。
Campanulaさん (シャーロット)
2011-03-05 09:06:27
わざわざありがとうございますぅ。
へえ、ではP協奏曲2番の2楽章あたりでしょうか?
あれは美しいですものね。
どちらかというと印象的なフレーズは1楽章かもしれませんけど。
でも、、、私全然覚えてない;
マーカスに首ったけだったからかな?爆
どうもね、ハーレイ・ジョエル・オスメントを思い出しちゃって。(関係ないけど爆、今彼はどうしてるんだろうー。。。)

結論・・・イーストウッドは、音楽がいいのだ~♪
ご無沙汰しています。 (小米花)
2011-03-07 00:05:38
映画の記事、楽しく拝見致しました。

私は、ちょっとイーストウッドが扱うテーマらしくないナ、という印象を受けました。
死後の世界の描き方は好みも考えもいろいろで、
合う、合わないで好みが分かれそうですね。

でも、マットくんの演技は地に足がついてて良かったナ・・・。

シャーロットさんは音楽、私はマットの演技、
それでオーライ!という事ですね(笑)。
小米花さん (シャーロット)
2011-03-08 22:16:07
こんにちは~。
そうですねえ、イーストウッドらしからぬ作品だった印象は私もあるんですけど、でも彼の作品には「死」がな~んかあるんですよねえ。
そういう抽象的なものを表現するのはやはり個性がでるもので。
確かに好みがあるし宗教的なものの価値観とかほんと様々ですよね。

そうそうマットはいい役者です。
あんまり私が観る映画に出てくれる人じゃないんですけど;
でも観た映画にどこか満足するものを見つけるとしたら、やはり彼の演技もお気に入りですよ。
マットといえば、ディロンな私ですけどー(しつこく言ってスミマセーン;)

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